ヘルニアについて

2010年01月29日 | 治療の話
【ヘルニア】

「ヘルニア」という言葉自体は「飛び出した」という意味なので、

鼠径部で腸が飛び出したら「鼠径ヘルニア」と呼び

脳みそが腫れて、脳内の仕切りから飛び出ると「脳ヘルニア」

などと使う言葉です。


一般的(専門家ではなく患者さん)には椎間板の中の髄核が

椎間板の繊維輪を破って脊柱管に飛び出てしまった状態を

「ヘルニア」と呼んでいることが多いですね。

正しくは「椎間板ヘルニア」といいます。


腕にシビレが感じられると「頚椎ヘルニアじゃないか!?」

とか

下肢にシビレが感じられると「腰椎ヘルニアじゃないか!?」

とか、そんな風に考えられることの多い病態です。







私のところにも、

「ヘルニアだといわれた」

と来院される方が多くいらっしゃいます。

このとき私は患者さんの話だけで「ヘルニア」だとは決めないことにしています。

※ま、ヘルニアだったとしても、普通に治療しますけど…

「病院でヘルニアだって言われた(涙)」

と患者さんが言っても、

取りあえず腰や頚の動きを診て、痺れているという手脚を動かし

ついで打腱槌であちこちのスジを叩き

痺れていると訴える部分の皮膚を撫で

筋肉に力を込めてもらって、それに逆らって抵抗を掛けてみます。

何をしているのか?と申しますと

「神経」がダメージを負っているかどうかを確かめているのです。

神経は「触られた感触」を脳に伝えたり、

意識的もしくは反射的に筋肉を動かしたりする働きを持つものですから

神経がダメージを負うと

皮膚の感触が狂ったり(知覚鈍磨・過敏)、

筋肉の反射が弱まったり(注:脳や脊髄の神経の故障では反射は病的に高まります)

筋肉に力が入りにくくなったりするのです。

また、ダメージ(傷)を負った神経を引っ張ったり押したりすると

電気が走るような痛みも起こったりするのです。


その結果を見るに、「ヘルニア」と診断されつつも

神経のダメージを裏付ける症状のない患者さんのなんと多いことか…

※だいたいは筋肉の故障(トリガーポイント)だったりします。


こういう患者さんに、よくよくお話を聞いてみると、

病院で調べていただいたといいつつも

お受けになったのはレントゲン検査だけで

前出の神経の働きの検査(理学検査といいます)を受けていない

という患者さんだったりします。


あるお医者様に聞いたところ、ヘルニアはレントゲンでは写りませんので

レントゲン検査だけでは「ヘルニア」とは断言できないということだそうなのです。

せめて理学検査を用いて、そのシビレが本当に神経の故障による痛みなのかを

調べる必要はあるように思うのですが、

忙しい臨床の現場では、手作業で時間をかけて調べる時間は

なかなか作れないという現状もあるようです。


なので、レントゲンを診て背骨の間隔がせまく、仰向けで痺れた脚を持ち上げて

患者さんが痺れたといえば、即「ヘルニア」と診断されるケースもあるのでしょう。


欧米の腰痛関連の書籍をみると

「ヘルニアと診断を受けたもののおよそ9割は誤診の可能性がある」

といった話もあり、その診断はそう単純ではなく

やはり丁寧に状態を調べる必要がありそうです。


では、丁寧にとはCTやMRIによる検査や

脊柱管に造影剤を注入して脊髄を圧迫している箇所を調べたり

といったことを指すのかというと

そういうわけでもないようです。


これもあるお医者様から聞いたお話ですが、

一昔前(CTやMRIが普及する1980年より前)では

この椎間板ヘルニアが神経痛の元凶と考えられていたそうです。


しかし、

CTやMRIが普及した現在では、明らかにヘルニアが存在しているにもかかわらず

全く神経症状が出ていないケースや、

ヘルニアが存在していないのに強い神経症状を生じているケースがあることが

判ってしまったそうです。

こうなると「椎間板ヘルニア=神経痛」とはいえなくなってくるわけです。

そこで、私どものような手技療法家はどうするのかと申しますと

中がどうなっているかはさておいて、

実際の神経や筋肉、関節の働きを調べ、できる治療をしてゆこう

となるわけです。

そんなときに頼りになるのは昔ながらの検査法。

そう、前出の

『腰や頚の動きを診て、痺れているという手脚を動かし

ついで打腱槌であちこちのスジを叩き

痺れていると訴える部分の皮膚を撫で

筋肉に力を込めてもらって、それに逆らって抵抗を掛けて…』

といった理学検査です。


こういった方法であれば、画像での判断ができなくとも(鍼灸マッサージ師はレントゲンもCTもMRIも撮る事が許されていません。
また、画像を読み解く技術も通常持っていません。)

