すべり症・脊柱管狭窄症:セルフケア動画

2011年06月26日 | 治療の話
腰椎すべり症という障害と、脊柱管狭窄症という障害は

腰の痛みを引き起こしますが、まったく別の障害です。

でも、痛みの直接の原因が同じな場合、

その治療の要点は共通のものになるから面白い。


ん?

面白がってるのは私だけ!?


ま、いいでしょう。



逆に同じ障害であっても、

その原因がAさんとBさんで異なることもあり、

その場合は治療の要点も異なるものになるんです。


実に面白いと思いませんか?

ん?

面白がってるのは私だけ!?


ま、まぁ…

いいでしょう!



今回は異なる障害の患者さんでも、

痛みの原因が共通していれば同じエクササイズで楽になりますよ

というお話です。






ぎっくり腰で治療中のCさん(女性)。

二度ほどの治療で、だいぶ動けるようになりましたが

まだ、長いこと椅子に座っていると立ち際に強い痛みが腰を襲います。

Cさんの腰を診てみると、腰骨の真ん中の出っ張り(棘突起)が

痛めているあたりから階段のように出っ張っています。

おそらくは「すべり症」であろうことが伺えます。


※私の資格ではレントゲンなどの検査はできないのですが

表面から見てわかるほどの階段状の「ずれ」は

腰椎椎体の1/2程が前方に滑っている状況だといわれます。



稀に背骨の後ろ側に並ぶ椎間関節という関節の重なり合いが

生まれつき(先天性の問題として)浅いケースがあるそうで、

そういった関節を持っていると、背骨のぐらつきが大きくなり

それが原因で、長い人生の中で徐々に背骨が変形したり

前に滑り出して行くことがあります。

これは「変性すべり症」のストーリーですが、

医学書を見ると、女性に多いとされています。

体表からの所見から、Cさんもそういった

特徴的な腰椎の構造があるのかもしれないと考えました。

※「分離すべり」はまた別のストーリーを持ちます。

更にお身体をお調べすると、

Cさんの腰の痛みは慢性的に疲労をためた腸腰筋の故障が

直接的な原因となっているようです。


今までの腰痛の歴史を聞いてみると、

これまでも度々同じような故障を繰り返してきたようでした。


腸腰筋の故障による腰痛の特徴は、後ろに反る動作や、立ち際の腰痛です。

状況証拠や経過を聞くに、やはり腸腰筋が怪しい…



また、この筋肉があんまり硬くなると腰の反りが強くなりますので

仰向けで寝るのが辛くなります。

そういった方は、仰向けになっていただくと

すぐに膝を立てて腸腰筋を無意識に休ませようとします。

Cさんもご他聞に漏れず。

なもんですから、すぐに「ピンッ」と来たのです。



同じような症状でご相談いただいているDさんは

「脊柱管狭窄症」との診断が下っています。

脊柱管狭窄症とは、背骨から神経が顔を出すあたりの関節に

変形が生じてしまい、神経の圧迫を生じることから

腰や脚の痛みやシビレを起こす障害です。

Dさんの腰骨の変形は椎間関節に生じているそうです。


Dさんの場合は主に

仰向けに寝るのが辛い・後ろに反ると腰からお尻にかけてが痛い

といった症状に悩まされています。

そして、仰向けになっていただくと

すぐに膝を立てて休んでいます。


なんだかCさんに似ていますね。


Dさんのお身体を調べてみると、これまた腸腰筋の緊張が高い。



また、

歩く際に、私たちの股関節は10度ほど後方に開くのですが、

腸腰筋は股関節を曲げる働きのある筋肉ですから、

ここが縮むと歩く度に股関節が伸びない分を

腰を反り返らせることでまかないます。

ようは女性らしく(というと怒られるかな…)

