「社交ダンスに力はいらない。」
という意見に半分賛成。
そして半分反対。
う~ん(-"-)
今、デリケートゾーンに手を突っ込んだ感が半端ないなぁ…
怖いなぁ…
やっぱし書くのやめようかな…
でも、書いた方がいいと思うので、誤解を恐れずに書こうと思います。
いままで社交ダンスの先生方のサポートをしてきて思うことがあるんです。
ダンスの良し悪しは「運動の正しさ」を前提としているんだな、ということです。
その根拠は、一見派手に動いて目を惹いても、それが正しい動きでなければ評価されないという事実から。
では、何を持って「運動の正しさ」を考えたらいいのでしょうか?
それは目的の運動に対して、「最も効率的な身体の使われ方」がされているかどうか、ということです。
無駄が無い「効率的な運動」であれば正しく、無駄だらけの「非効率的運動」であれば正しくないということです。
では、何をもって「最も効率的(=最大効率)な身体の使われ方」とするのか?
それは、「最も省エネで目的のアクションを取れる身体の使われ方である」かどうか?ということです。
つまり、最も少ないカロリーで最大限の仕事が出来る身体の使われ方かどうか。
ここで気をつけたいのは、
「最小限の力」でのアクションと「最大限の力」でのアクション、
その二つは同じであるとも言えるし違うとも言えるという点です。
二つは最大効率という点ではイコールです。
でも、最小限の力と最大限の力では「仕事量」つまり成果に差が生じます。
当然最大限の力で行った時の方が「仕事量」は大きい。
※ここでの「仕事」というのは物理学のいうところの「仕事=力×距離」のことです。
私が見る限り社交ダンスは、
ダンスという身体表現が「正しい身体の使われ方」によって成されていることが、
有り余る力を無駄に動員してなされる表現よりも高い評価が与えられる競技なのでしょう。
では、同等のダンスセンスを持ち、共に「正しい身体の使われ方」である者同士の戦いにおいて
何が優劣を分けるのでしょうか?
思いつくままに例をあげるならば、
・より大きな(ダイナミックな)表現が出来る
・緩急を自在に操れる
・発揮し得る力の強さ
・持久力の高さ
つまり、まとめると「フィジカル=身体能力」です。
そう!
「力」です!
うわっ、言っちゃった(>_<)
あっ!
チャンネルはそのまま!\(゜ロ\)(/ロ゜)/
もうちょっと先まで読んでくださいね!
表現力などのスキルも含め、身体の使われ方が正しく同等な二者が試合ったならば、
その優劣は身体能力に左右されるというのは、どの競技においてもごく当たり前のことです。
なので、
「社交ダンスに力はいらない。」
という意見に半分賛成、そして半分反対なのです。
格闘技のように、相手をぶっ倒す圧倒的な力は必要ありませんが、
自分の思い描くダンスを思い通りに表現する筋力は必要です。
必要不可欠です。
身体を思い通りに操作する能力を「巧緻性」といいますが
それは主として目的とする動作に対する運動プログラムの制度の高さ、
つまりは「神経のネットワークの発達」によって発揮される能力です。
でも、だからって筋力が必要ないかというとそんな訳はないのです。
例えば「立ち上がる」という動作。
身体の使い方を効率的に行うことで筋力の弱さをカバーすることは可能です。
しかしこれは、「動きを効率化することで立つ」という動作にギリギリ足りるだけの力がある、
という前提ではじめて成立する話なんです。
どんなに効率的な身体操作をめざしても、筋力が「立つ」という動作をするのに足りなければ立つことはできない。
ならば筋力強化をする、というのが当然の流れなわけです。
自分の身体をあらゆる方向へコントロールできる能力はアスリートであれば「前提条件」です。
ダンサーだから腕立てできなくてもOK!?
逆立ちできなくてもOK!?
私の答えはNOです。
え?
いくらなんでも腕立ては関係ないだろ!?
いえいえどうして、関係おおありです。
先の「腕立て」の意味を具体的に説明するならばこうなります。
女性のパートでは斜め後方へ上体が傾斜しますから、胸鎖乳突筋(特に右)に負担がかかりがちです。
これは重力に対して頚の前面の筋肉たちをメインに使っているからです。
でも、腕立ての姿勢を思い起こしてほしいんです。
上腕三頭筋は肩甲骨を介して胸と首、頭を後ろから支える筋膜のグループ(ユニット)の一員です。
これらが強く働くと胸から頭までのラインを長時間キープするのに大いに役立つハンモックに早変わりです!!
これを利用しない手はありません。
海外のトップ選手は当たり前に使っていますよ!(私の見たところですが…)
嘘だと思ったら海外のトッププロの女性の背中を見てください。
肩甲骨の間の筋肉が見事に「切れてる!」※これはボディビル用語ですね(^_^;)
腕立てについてもっといえば、
腕立て伏せで取られる姿勢は骨盤と脊柱の位置を
正すために働く腹筋群(コアマッスルの一つ:コアトレって最近話題でしょう!?)を強化するにも好都合なんです。
ヒールを履いた状態で踊ると、どうしても骨盤を腹筋で巻き上げるのが難しくなります。
だからこそ、腹を鍛える価値があるわけです。
ね、腕立て伏せ一つとっても色んなメリットがあるでしょう!?
ちなみに、こうした体幹機能への効果を得るには、
きちんとしたフォームで30回は出来るように頑張りましょう。
ちなみに10回ぐらいでフーフー言ってしまうようだと「やばい」です。
それはなぜか?
10回で出し切るほどの強度の運動で高まる能力は筋肉を太くする効果が期待できるもので
「最大筋力(発揮できる力)」を高める目的の運動強度となります。
これに対して13回以上できる運動で高まる能力は「持久力」。
自分の身体を安定してコントロールし続けられるようにしたいなら、
せめて30回は出来る程度のポテンシャルはあった方がいい。
スポーツによっては身体の強さではなく、思い通りに身体を操作することの方が
その勝敗において重要となるケースは普通にゴロゴロしています。
社交ダンスもその一つでしょう。
でも、求められる運動に沿って自分の身体をコントロールするに足る筋力が無かったらどうなるでしょう?
逆に、世界のトッププロと同等の身体能力があったなら!?
以前、社交ダンスの元世界チャンピオンだったというコーチャーさんは、私にこう言いました。
僕は現役時代毎日2時間(約20キロ)走った。
ウエイトトレーニングもやった。
身体が強くなければ、スキルを活かせないから。
日本のプロはなぜフィジカルを鍛えないんだ!?
PCに例えるなら、どんなに良いソフトがあってもハードの性能が足りなければソフトの力を発揮しきれないでしょ!?
といったところ。
ゴリマッチョになるためではなく、
思いのままに身体を操るためのトレーニングは必要なんだと思います。
そうした要素をハンマー投げの室伏選手は「ファンダメンタル」と言っています。
ダンスのスキルや表現力はまさにセンスがものをいう世界だと思います。
でも、フィジカルトレーニングは「やるかどうか」の世界です。
やればやっただけ自分を引き上げてくれる。
毛嫌いしないで、やってみたらいいのに…
と思わずにはいられない今日この頃でした。
ん~、なんだかしまらないエンディングだな(-"-)