現状で何らかの神経の故障が患者様の訴えの背景に含まれているのか

それを判断する材料を集めることができます。

前出のある医師はこういいました。

「画像診断がなくたって、きちんと手で検査すればほとんどのことはちゃんとわかるよ。

それでおかしな所見がでたら病院を紹介すればいいんだから。」

と。




くぅ~~~~~~

かっこいいぃぃぃ~~~~~~!!!!!



私もこの先生(お医者様)のように有りたいと、日々精進の毎日です。

何でこんな話を書いたのかといえば、

このお話を聞いたとき、「ヘルニア」に関する認識が

ガラガラと音を立てて崩れ、そして

一筋の光が射したのを忘れられなかったからなんですね。


あ、私も腰椎ヘルニアと頚椎ヘルニアでひどい目にあった口なんです。

それまでヘルニアって言ったら「不治の病」のような認識でいました。

飛び出たものが引っ込むかどうかは別として、

手技療法とであった今では、痛みも痺れもありません。


一人で悩まず、困ったときはお気軽にご相談いただきたいと思います。

元気な自分を取り戻すために、お手伝いさせていただきますから。

楽はできない性分なのかもしれません

2010年01月28日 | よもやま話
週末の「腰痛セミナー」

今までに大阪と東京で確か2度ほど行ったと記憶しています。

なのでレジュメはあるんです。

でも、読み返してみると

「ここはもっとこうしてみたら」

といった部分が多々目につき、気がつけば

初めっから作り変えしている自分がここにいます。

レジュメはある物を使って、楽をしてもいいんじゃないか?

と、心にささやきかける自分がいます。

でも、セミナーは「伝えたい」からやっているのであって

自分が楽するためにやっているのではないんです。

どうすればもっと伝わるのかを考え、そんな目で過去の資料を見る。

すると、「やっぱりここはこうしよう」「これを付け足してみよう」

といったテコ入れ作業は尽きることがないんです…

今日はもう帰って寝ます。

明日、太陽よりも早く起きて、より良い資料を作るべく頑張りたいと思います


2月21日(日)とよたまセミナー受付開始のご案内

2010年01月21日 | マニュアルメディシンの話
いつも 当ブログをご愛読いただき誠にありがとうございます

とよたま手技治療院/とよたまコンディショニング 事務局でございます。

 2月21日(日)開催の新セミナーの受付を

 開始させていただきましたのでご案内申し上げます。



 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 

 2月21日(日)10:00~12:00(第1部)、13:00~18:00(第2部)

 マニュアルメディシンを知ろう!徒手医学による評価と介入 全7回シリーズ

 第1回【徒手医学の適応と各種手技療法を知ろう!】



 マニュアルメディシン(徒手医学)の守備範囲を知り、
 組織への直接的な伸張刺激を与える「ダイレクトテクニック」と、
 筋や腱に備わる固有受容器へ刺激を与えることによる反射的な
 弛緩を得る「インダイレクトテクニック」を数多く紹介します



 第1部【概論・実技体験】

 第2部【各論・実技練習】



 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 


2部構成でご案内させていただいております。

第1部・第2部のどちらか、または、両方通してのお申込みが可能です。


詳しいご案内は 次のページをご覧下さい。

【徒手医学の適応と各種手技療法を知ろう!】

携帯HPはこちらです


新潟セミナー

2010年01月19日 | マニュアルメディシンの話
会場はビッグスワンスタジアムです。

こちらの会議室で

体幹部のトリガーポイントの解除をテーマに

手技療法の各技法を紹介させて頂きました。

始まりの図

腸肋筋のASTRの図

大腰筋のSCSの図

今回のセミナーを通じて

徒手医学の輪が広がることを願ってやみません。

次回は膝関節の治療についてお話する予定です。

今年もがんばります!


