今日はオスグット病という膝の故障について。
図版引用:図解 四肢と脊柱のみかた 医歯薬出版株式会社
オスグット(シュラッター)病というのは、
成長期(小学校高学年から中学生辺り)のスポーツをやりこんでる
子供たちにみられる膝の故障です。
四頭筋という腿の筋肉がお皿を通じて膝蓋腱という腱になって脛の骨(以下脛骨)に付いていますが、
オスグットではこの膝蓋腱が脛骨から剥がれるように傷つくことで痛みが生じます。
ひどくなるとお皿の下の脛骨粗面が盛り上がって瘤を作るんです。
これ、大人になっても残るんですよ。
なので、患者さんの膝を見てこの瘤を見つけるとつい
「子供のころ、ガンガン運動してたんですね~( ̄ー ̄)」
なんて言ってしまう。
この故障は、四頭筋の過用とそれによって疲労した四頭筋が固くなることも相まって
膝蓋腱と脛骨の境目に無理がかかり続けて傷つき起こります。
治療としてはまず安静 → 腫れが引いたら(炎症が落ち着いたら)セルフケアとして四頭筋のストレッチが推奨されるのが一般的です。
でも、なかなか治らないケースやすぐに再発してしまうケースも多い。
そうした相談を診ていて感じるのは、
腱の部分の傷跡を見過ごされているなというところです。
痛みを訴える個所(=脛骨粗面)に熱感や腫脹、発赤が見られない、
平たく言えば、赤く腫れあがっているというような炎症性の問題がないのに痛むような場合は
患部をよく触察すると、骨ぎわに圧痛を持ったざらついた傷跡を見つけます。
瘢痕治癒した組織に「自由神経終末」という痛みを感じ取るセンサーが巻き込まれて敏感になっているのでしょう。
こういった腱にできた故障は、四頭筋の力を発揮する際に反射的に力が抜ける「膝折れ」という症状にもつながりやすく、
・ここぞ!という時のパフォーマンスの低下
・フォームの崩れから故障へのループに落ちてゆく
などの原因となりやすいので注意が必要です。
「膝折れ」といえば、変形性膝関節症を持つ高齢者に多い症状ですね。
この場合は膝のお皿の上縁、四頭筋腱という場所の瘢痕をターゲットにするといいんです。
…(-"-)
また話が逸れましたね。
変形性膝関節症の「膝折れ」についてはまた後日書きたいと思います。(^^;)
少なくとも(共通して)言えるのは、
こうした腱骨移行部にできた傷跡はリハビリとしての筋力トレーニング自体を邪魔するということです。
痛めた間に萎えた四頭筋を鍛えようとすると、腱骨移行部の瘢痕組織から痛みや反射による抑制(=勝手に力が抜ける)
がかかってしまうんです。
過去に膝の故障の既往を持つ短距離走の選手のトレーニングをサポートしているときに、
この部分の故障を外しただけでスタートが速くなったケースもありました。
痛みや力の入り辛さといった自覚はなかったのですが、どうも動きがおかしいとみてみたら『これだ!』となったんです。
痛みはなくとも彼のスタートにとって潜在的なマイナス因子だったんですね。
他にも、
足首に砂袋着けて、一生懸命にレッグエクステンションや脚挙げ体操を繰り返しても、
かえって痛みや膝折れが出やすくなってしまうケース。
そうしたケースは在宅介護の現場※などで多く見られました。
※以前は訪問リハビリマッサージをメインにやっていた時期があるんです。
さて、こうしたケースにはどう対処すればいいのでしょうか?
それはもちろん、大本の問題を解決することでしょう。
悪さをしているざらついた瘢痕組織(傷跡)はだまになったコラーゲンの線維です。
コラーゲンの線維がセンサーを巻き込んでランダムにへばりついているわけです。
すると、まきこまれたセンサーは膝を動かす度に刺激を受けるでしょう。
こうして度重なる刺激に、センサーは過敏になってゆくのだと推察されます。
そのセンサーが痛みを拾うものならば痛みを感じ、
張力に反応するものならば反射的に力が抜けてしまう。
ならば、センサーの周辺にスペースを作ってあげればいい!!\(◎o◎)/
具体的には、ざらざら(というかジャリジャリ!?)した圧痛点を、許容範囲の強さでこそげとるように揉むんです。
これをフリクションマッサージまたはディープトランスバーサスマッサージ(DTM:深部横断マッサージ)といいます。
このマッサージはセルフケアにしろ治療にしろ、一点当たり90秒ぐらい行います。
上手くできていれば痛みは1/2~1/3になります。
手順としては、
初めにフルスクワットやジャンプ動作で痛みや動き辛さを確認してから行いましょう。
手入れの前の状態を知っておけば、手入れが効いているのか確認できるでしょう!?
揉んだ後にもう一度上記の動作をチェックして痛みが軽くなっていたり
動きが広くスムーズになっているようならば効果あり!(^^♪
逆に、エクササイズ中に痛みが強くなってゆくようでしたらいったん中止です。(;´Д`)
この場合、まだ傷が落ち着ききっていないと考えましょう。
そういう時は2~3日(長ければ6日)安静にしてからもう一度トライです。
患部の組織が落ち着いていれば、同じ手順で痛みの軽減が確認できるでしょう。
大切なのは時期の見極めなんです。
どんなにいい方法も間違った時期に行っては本来の効果を発揮できないどころか、
時には逆効果になることもあるのでご注意ください。
しっかりと前後比較を繰り返して、
患部の声を聴きながら行ってください。
以上、オスグットの治療のお話でした!