「骨盤」「脊柱」の歪みと難産の関係

2017年05月30日 | 治療の話

骨盤や背骨のゆがみがあると難産になる!?

 

私の治療院へ訪れる妊娠さんたちの口からそういった不安が聞かれることは珍しくありません。

こんなこと言われたら、妊娠されているご本人はさぞや怖い思いをするだろうな…と思います。

でも、本当にそうなんでしょうか?

確かに妊娠出産は女性の身体に大きな負担がかかる出来事です。

決して舐めてかかれるようなことではないのは事実。

でも、だからと言っていたずらに不安をあおるのは母体に対していかがなものかと思うんです。

個人的には、

情報は困難を突き付けるものではなく困難を回避したり乗り越えるための手助けになってこそ意味を持つと思うんですよ。

とくに健康や医療の情報は総じて「安心」につながることが最も重要。(でもウソはだめ。)

と、いうことで今日は骨盤や脊柱の歪み(機能障害)と出産の関係について書いてゆきます。

 

私が治療のベースにしている「徒手医学:マニュアルメディシン」には産科学もあるんです。

海外では産科領域で徒手医学の知識・技術を役立てているお医者様方がいらっしゃるんですね。

そうした方々がまとめた情報を見てみると「骨盤や背骨のゆがみが~」という話には多くの誤解が隠れていることがわかります。

かいつまんで説明してみますね。

 

○骨盤の関節(仙腸関節/恥骨結合/腰仙関節ほか)が固まっているせいで出産が難しくなるのか?

という問いに対して。

妊婦さんの身体は出産に向けて関節の柔軟性を高める「リラキシン」というホルモンが分泌されます。

この「リラキシン」、「子宮」と「骨盤の関節」に強く作用する性質を持っています。

ですので、仙腸関節を含め骨盤周囲の関節が固くて出産を邪魔するという事は通常起こりません。

ここからは私見となりますが、

この場合問題となるのは仙骨の前後傾や骨盤下口の開閉をコントロールできないことだと考えています。

※書物には分娩時に仙骨の前後傾を補助することで分娩を手助けすることにも触れられています。

その原因は「関節の固さ」ではなく骨盤を支える筋肉と神経の連携が上手く行っていないことにあります。

とりわけ大切なのは下腹の筋肉たちのコントロールです。

これに対する解決策はストレッチをはじめとする「受動的な治療」ではありません。

上手に自身の身体を操作するための「運動」を身体に覚えこませること。

つまり運動療法(能動的な治療)が解決のカギとなると考えられます。

私の院では腰痛や膝痛のセルフケアにもつながる「ペルビックティルト」というエクササイズを妊婦さんにもお勧めしています。(血圧上昇への配慮と治療効果を高めるためのちょっとしたアレンジをしてお届けしています)

先日いらっしゃった妊婦さんはその体操だけで「仙骨の捻じれ(左斜軸上の左回旋)」と「右仙腸関節の固着」が取れてしまいました。

その理由も前出の「リラキシン」によるものでしょう。

なぜ運動だけで骨盤に生じた問題が解消できたのかと言えば、仙骨がそっぽ向いていたり仙腸関節が引っかかっていたりした原因が「関節が固まっている」ことにあるのではなく、骨盤の関節に備わる動きを支える周囲の筋肉、そしてその筋に通じる神経が「骨盤を上手にコントロール出来ていなかった」ことにあったからなのです。

骨盤の安定に必要なコントロールを失っていたという原因の結果が仙腸関節の「固まった状態」であるならば、やるべきことは「固まった仙腸関節」のストレッチではないのです。

これらの試みが出産に有利に働くかどうかを証明することは私にはできませんが、

骨盤の可動制限(仙骨の前後傾など)というものが出産を困難にする状況の背景にある以上、前向きな効果を狙えると考えています。

また同じ背景で生じる妊娠中の腰痛や膝の痛みにはすでに高い効果がみられています。


○骨盤の形体が出産を邪魔することがあるのか?

これはある条件によっては「ある」という事になるようです。

骨盤の出口の形状が狭い方の場合でかつ腰椎の反りが強い時(腰椎前方突出)には、出産時に神経痛を伴う腰痛や恥骨結合の分離(捻挫)が起こることがあるとされています。

でも、ですよ。

この場合の腰椎の問題は前出の下腹の筋群による骨盤への支えが弱くなった結果起こるものですから、

骨盤の形が悪くても、しっかりと下腹の筋群を含む骨盤(仙骨の前後傾/寛骨の開閉)を支える筋群の働きをキープできていれば回避し得ると考えることができます。

 

○脊柱の側弯症が出産を邪魔することがあるのか?