<変形性膝関節症の治療例>
2回目の来院時(介入後)

3回目の来院時(およそ5分の自動介助によるモビリゼーション介入後)

中部頚椎の評価と操作/胸鎖乳突筋のスイッチバック(1/30セミナー)

2010年01月19日 | マニュアルメディシンの話
C3-6 MP/JM/MET/HVLA/switch back


2010年の徒手医学臨床技術研究会は、

ボディーワーカーとしての「専門性」の向上

を目標として掲げたいと思います。

針の穴を通すような繊細な操作も広道を歩むがごとく

悠々とこなすような、技術者としての安定感を築く鍛錬の場として、

本会のクローズドセミナーを位置付けたいと、そう望むものです。

また、技術の研鑽のみにとどまらず、

クローズドセミナーで培った技術をより実践性に富んだ「現場力」として醸成するために、

本年より、試合会場等での臨床研修として「体験コンディショニング」の企画を検討しており

その実施に向け着々と準備も整ってまいりました。

(ソシアルダンス競技会・伝統派空手道競技会・フルコンタクト系空手道競技会など

現在実施に向けて調整中。

伝統派空手道競技会は6~7月に実施決定しています。

現在日程調整中です。)


目指すは「現場に強い専門家」です。


本会の活動を通じて技術の研鑽のみならず、

会員各員の活躍の場と経験の場を提供し、

広く徒手医学ならびに手技療法の啓蒙に勤めたいと考えます。

日時:1/30(土)19:00~21:00

テーマ:中部頚椎の評価と操作

本年第1回は中部頚椎の評価と操作より行います。

典型的な頚椎の操作を習得し、より臨床で重要性の高い

上・下部の頚椎の操作を習得するための基礎を養成しましょう。

内容:
<評価法>
中部頚椎のモーションパルペーション

<介入法>
【マッスルエナジーテクニック】
関節モビリゼーションとの相性の良い、固有受容性反射を応用した間接的テクニック。

【スラストテクニック】
関節モビリゼーションのグレード5に位置付けられる。

慢性期の関節拘縮に非常に高い効果を示す手法。

【スイッチバックテクニック:胸鎖乳突筋】
関節の変位を軟部組織の短縮の結果として捉えて、軟部組織の伸張反射を誘発させずに

骨の変位と軟部組織の短縮を同時に対処する方法。

直接法と間接法の中間の手技。

参考文献:マニュアルメディシンの原理



新潟へ

2010年01月16日 | よもやま話
昨晩の天気予報では

新潟はまだ雪が続くと言っておりました。

が、

なんと現地より

「おひさまが顔を出してます!」

と、連絡を頂きました(^_^)

練馬の空も気持ちのいい青空が広がっています。

それでは、新潟セミナーへ行ってきます!

