大分症状が落ち着きつつも、時折再燃をみるCM関節症のAさん。
ふと、いつも通りの評価で何か見落としがないかと思い、
患部からの緊張がどこに波及するか「傾聴:けいちょう」という評価法を使い調べてみました。
この方法、患部を優しく触れ、眼を閉じたまま、
ただジィ~~っと触れた部分の動きを追うだけのシンプルな技法なのですが
傍から見るとちょっと滑稽な感じになります。
いや、正直に言おう。
見た目、怪しい。
でも、上手く使えるようになると、一般的な評価に引っかからないような、
細かな情報も見いだせる優れモノでもあるんです。
直立するAさんの前にかしずき、両方の親指をつまんで目を閉じること十秒ほど。
なんと緊張は痛めている指側の眼窩の下縁に通じているではないですか!
頭蓋骨を調べてみると、
左の上顎骨が後ろに倒れたまま、おじぎ出来ずに居ることが判りました。
で、その上顎骨は反対側の頭頂骨と引き合っているようです。
理論的にそれらの問題と手の問題がどうつながるのか頭の中で説明ができず、
『はてさて、どうしたものか…』
とも思ったのですが、
「関連があるのは明らかだ!」と手に返ってくる緊張が物語っていましたし、
そこに時間を割いても大した手間ではないので、
感覚に則って介入することにしました。
さて、上顎骨にアタックするぞ!
っと、その前に、まだまだやるべき手順があるんです。
あ、「くどい」とか言って読むの諦めないでくださいね。
これからが山場!
本当にそこが関連していたかを介入後に確認するために、
はじめにCM関節の可動性(動きの範囲)と痛みの程度を確認します。
CM関節症の患者さんは物をつまんで捩じるような動きで痛みを訴えますので
治療前にボールペンをつまんでねじってもらいました。
当然「痛い」とAさん。
ようやく上顎骨へアタックです。
左の上顎骨を左手でコンタクトしたまま、
右の頭頂骨を軽く外転方向に導くと、
あっけないほど簡単に上顎骨は動きだしました。
その後、CM関節の動きを確認すると、どうやら介入前より動きが良いようです。
そして、Aさんにまた痛みのチェックをお願いしたところ、
「痛くないです」
とのお返事。
流石はオレ
これだから徒手医学は面白い。
おすでなく、揉むでなく、軽く触れただけでも診立てがあっていればちゃんと変わってくれる。
不思議ですよね。
もちろん、それだけでは全ての問題が解決できるわけではありませんので、
その後もみっちりと手を入れたのは言うまでもありません。
え?
なんでこんな話をしたかって?
それは…
自慢話です(爆)
だって、はた目から見たら「仙人」みたいじゃないですか!?
ま、そうした結果が出たのも「成るべくして」であって、Aさんの状況がそうであっただけなんですが。
日々の臨床では時折こういったケースに出逢う訳ですが、
こうした経過や結果はやはり嬉しいものなんですね。
毎度毎度という訳ではないだけに(笑)
以上、自慢話でした!