お尻を振りながら歩くわけです。


そうなると、腰骨はグラつき、徐々に関節は傷つき変形してゆきます。

この動きがDさんの背骨を変形させてしまった張本人でしょう。

いまは変形した関節が神経を傷つけて痛みが出ているので、

治療としては、このぐらつきを先ず抑えなくてはなりません。

となると、やはりDさんも腸腰筋の長さを

取り戻すような手立てを講じないとならなくなります。



お二人は、片や「すべり症」、片や「脊柱管狭窄症」と

別々の故障ではありますが、

「腸腰筋の故障が痛みの引き金となっている」

といった点で、その治療の要点は共通しています。

二人の腰痛を治すには、腸腰筋の緊張を和らげて、

周辺の筋肉とのバランス(協調性)を取り戻す

といったことをすればよいということになります。


この「よみ」が果たしてあたっているのだろうか!?

確かめるためにも、腸腰筋へ手を入れるわけです。

ありがたいことに、

予想通り、CさんもDさんも腸腰筋の緊張を解くことで

腰の痛みを緩和することができました。

ただし、腸腰筋の固さは依然として強く

日常生活をおくる中で再び元に戻ってしまいやすい状態です。

なので、カラダを回復の流れに載せるために

自宅でできるセルフケアをお伝えすることになるわけです。


ふう、長くなったな…


では、手っ取り早く動画で

CさんDさんにお伝えした「腸腰筋」のセルフケアをご紹介します。

直接腸腰筋を引き伸ばす方法ですと、

腰部の関節周囲に炎症が残っている場合

悪化させてしまう可能性がありますので、

腸腰筋とつながりの強いふくらはぎの筋肉(後脛骨筋)に刺激をいれて

間接的に腸腰筋の緊張を解く方法をお伝えします。

では↓こちらをどうぞ。



大阪から戻りました!

2011年06月21日 | セミナー/講習会
戻りました!

って、戻ったの日曜日の夜なんですけどね。

昨日は抜け殻のように「ぼけー」っとさせていただきました。

※ボーっとしつつも月曜定番の「休日料理人」はしっかり勤め上げました。
献立は ミートソースのピザ(生地もお手製)/手打ちうどん(前回はひどかったが今回は旨かった!)
冷蔵庫で朽ち果てる寸前だった「りんご酢」と冷凍庫で忘れられていた「エボダイ(!?)の開き」の散らし寿司 以上三本立てです!



しかし、人数多いと力も使いますね。

結構ヘトヘトでした(笑)

さて、当日は初顔合わせが多かったということもあり、

基礎知識から丁寧にお話させていただきました。

参加された皆様は、病院や接骨院など保険医療機関で活躍される先生が多く

比較的短い時間で効果を発揮しなくてはならない現場の方々でしたので

そういった現場でも大きな効果を発揮してくれる方法をご紹介させていただいました。


次回は7/18日に東京で変形性膝関節症についてお話させていただきます。

膝のOAは私のライフワークともいえるお題です。

しかも、手技の内容は昨年から更により効果的な方法へとバージョンアップしています。

できれば同業者みんなに伝えたい。

次回も多くの先生方の参加をお待ちいたします。

大阪に行ってきます

2011年06月17日 | セミナー/講習会
6/19に大阪で「肩峰下インピンジメント」という障害の治療法について講義をしてきます。

参加人数70名。

それでもキャンセル待ちの出か今回。

参加される皆様の期待に応えられるように、がんばりたいと思います。

チョッと早いですが、本日午後に東京をたちます。

患者様方にはご迷惑お掛けしてしまい申し訳ありません。

僕の留守中は副院長が守ってくれます。

では、行ってまいります!

これは悲劇なのか?喜劇なのか?