ぎっくり腰警報発令中

2010年01月15日 | 治療の話
やはり予感的中です。

ここのところ「ぎっくり腰」の相談が急増中です。

しかし、予約に空きがなくご相談をお受けできずといったケースもちらほら。

本当に申し訳ありません。

何とか週明けまで耐え忍んでください。

大抵のぎっくり腰(急性腰痛)も、3~6日の間

痛みを避けるように生活することでグンッ!と落ち着くものです。

それまで、日常で気をつけて頂きたいことを2つ3つ挙げます。

・急な体動(「イスから急に立ち上がる」「急に振り向く」)を避けましょう。

 姿勢を変える際にはゆっくりと行いましょう。

・寝るときには横向きで膝や胸にクッションをかって、楽な姿勢で休みましょう。

 仰向けに寝るのであれば膝下にクッションを入れてみて下さい。

・無理せず休みましょう。

 「寝る子は育つ」と申します。

 身体は寝ている間に修復されということを忘れずに。

・刺激物は避けましょう。

 カフェインやアルコール、タバコなど「刺激物」といわれるものを常用すると

 身体は慢性的な興奮状態に陥ります。

 この興奮状態とは、自律神経の中でも交感神経という活動時の身体の準備をする神経が
 
 強く働いてしまうために起こります。

 交感神経が頑張りすぎると、身体の修復を促すスイッチを入れる副交感神経の働きを

 邪魔してしまうんですね。

 これでは怪我の治りは悪くなりますし、痛みも強く感じられるという
 
 「おまけ」も付いてきます。

 対策としては、

 例えば、コーヒーが好きで、日に5杯も6杯も飲んでしまうなんて習慣があるのなら

 3日の間半分に抑えることをオススメします。

 三日もすると薬の影響も和らいで来るそうです。

とまあ、もろもろ思うところを書いてみました。

ご参考にしていただけましたら幸いです。

満員御礼

2010年01月13日 | よもやま話
今週末に控えた新潟セミナー(手技療法の講習会です)が

おかげさまで定員+キャンセル待ちとなりました。

この大雪の中、まさか定員以上集まるなんて思いもよりませんでした。

開催にご協力頂いた

新潟の

中野接骨院の院長先生

小林接骨院の院長先生

フジタ医科器機様

秋田のイケメンPTのK先生

に心から感謝いたします。


中野先生に「新潟でやってみないか?」とお声をかけていただき数ヶ月

17日がいよいよ本番です。

参加される多くの先生方に、徒手医学の愉しさを知っていただけるよう頑張ります。

雪にも負けず

2010年01月09日 | マニュアルメディシンの話
雨ニモマケズ

風ニモマケズ

雪にも負けず…

来週の今頃は新潟にいる予定です。

と、申しますのは、

新潟で開業されている整骨院の先生と、新潟の医療機器メーカーさんの後援で

手技療法の講義をさせていただくことになったのです。

今新潟は大雪が続いているそうですね…

そんな中、有難いことにほぼ定員の参加希望を頂いております。

年始に天気予報を見、

『これはそう参加者も集まらないだろう』

と思っていたものですから、

この反応は正直ビックリしています。

中にはなぜか関東からの参加もあり、

これは気合を入れてかからねば!

と、35歳のお父ちゃんはレジュメ作成に励むのでした。

来ていただいた先生方に『手技療法って面白い!!!』って

そう感じていただけるよう、頑張ります!


「雨ニモマケズ」原文

雨ニモマケズ

風ニモマケズ

雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ

丈夫ナカラダヲモチ

慾ハナク

決シテ瞋ラズ

イツモシヅカニワラツテヰル

一日ニ玄米四合ト

味噌ト少シノ野菜ヲタベ

アラユルコトヲ

ジブンヲカンジヨウニ入レズニ

ヨクミキキシワカリ

ソシテワスレズ

野原ノ松ノ林ノ陰ノ

小サナ萱ブキノ小屋ニヰテ

東ニ病気ノコドモアレバ

行ツテ看病シテヤリ

西ニツカレタ母アレバ

行ツテソノ稲ノ束ヲ負ヒ

南ニ死ニサウナ人アレバ

行ツテコハガラナクテモイヽトイヒ

北ニケンクワヤソシヨウガアレバ

ツマラナイカラヤメロトイヒ

ヒデリノトキハナミダヲナガシ

サムサノナツハオロオロアルキ

ミンナニデクノボウトヨバレ

ホメラレモセズ

クニモサレズ

サウイフモノニ

ワタシハ

ナリタイ

2010年 仕事始めです

2010年01月05日 | 治療の話
明けましておめでとうございます。

とよたま手技治療院は今日が仕事始めとなりました。

今日も「始まった」と思ったらこの時間…

怒濤の1日(←言いすぎ)でした。

おかげさまで休みボケするまもなくすんなり治療には入れました。

さて、明日も予定表では12時の枠以外は走り通しの予定です。

本当に有難いことです。

また、十条SC(障害を持つ方々の陸上競技のチーム)から

3月にコンディショニングの依頼を頂戴したりと

非常に良い一年のスタートを切ることができました。

本当に、有難いことです。

皆さんのご期待に沿えるよう、頑張ります。


今日からまた一年、皆様の健康のために全力で治療にあたらせて頂きます。

本年もとよたま手技治療院を、宜しくお願い申し上げます!

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