このところ全国的に感染者が増えており、
いよいよ医療崩壊が起こるのではとそこここでささやかれている今日この頃。
しかし一方で
第2波を迎えた各国で重症化する患者さんが第一波よりも少なくなっているという話もあり
ウイルスの弱毒化もささやかれるようになりました。
その昔、専門学校の授業でも新規のウイルス感染症では代を重ねるごとに弱毒化してゆくのがウイルスの生存戦略だときかされました。
よりうつりやすくなるということは、感染者(宿主)のダメージが浅く自由に動き回りうつしまわるから起こることだと、
そう聞かされ納得したものです。
感染力が強くなり、巷にあふれるとうわさされるコロナが単なる風邪程度になっているのであればこんなにありがたいことはない。
弱毒化していることを祈るばかり…なのですが
一方でこんな話も出てきました。
10日ほど前の記事にあったのですが、
カリフォルニア大学サンフランシスコ校の感染症専門医モニカ・ガンディーという先生が、
マスクはコロナの重症化を防ぐ(可能性がある)と発表しました。
ガンディーいわく、
マスクで顔を覆っている状態は吸い込むコロナウイルスの粒子が少なく、
それによって免疫系が撃退しやすくなるので感染はしても重症化を免れることができる。
多くの人がマスクの力で無症候で感染すると集団免疫も安全に獲得できるかもしれない。
というご意見でした。
実に興味深いお話しですね。
以下に「Journal of General Internal Medicine 」に掲載されたという論文の概要をご紹介します。
COVID-19パンデミックの間、集団レベルで顔面マスクをして他の人を保護することの利点は非常に注目されているが、
我々は、ウイルス学的、疫学的、生態学的な証拠をまとめて、
一般的なマスクをすることでマスク着用者のウイルスの「接種量」または用量が減少し、
より軽度で無症状の感染症症状につながるという仮説を初めて論じた。
マスクは種類にもよるがすべてを除去するわけではないもののウイルス粒子の大部分を除去する。
我々はまず、ウイルスの接種量と疾患の重症度(ウイルスのLD50または致死量として概念化されている)について、
ほぼ100年前の文献について議論する。
閉鎖的な環境(クルーズ船など)での集団レベルのマスクの着用による無症候性感染率の上昇を例に挙げる。
無症候性感染は感染拡大には有害であるが、暴露率を高めることができれば、実際には有益である可能性がある。
マスクの着用を用いてSARS-CoV-2に社会を曝露することは、
重症化という容認できない結果を招くことなくコミュニティレベルでの免疫力を高め、
ワクチンの開発を待つ間、感染の拡大を遅らせることにつながる可能性がある。
集団レベルのマスク着用下でのSARS-CoV-2(新型コロナ)のウイルス接種による
軽症または無症候性疾患に関するこの理論は、
COVID-19パンデミックコントロールの柱として、
個人(および他の人)のためのマスク着用の利点を示している。
※www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳し一部意訳したものを掲載しました。
論文では
2月のダイヤモンド・プリンセス号でのクラスターと3月のアルゼンチンの客船内でのクラスターを比較する話もありました。
ダイヤモンドプリンセスでは船内で感染した人の80%が発症したそうです。
ダイヤモンドプリンセスでは隔離はしたもののマスクを配ることをしていなかったそうです。
一方、3月にアルゼンチンを出港した別の船では感染者が確認できた時点ですぐにサージカルマスクを配布したそうで、
この船では症状の出た患者の割合はなんと20%以下だったそうです。
豪華客船の乗客は高齢の方が多いですから、それでも発症が1/4に抑えられた(3/4が無症候感染)というのは素晴らしい成果です。
さらに、アメリカ某所の水産加工場でのクラスターでは全員がマスクをしており90%以上が無症候だったといいます。
他にも様々なケースでの対比から、マスクをしている比率が高いと重症化が防げる可能性が高いと主張していました。
なるほど、「マスクは人のためならず」だったんですね。
となると気になるのが今の日本の状況は「弱毒化」「集団でマスクをしたことの効果」どっちなんだ?といったところ。
マスクの効果で被害が少なかったんだったら「弱毒化してるみたいだしもういいかぁ」とも行きませんし…
まだもうしばらくは様子見ですかねぇ。