 中等度の側弯症までは出産の成功率に差はなかったそうです。(重症例に対する記載はありませんでした)

ただ、予定日よりも早い出産が多いとの指摘もあるそうです。

 

○尾骶骨の骨折は出産に影響するか?

これはある医師に聞いた話。

「よく『尻もちをついたら尾骨を骨折して、尾骶骨の先が内側へ折れ込んでしまったまま固まった』なんて話を聞くけれど

切ってみると尾骶骨はプラプラしているんだよ。

恐らく尾骶骨が動きを失っていた原因は周辺の筋肉たちの過緊張にあるんだろうね。」

という話を聞きました。

そう考えると尾骶骨が内に向いてるからと言って気に病む必要もなさそうです。

 

参考文献:『オステオパシー総覧』エンタプライズ 1998年

 

さて、いかがでしょう?

これらが海外の産科分野で「骨盤」や「脊柱」の徒手医学のスキルを活かしている医師の声だそうです。

ちょっとは不安が薄れましたでしょうか?

不安は一番の毒ですからこれを読んで、ホッと胸をなでおろしていただけたら書いた甲斐もあろうというもの。

 

あ、勘違いの無いように言いますが、

私は妊娠時に何もする必要がないと言っているわけではありません。

むしろ妊娠全期を通じて定期的に身体を整えることには大賛成です。

腰が痛い、手首が痛い、息が苦しい、そんな相談に徒手医学はちゃんと答えてくれますから、

都度現れる苦痛を我慢しすぎることなく気軽に頼ってもらいたいなと思います。

それから妊娠中の骨盤周囲への手入れは穏やかな手法をチョイスすることになります。

基本的にホルモンの影響で弛んだ関節に対して「ボキボキ」やるようなことはないんです。

ですので、その点もご安心ください。

 


セカンドプルの諸問題をヒップスラストで解消

2017年05月26日 | トレーニング日記

下の動画はここ1週間の出来事。

ウエイトリフティングをされる方にはちょっといい話なんではないかと思います。

え?

私、ウエイトリフティングなんて興味ない?

そう言わずに、

ウエイトリフティングというとちょっと馴染みのない遠い存在かもしれませんが、

ことヒトの身体機能を効率的に開発するのに優れた手法なんですよ⁉

これを切っ掛けに、興味をお持ちいただけたら嬉しいです。(*´ω`)

動画では「ヒップスラスト」というエクササイズを紹介していますが、

このエクササイズ、後ろに反ると痛むようなタイプの腰痛ではセルフケアとして提案することもある手法です。

その場合、大きな重りなんていりません。

痛みのない範囲で6~8回ほど繰り返して、反った時の痛みが軽くなるかを判定するんです。

痛みの治療において大切なのは、「痛み」自体ではなく「機能の正常化」なんですね。

なので、「痛いから動かさない」ではなく、患部が傷つかないで済む「正常な身体操作」を身体に学習させるために積極的にトレーニングを生活に取り入れることも重要なことなんです。

スポーツに限らず、より効率的な運動を獲得するためにたゆまぬ努力が大切です。

目的とする運動の効率化を図りたいときには「目的の運動そのもの」を試行錯誤しながら繰り返すというのがスタンダードなわけですが、

時には斜め上からのアプローチもおもしろいものです。

動画では部分的な問題点にフォーカスした「動作改善」のツールとして

「ヒップスラスト」というエクササイズを選択し、それによる競技動作の変化をまとめました。

競技動作のように複合的な動作全体の中から問題点をピックアップし、その改善のための手法を当てはめてゆく作業は治療と共通しています。

ヒトの身体を機能させるという点において、トレーニングと治療は一続きなんだという事を実感させられる出来事でしたのでちょっと皆さんにも見ていただきたいなと…

 

一生懸命に作ったので、もしよかったら一度ご覧になってみてください。(*´ω`)


都大会から5日後の自己ベスト更新

2017年05月12日 | トレーニング日記

都大会から5日後の練習にて、

今年の上半期の目標重量、スナッチ70kg/クリーン&ジャーク90kgをBOX(台の上からの意)で成功。

嬉しいのは確かなんですが、なんで試合当日でなくこの日だったのかなぁ…

ま、成長できているという確かな手ごたえを得られたのでOkです(;^ω^)


5/5は親子対決!の巻

2017年05月08日 | よもやま話

GW、皆さんはいかがお過ごしでしたでしょうか?

