もうじき日付が変わる時間なのですが、まだ出張治療の帰路の途中。
週末に大事な試合を控えた選手のケアをしてきました。
仕上がりは上々(^^)d
あとは試合の前日の最終チェックと当日のサポートです。
いやぁ、腕が鳴る!( ☆∀☆)
家族合宿のオチ、
中学生にウエイトトレーニングのオチ、
諸々書きかけですが、講義活動や試合への帯同が目白押しの現在、なかなか腰を据えて記事が書けないでいます。
楽しみにしていただいている方もいらっしゃるようですので、ちゃんと書きたいなとは思っています。
いや、書きますよ!
「え?今更夏の話!?」
ってなるのも覚悟して書きますよ!
さて、先週の大阪セミナーに続き週末は東京は練馬でのセミナーです。
タイトルは腰部脊柱管狭窄症。
だいぶてんこ盛りな内容になりますが、受講される先生方とともに頑張ります。
そして再来週は岩手の国体でのケアサポート
10月も東京、そして大阪での講義
そして、11月には高輪プリンス「飛天の間」でのケアサポート
その合間にはFRAT(DVD)の編集作業と運動療法のDVDの絵コンテ作成が待っています。
…そんなこんなで、今年の残り3か月強は、ちょっとだけ普段よりも忙しい日々を送り続ける予定でおります(;´Д`)
えぇ~っと、
ま、ボヤキですね。(^^;
文字だけの、そして、言い訳だけの記事ではつまらないので、
最近の講義の模様の動画を紹介させていただきます。
動画のシーンは斜角筋のポジショナルリリースという技法の練習風景。
私が手を入れた男性のペアは、斜角筋の圧痛を見つけ、痛みの治まるポジションを見つけるまではよかったようなのですが、
手順通りに展開しても圧痛が戻ってしまうと悩んでいるようでした。
こうしたときは遠位体節からの影響が潜んでいるケースが多いんです(単にうまくポジションが見つからないだけというケースもありますが…)。
診てみると、斜角筋の緊張が大腰筋の緊張の二次的な影響を受けたものであったため斜角筋へのアプローチ単体では対処できないケースであることが解りました。
そこで「問題に沿った介入をすればちゃんと変えることができますよ」と手を加えさせていただいた次第です。
特定の部位への介入手法の練習では
「対象部位の緊張がそもそもない」
とか
「対象部位の緊張が他の部位の緊張の影響を受けた二次的障害であった」
といった場合に時折(しょっちゅう⁉)遭遇します。
「治療」というものを考えたとき、本来的には問題を洗い出してからその障害にあった手を打っていく…
という手順が前提となります。
それはどんな問題解決でも共通ですね。
たとえば、
どんなにきれいにシミが取れる洗剤もシミの上にかけなければその効果を発揮できないですよね!?
治療の技も一緒なんです。
問題に対しての対処法なので、原因から外れてると結果につながらないんです。(促通系の手法はちょっと違うんですけどね。それはまた別の話。)
でも、治し方をその手順から練習するという初歩の段階では、モデルになってくれている相手の身体の状態はいったん無視して話が進みます。
なもんで、「対象部位の緊張がそもそもない」とか「対象部位の緊張が他の部位の緊張の影響を受けた二次的障害であった」、つまり「練習する手技では対象外な状況だった」、なんてケースに出会ってしまうともありまして、そこで頭を抱えてしまう先生もいらっしゃるんです。