2011年06月16日 | コンディショニングの話
ついさっき、

ダンサーのA先生にお願いして、

コンディショニングの様子を資料として動画に収めさせていただきました。

競技動作を確認し、

問題点を評価し、

足部から胸郭までの可動制限を手技で解除し、

下肢~骨盤の連動性を高め、

そこから上肢までをつなげ、

競技動作を再度確認し…

目に見える形で変化を捉えることができました。


で、いそいそとPCに動画を取り込もうとしたわけです。

『これはいい絵が取れたバイ』

とホクホクしながら作業にいそしむ36歳。


が、しかし


「…?」





なぜかPCが受付けてくれない。




しつこく食い下がる36歳。




テイク5目に悲劇が起こりました。



きっと容量が大きすぎるのだろうと、

動画を分割しようとしていたら、

こんな表示が→「この動画を消去します」


「ちょっと×2(汗)」

あわてて止に掛かるもまったく無視するカメラ君。







なぜ…




これは悲劇か、はたまた喜劇か。

A先生、せっかくご協力いただいたのに

ほんと申し訳ない。


嗚呼、返す返すも口惜しい。

くやしぃーーーーー!

【骨盤の評価と徒手的介入法を知ろう!】徒手医学的評価と介入シリーズセミナー

2011年06月16日 | セミナー/講習会
<<< 事務局よりセミナー受付開始のご案内 >>>

いつも当ブログをご愛読いただきましてありがとうございます。
新セミナーの受付を開始いたしましたのでご案内申し上げます。


【セミナータイトル/テーマ】
マニュアルメディシンを知ろう!徒手医学的評価と介入(8・9回セット開催)
第8回「骨盤の評価と徒手的介入法を知ろう!前編」
第9回「骨盤の評価と徒手的介入法を知ろう!後編」

【内容紹介】

骨盤部は、腰仙関節・仙腸関節・恥骨結合・ペルビックガードルを代表する筋膜組織など、それらの関係性を考え出すと非常に難解な部分でもあります。

骨盤の持つ基本的な「しくみ」をひとつ一つ理解し、『より分かりやすく、実践的な』構成で講義を進めます。

各部位のもつ機能を「感触」と「視覚」をベースに評価する手立て、および、個々の問題を解消する単純な手立てを手にし、初心者であっても「結果」を導き出します。


【開催日時】
 第8回 8月28日(日)9:30~16:30
 第9回 9月 4日(日)9:30~16:30

※上記2日分セットでの開催のため2日間あわせてのお申込みにて承ります


【講師】
 古川容司
(とよたま手技治療院・徒手医学臨床技術研究会代表、徒手医療協会理事長・指導員、健康運動指導士、介護予防運動指導員、鍼灸マッサージ指圧師、JATI-ATI)


【詳細】
 徒手医学臨床技術研究会 オープンセミナー事務局


…今年は講義の時間を2倍にし、
 2日にわけてじっくりと腰をすえて
 講義と実技練習を行います。
 ご興味をもたれた方があれば、ぜひご参加ください。

 
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徒手医学臨床技術研究会
オープンセミナー事務局
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カンブリア爆発!?

2011年06月14日 | コンディショニングの話
【カンブリア爆発】

古代カンブリア紀(5億4200万年前)

突如として多様な生物が発生したといいます。

現在の生命の基本形はこの時期に出揃ったといわれる。

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その後の進化もカンブリア紀に発生した生物が

持っていた基本形に対する「マイナーチェンジ」

といった程度の変化なのだそうです。




さて…


とよたま手技治療院では、故障に対する治療と共に

「コンディショニング」というサービスを提供しています。

故障からの回復期に、

競技力の向上に、

「正しい身体の使われ方」を

カラダを制御する「運動プログラム」から修正することを目的に

運動療法を展開しています。


3年ほど前に気付いた理屈が、この半年で爆発的に多様性を増してきています。

その切っ掛けとなったのは、あるアスリートのXさんです。

Xさんは毎週1回、競技力向上を目的にいらっしゃいます。

その先生との掛け合いが新たな発見につながり、

その発見が臨床上見られた現象同士をつなぎ…


密かに

「カンブリア紀に入ったな」

と、ほくそ笑んでおります。

この状況って、臨床家として、とんでもなく楽しいです。

苦しい時も踏ん張って、思考を停めず、手を止めず

がんばってきてよかったなと思います。


このままどこまで行けるか、

欲張るだけ欲張って、

進めるだけ進んでみたいと思います。

調子悪かったんです

2011年06月11日 | よもやま話
十条SC所属のK君は、

月に2度ほど身体の調整とコンディショニングに来ています。

先日コーチのT先生が

「調子いいですよ!

