<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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デザインというものは機能が高まるほどフォルムは洗練されシンプルになってくる。
代表格は飛行機だ。
最新鋭のB787はぱっと見は他の飛行機と変わらない。
しかしよくよく見ると頭部は若干鋭角になっていて翼の先端は跳ね上がり尖っている。
離陸してからは翼は思いっきり反り上がり、その飛んでいる様が「鳥」以外の何物でもない雰囲気を漂わせるのだ。
身近なところではパソコンも同様。
必要な機能を詰め込んでコストをギリギリまで突き詰めて機能を高める。
その結果として余計なプラグや余分じな重量となる無意味なデコレーションは削除されて結果的にシンプルなノートブックに集約されていく。

そこへ行くと新幹線は違うらしい。

このほど試験運転を実施するという北海道新幹線の「ALFA-X」。
どうみても洗練されているとは言い難いフォルムなのだ。
鼻はずずーんと延びて車両の半分を占め、運転席がポコっと盛り上がっている。
その両端にヘッドライトが。
どうみても遊園地のアヒルの乗り物にしか見えない格好悪い代表的なデザインと思えて仕方がない。
空気抵抗や北海道の過酷な温度変化、騒音対策を考えるとこんな形になってしまうのか。
何やら物悲しさを感じてしまう。
模型になっても買いたくない不格好な電車なのだ。

思えば初代0系東海道新幹線は子供が見ても格好良かった。
丸いボンネット。
その両端にヘッドライト。
高い位置にある運転席。
青いライン。
フィックスした広い窓。

時速210kmでも十分に美しくカッコの良い新幹線なのであった。

この初代0系は開発時期が重なった国産旅客機YS-11と一緒に風洞実験などが行われたため航空機によく似た形状になっている。
したがって普通に考えてもフォルムは洗練されていたのだ。
これが100系になると先端が尖ってくるのだが、基本のデザインは変わらず。
大きく変わるのはJRになって300系が登場してから。
300系はスター・ウォーズに出てくる共和国軍の兵士のヘルメットみたいな形状だが、ここまではまだ見られる。
問題は700系が登場してから。
前は不格好なアヒルだし窓が少し小さくなった。
さらにN700系、N700Aと世代を経るごとにアヒル顔は次第に醜さを増し、窓はそのうち飛行機と逆転するのではないかと思えるほど小さくなった。
東北新幹線はその反省を加味したのか多少はマシだがE5系なんぞは遊園地の列車のはじまり以外の何物でもない感じが漂っている。
遊園地の列車にもならないN700Aよりはマシかもしれないが、日本が誇る世界最大の混雑ダイヤで走る高速列車網はヨーロッパのおしゃれな高速鉄道と比較して明らかにマンガ。

世界最先端を行く日本の鉄道技術はギャグを生むのかもしれない。


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