冷静に考えれば、「問題が生じていない」=「よかったね!」というだけことなのですが、情報の渦にもみくちゃにされていると、そうした基本的なことがフッと頭から抜けてしまうことがあるようです。
そんな時、時間が許す限り臨床における「本来の姿」をお見せするように努めています。
私の治療にいらしている方にとってはお馴染の風景ですが、
もしよろしければ覗いてみてください(*^^*)
▼写真は選手のケア・調整をしている様子の一例です
さて、今年の夏に始まった中学生達の相談の続報。
寄せられた故障はジャンパーズニー・シンスプリント・オスグット・アキレス腱炎・グロインペイン
あと足底筋膜炎やモートン神経腫(といいつつ実際は骨間筋のトリガーポイント)
大半は早々に回復、一部はちょっと回復しては再発の繰り返し、そして一部は二次的故障を発症。
先日も書いた通り、治らない子達は練習をちゃんと休むことができないでいます。
ちょっと落ち着いたら「補強だけでも…」とダッシュしたりジャンプしたり…
上記の故障達は瞬間的な下肢の屈伸の中で、関節の適合性を逸脱する方向へのガタついた動き(シェアリング)が繰り返されることで生じます。
そのほとんどは走ることも含め(走動作も跳躍運動の繰り返しで構成されていますからジャンプ動作の括りになります)ジャンプ動作の繰り返しで傷めていますので、
回復期には荷重位でのストリクトな下肢の屈伸を関節の適合範囲内でコントロールしつくす(つまりフォームの崩れを見逃さないで、正しいフォームへの修正を繰り返す)ような運動から行う必要があるんです。 ですが……
多くの場合は「痛みが引いて来たらとりあえずジョグから!」となるようです。
スポーツ、特に球技では盲目的に信じられている手順のようですが、
故障の成り立ちを考えると彼らにとっては逆効果となる可能性が高く、おすすめできません。
まず始めに関節のガタつきをおさえなくてはなりませんから、
前出の荷重位でのストリクトな(正確な)下肢の屈伸運動から始めた方が良いんです。
じゃあ具体的には何をするのか?
簡単なことで、スクワットをしっかり(正しいフォームで、の意味)やり込む事からはじめれば良いんです。
スクワットは治療上、下位腰椎から骨盤を含む下肢の機能障害を見つける指標にも使われる動作(スクワットテストなんてのがあります。)で、 下肢の持つ機能の基本、つまりいろはの「い」なんです。
ちなみに走る、は応用編。
故障を抱えた子達は皆さんスクワットのフォームがガタガタでした。
その中で、治っていった子達はスクワットのフォームをつかむのが早かった。
で、ですね。
そのスクワットなんですが、痛みの感じられない範囲で、出来ればバーベルを担いで負荷をかけてやってほしいんです。
何故かというと…
む、トレーニングの時間だ(・_・;
続きはまた後日!
ではまた!
中学一年生のA君の夢はバスケットボールの選手です。
小柄なA君は周囲の仲間に負けない強い気持ちの持ち主で、つらい練習にも音をあげることがありません。
しかし、自分よりも大きな身体を持つ仲間との練習は、時にA君にとってはより強い負荷としてA君の身体に襲 い掛かります。
そうした練習の中で、A君の膝は痛みで曲がらなくなってしまいました。
成長期の故障の中で軽視されがちなものの一つに「オスグットシュラッター病」という膝の故障があります。
要は四頭筋腱が付着する脛骨粗面に生じる疲労骨折の一種で、悪化すると、まだ骨として固まり切っていない軟骨の部分から脛骨結節ごと剥がれてゆきます。
痛そうでしょう!?