我が家のGWのイベントは

5/3に行われたウエイトリフティングの試合出場と

5/5の国立市ファミリーフェスティバルでのウエイトリフティングのイベントのお手伝い

でした!(*´ω`)

5/5のイベントでは沢山のスポーツの体験イベントが行われており、ウエイトリフティングのほかにもティーバッティングや(プチ)カーリング、卓球、スポーツチャンバラなどのブースがありました。

今日はそこでのちょっとお父ちゃん的に嬉しい一コマをご紹介させていただきたいなと思います。

 

小学6年からウエイトリフティングを始めた息子ではありますが、中学では剣道部に所属しています。

なぜか?

それは剣道が魅力的だったからというのが1つ。

もう一つはウエイトリフティング部が中学校になかったから…(;^ω^)

息子ももう中学2年生です。

剣道歴も約1年になりました。

実は私も高校時代に剣道部におりまして、一応弐段を頂戴しております。

かねてより、息子がどの程度の腕前か興味があったんですよね。

ちょうどウエイトリフティング体験会ブースの隣がスポーツチャンバラのブースでしたので、

道具をお借りして親子対決をすることに相成りました。

現役とはいえ剣道歴1年かつ無級の息子には負けることはないだろうと高をくくって始めた親子対決。

結果やいかに⁉

↓こちらをごらんください

一本目:出小手で息子の一本Σ(゚Д゚)

二本目:合い面で息子の一本(T_T)

試合(三本勝負で競います)ならストレート負けです。

いやはや、驚いたのなんの。

一本目は絶対に譲らないつもりでしたので、まさか取られようとは…

どうせ出小手(相手の出鼻に小手を打つというカウンターアタックです)を狙ってくるだろうと判っていたんですけどね、

構えの足幅が広かったので踏み込めないだろうと思っていたんですけどね。

予想に反して踏み込みが鋭くて、バックリいかれちゃいました…(;´∀`)マジカァ~

あの踏み込みの鋭さはウエイトリフティングの効果でしょうね。

あとはメンタル面の強さも感じました。

『勝てないだろうなァ…(;´∀`)』という気持ちが心を覆いつつも

その不安を『ぜってぇ~勝ってやる!(ΦωΦ)』と跳ね返す気持ちの強さを見せつけてくれたあたり、

父親として嬉しかったです。

こうして息子の成長を肌で感じることができて、なんとも幸せなひと時を過ごさせていただいたGWでした。


5/3のウエイトリフティング東京都大会の結果

2017年05月07日 | トレーニング日記

先日の大会は残念ながら目標重量に至りませんでした(;^ω^)

一本目、体勢を崩したのがきっかけだと思うのですが、両脹脛が攣った中での試合という貴重な経験を積ませていただきました。

内心『ちぎれそう…(;´∀`)』な不安いっぱいだったのですが、こんな時にも徒手医学は役に立つんですね。

最後の一本までに痙攣を止めることに成功し、何とか自己ベストへの挑戦は果たせました。

結果は残念でしたがその過程には満足です。

次回は8月。

またコツコツ積んでゆこうと思います。


明日は都大会(重量挙げ)に参加してきます

2017年05月02日 | トレーニング日記

明日は早稲田でウエイトリフティング都大会があるんです。

で、親子そろって出場予定。

息子はつい先日、スナッチ60kg、クリーン&ジャーク75kg、バックスクワット100kgのベスト更新を遂げ絶好調。

それに比べてスナッチ60kg(ベストは68)クリーン&ジャーク85kg(ベストタイ)と若干足踏み状態の私。

それでも試合3日前にしてようやく、そして辛うじて歯車が噛みだしてくれた感じなのです。

直前までガッタガタでした…(^^;

しっかし、中2になりたての息子の成長には我が子ながら目を見張るものがありますよ。

成長期ってすごい!

スナッチはあと8kg、クリーン&ジャークはあと10kgで私のベストと並びます。

早く親父を超えてくれ!との想いもありますが、

『そう簡単には超えさせねえよ(ΦωΦ)』

と、大人げなくも思ってしまう42歳だったりします。

だってね、簡単に親父の背中を超えさせたら人生舐めちゃいますからね。

教育上よろしくない!

うん、

よろしくないな、うん。

 

明日の試合、息子は目標スナッチ60?61?kgクリーン&ジャーク78?80?kgを狙い、

私はスナッチ70kg(息子が61kg成功したら71kgに挑戦予定)クリーン&ジャーク90kgを狙います。

かっちり息子よりプラス10kgで挙げてきたいと思います!

って、13歳相手に10キロ差狙いって、すでにしょっぱいんですけどね(;^ω^)

何はともあれ、明日はアドレナリン全開で頑張ってきます!!!

↓下の動画は4/30日の最終調整の模様です。


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