前回から少し(だいぶ?)時間が経ってしまいましたが、天気痛後半戦をお送りします。(前回の記事はコチラ「天気痛」)
前回は気圧の低下が関節の安定性に及ぼす影響についてお話ししましたが、今回は細胞の膨張についてです。
富士山の山頂では持って行ったお菓子の袋がパンパンに膨らんでしまうそうですが、私たちの細胞も気圧が下がると膨らんでしまいます。
すると血管や神経の通る身体の中の隙間は狭くなってしまいます。
「古傷」と呼ばれるような部位では後遺障害として関節の不安定性が大なり小なりありまして、
それをサポートするために普段から筋緊張が高かったり、
受傷当初の名残としてダメージを受けた筋膜が縮んでいたりしていて血管や神経の通り道が狭い場所がでてきます。
そうした部分では気圧の低下に伴う細胞の膨張によって血管や神経に圧迫を生じ、血流障害(うっ血)や神経圧迫による「痛み」が起こりやすいのです。
ギリギリで無症候にとどまっているようなケースでは、天候の悪化にともなう気圧の低下の影響を受けるたびに血流障害による代謝産物の蓄積で痛みを生じたり、神経の圧迫による神経障害としての痛みやしびれが現れることになります。
筋緊張性の片頭痛なんかもいい例です。
通常こうした故障を抱えるケースでは、頭位前方姿勢など、骨格で上手に頭を支えることができない姿勢が筋膜組織と関節に定着しています。
無理な姿勢を解除できないために、首筋から肩の筋肉たちは慢性的な疲労に陥っています。
筋の緊張が強いと筋内の脈管(主に静脈やリンパ管)は圧迫を受け循環障害を生じ、
その患部にむくみが生じると同時に代謝産物が溜るので重だるい痛みが生じます。
それが僧帽筋や胸鎖乳突筋といった頭を支える筋肉に起こると関連痛としての頭痛や血管圧迫のリバウンドとしての血管炎に由来する頭痛が現れることがあります。
話はちょこっとそれますが、
上記のケースでは姿勢の崩れやその背景の筋バランスや関節周囲の柔軟性(支持性ともいえますが)のムラが巡り巡って痛みを生んでいるんですね。
こうした故障を「機能障害」と呼ぶんです。
機能障害というものは筋緊張のバランスの崩れであったり、支える組織の柔軟性のムラによって関節運動が狂った状態ですのでレントゲンでは映りません。
関節の可動範囲や周囲筋の力の入り具合、腱反射や知覚を調べることで判断が付くものです。
それすなわち、鍼灸治療やマッサージ、カイロプラクティックやオステオパシー、運動療法(理学療法)など代替医療の守備範囲。
それを踏まえつつ話を戻します。
そうした機能障害の状況にある首筋や肩に低気圧による細胞の膨張が起こるとどうでしょう。
固く締まった筋肉が更に富士山頂のポテチの袋のようにパンパンに膨れたら?
当然、脈管や神経への圧迫は強くなるわけです。
普段は辛うじて痛みを生じないレベルに収まっていたとしても、気圧の低下に伴って機能障害の度合いが深まり、周囲の知覚神経への代謝産物の蓄積や物理的圧迫による刺激が「痛み」へと変わるというわけなのです。
ではどうすれば天気(気圧の変動)に振り回されずに済むのでしょう?
もうお気づきかと思われますが、天気痛のバックグラウンドには必ず機能障害が潜んでいます。
であれば大本の機能障害を解消すれば天気に左右されることはなくなると考えることができます。
長い間天気痛に悩まされている方には
「古傷だから仕方ない…」
とあきらめている方も多いと思います。
でも、あきらめるのはまだ早い。
やりようはあるんです。
現に私の膝も腰も雨降りを教えてはくれなくなりました。
「古傷だから…」と諦める前に、ぜひ一度ご相談いただきたいなと思います。
以上、天気痛のお話しでした。