でも、現場では軽視されがちな故障なんですね。
「そのうち治るからほっとけ」 「気合で乗り切れ」
と言われがちな故障なんですけども、 ところがどっこい、そうそう治らないんですよね。
痛みが引かず練習を休む➡痛みが引いて練習再開する➡すぐに痛めて休む、
なんてことを身体が成長期を終えるまでの数年間ずっと繰り返してしまい、
選手として十分な成長ができなくなったり(「あ~、あのケガがなければきっといい選手になってただろうに…」ということ)、
スポーツを継続すること自体を諦めてしまうケースだってあるんです。
骨のケガを甘く見てはいけません。
A君の膝はパッと診ると「ジャンパー膝(四頭筋腱や膝蓋靭帯の故障)」のようでしたが、
注意深く見てみると痛みの出どころは骨膜で、骨の表面はかすかに肥厚しています。
そこからわかることというのは、腱の故障ではなくて骨の故障が疑わしいということです。
こじらせると成長期を終えるまでの数年間、膝の痛みと付き合う羽目になってしまいます。
できればここでしっかりと治しておきたいところ。
念のため1週間は安静にしてもう一度様子を見せてもらえるようお願いしました。
すると、A君も親御さんも「練習は休めない」と言います。
では、痛みの強い運動はやらないようコーチと話し合うようにアドバイスを送ると、それもできないとのこと。
練習に参加する以上は全力でやらなきゃいけない。
そういうルールなんだそうで…
幸い初回の診察でA君の膝はエクササイズに良い反応を示してくれています。
希望的観測の基に考えて、 エクササイズによる調整の力を借りて、故障の進展を食い止めることができないこともないかもしれません。
さらにA君の成長期の回復力にかけるというのもありかもしれません(個人的には子供にそんな博打を打たせたくないですが…)。
押し問答をしても仕方がないので、膝のセルフケアと患部の状態の確認の仕方を伝え、
悪化があるようならす ぐに練習から外れるよう念を押して、初回の治療を終えました。
1週間後、A君の膝はだいぶ良くなっていました。
まだ左右均等とは言えませんが、ほぼボトムまでしゃがむこともできています。
患部の痛みも1/2とのこと。
でも、骨膜を確認すると盛り上がってきていました。
やはりオスグットです。
こうしたケガは一旦こじらせると長く痛みと付き合うことになります。
「強い選手はみんなオスグットだよ!」 なんて話も耳にしますが、本当にそうでしょうか?
痛みと闘いながら行う運動では正しい身体操作が学べませんし、
崩れた動きによる二次的な故障のリスクも非 常に高い。
だから初期対応が大事なんです。
前出の一言には「オスグットを抱えてなかったらもっと優れた選手になっていたことでしょう」と、
私ならそ う答えますね。
成長期の故障はその後の人生に大きく影響してきます。
まだ、大したことのないうちにしっかりと治しておくことが、思いのほか重要です。
残念なことだけれども、今はまだA君はほかの子達よりも体格では劣っています。
声変わりも来ておらず、つまり成長のスパート期を迎えていません。
当然、骨もほかの子達よりも弱いんです。
それなのに根性とセンスだけで自分よりも成熟した身体を持つ仲間と渡り合っています。
相当な頑張りです。
でも、頑張れてきたから大丈夫!じゃないんです。
この二回で診た患部の変化は、今まさに、積もり積もった無茶による破たんが起き始めている、
という可能性 を示唆しています。
だからこそ「更に大きな故障をする前に、しっかり休んで患部の傷を治すことに専念したほうがいい」と伝えますが、それでも二人は「休めない」と言います。
もどかしいですね。
いったい誰が休めない状況を作ってるんでしょうか。
少なくとも子供たちじゃないですよね。
では誰でしょう?
答えは「大人たち」です。
A君にはこんな話をさせていただきました。
「おじさんはね、中学校の時に膝を壊してね、
かばって練習していたら腰を壊してね、
22歳の時に松葉杖が離せ なくなったんだ。
で、大好きだったものを手放して、今はこの仕事をしています。
おじさんの場合、この仕事が楽しくてしょうがないからこれで良かったんだけどね。(;^ω^) 」
そして親御さんにはこんな話をさせていただきました。
「だから、A君を取り巻く状況もこの後にコーチが下す判断もなんとなく見えるんですよ。
『いつまでチンタラやってんだ!練習出るなら死ぬ気でやらんかい!』
九分九厘こうなります。
だって多分、コーチはA君にフルスクワットテストをさせて、可動性や異常運動と疼痛の有無を確認する、
そ れから適切な練習メニューを組むなんていう視点や技術は持っていないでしょうから。
何とか走れるようになった彼を見て
『なんだ、できんじゃん。ビビッてねぇでガツンと行けよ!!気合気合!!!』
って、なると思うんですよね。
子供たちに「何があっても練習を休ませない」というルールに疑問を感じさせない「今」を作っていることを 考えればまず間違いないです。
で、あっという間にケガが悪化して、もっと長期の休養が必要になる。
私はそうでした。」
そして、もうこうなっては子供対コーチのコミュニケーションではどうにもならないと考え、
保護者の方に強くお願いをしました。
「大人の口からコーチに話してください。」と。
コーチ自身、子供たちの身体について十分な判断が付かないから目の前の事態が起こっています。
もちろんコーチだけを責めることはできません。
だって本人に聞けば「大丈夫です!やれます!!」としか言いませんもん。
それに、コーチ側の立場の方からは、保護者からの圧力で…(練習を厳しくせざるを得ない)といった話も聞 いたことがあります。
でもね、どっちも子供に目がいっていないというところが一番の問題です。
根っこにある目的を整理してみましょう。
何のためのスポーツなのでしょうか?
誰のためのスポーツなのでしょうか?
学校の部活は勝つためだけにやるんでしょうか?
違いますよね。
負けるという経験も含めて、勝つためのプロセスから得られる多くの気づき、
それを経験させてあげることで子供の成長を促すことこそが 目的なんじゃないでしょうか?
決して母校や周辺の大人たちの名誉のために身を捧げることが目的ではないですよね。
冷静になって根っこから考えてみれば、きっと大人(精神的な成熟という意味で)だったら誰でも解かるんです。
でも、大人同士が互いに正直な腹の内を明かせなくなって明後日の方向で綱引きをしてしまっていたらどうでしょうか?
一 番大切な子供に目が向けられなくなっていたらどうでしょうか?
治療をしていて、そんなケースって多いように思います。
間違っていたらすみません。
俺は違う!って意見もきそうですね。
そう、あなたは違う(たぶん)!
でも、そうした状況が多くあって、理不尽にケガでつぶれていく子供たちがいるってことも事実なんです。
それが問題だと感じています。
なんにせよ、ここは私の専門家としての意見を聞いてほしいところですね。
ケガが治らなくてどうにもならなかった時の私が学んだことは
「後悔は、後に立つから後悔なんだな」
ってことでした。
人生において、タラレバはありません。
後になってから「やっぱあの時こうしとけば…」は通用しませんからね。
いまの1~3週間のブランクなんてケガが深まってからの数か月~数年のブランクをしょい込むリスクを考えた ら…
言葉は悪いですが屁みたいなもんです。
A君にはこう言いました。
「練習を休むことも勇気だよ!」と。
大丈夫。
君の根性は1級品です。
身体が付いて来たらほっといてもドカンと行けるから、今は自分の身体に足並みを合わせて 「成長するための時間」を積み重ねていこうね。
=追記=
その後、A君の親御さんは先生と話し合いを持ち、しばらくの間、A君は練習を休めるようになりました。
どういった話し合いがなされたかはわかりませんが、A君にとっては必要な判断だったと思います。
勇気が要ったことでしょう。
さすがはA君の親御さんです。
実は、今年の夏は中学生の子達からの相談が例年よりも多かったんです。
どの子も故障の名前は違えども環境要因が一緒だったもので、 思い切ってブログに書いてみました。
コーチにたてついたらレギュラー獲れなくなる なんて声も聞もありました。
「その前に、お子さんつぶれちゃいますよ!?」
「冷静に本人のための選択肢を選んであげましょうよ。」
なんて話を親御さんにすることもしばしばでした。
ちょっと続くな…と思われましたので、
同じ中学生の子を持つ親として、 そして「ぶっ壊れても練習し続けるゼ!」ってやって失敗した人間としての本音を書かせていただきました。
集団の中での振る舞いとして「空気を読む」のは大事なことですが、
読んではいけない空気は読まない勇気を持つことも大事だと思います。
また、子供たちの周囲の大人たちが協力関係を上手に築けないと、
こうしたボタンの掛け違いも起こるのかもしれません。
それを変えるには、私たち大人にも勇気が必要なのかもしれませんね。
声を挙げることで面倒をしょい込むこともあるかもしれませんが、
互いの立ち位置から見えるものを子供たちの成長に還元するために共有し、
有機的な関係性が築けるように一歩前に進み出る勇気があれば、
もっと有意義な青春時代を子供たちに過ごさせてあげられるかもしれません。
以上、独白でした。