 走り自体が変わってきた!」

とおっしゃっていたので、お母さんに

「息子さんの調子はどうですか?」

とお聞きしたんです。


K君、先日試合だったんです。

200Mの試合に出るといっていたので

結果が少し気になっていたんです。

内心「調子よかったですよ~!」的な答えが返ってくると思っていたんですが

お母さん「調子悪かったんです…

 タイムも全然でしたし…」

私『…。』

お母さん「試合当日、雨がひどくて」

私「ああ…

 ま、状況が状況だったんでしょうし

 そんな状況が得意な子もいるでしょうしねぇ…」

苦しいフォローを重ねつつ、しばし沈黙。

私「じゃあ、順位も良くなかったんですね?」

思い切って切り出してみると

お母さん「あ、優勝しました。」






ほんとね、ハットリ君だったら「ズコッ!!」ってひっくり返ってますよ。

お母さん、雨ザンザンで自己新でたらそれこそひっくり返りますって。


何はともあれ、おめでとう!

ですね。

次の試合は今月の25日とのこと。

Kくん、がんばれ!!!

空手少女と空手MAN

2011年06月10日 | よもやま話
空手少女のAさん

昨日、試合前の最後の調整にご来院。

手技による操作はそこそこに、

運動療法を用いたコンディショニングがメインとなりました。

膝蹴りや上段蹴りの蹴りのキレを増し、

パンチのリーチを伸ばし…

一つ介入するごとに、

Aさん「おっ!?」「おお!?」

と、嬉しいリアクション。

最後は「がんばってね!」と固い握手で介入終了。


一日の診療を終えた帰り道、

「オ~ス!先生!」と空手MANのB先生。

内心『今日は空手付いてるな』と苦笑い。

B先生もAさんと同じ流派。

大阪では選手として戦います。


対戦相手の話を少し聞きながら、

ついB先生の姿勢を読んでしまう自分にまた苦笑い。

それに気付いて姿勢を正すB先生。

これはもう職業病ですね。


だいぶ精神的に緊張しているように思いましたが

試合直前に「平らかな心持」でいられる方が稀でしょう。

諸々心配事もあるようでしたが

B先生は、気持ちが乗った時に非常に高いパフォーマンスを見せてくれる選手です。

なので、気持ちの持ちようがとても大事。

「大丈夫ですよ!」

と太鼓判を押させていただきました。


ただ、姿勢を見る中で一点だけ気になることがありました。

ちょっと左の高い蹴りが出し辛そうな姿勢をしています。

確認の意味で、

私「この相手であれば左ハイが入るんじゃないですか?」

と水を向けてみると、

B先生「右ハイにも気をつけないと…」

と帰ってくるあたり、

読みがあたっているのかもしれません。


外れて欲しいところですが…



それならそれで、別の戦略を立てればよいことですし、

その試合では、おそらく延長までもつれ込むであろうと予想されますので

高い蹴りは戦略上必須ではありません。

あれば早い段階で勝負を決める要素にはなりそうでしたので

チョッとだけ気になったんです。

今回の対戦相手であれば、むしろ回転の良いパンチと膝蹴りの連携が

カギとなるだろうと思います。

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※対戦相手の選手は、3~4発攻撃をもらっても、

そのうち終わりに強い一発を反すことで

攻められている印象を消してしまうのがとても上手なんです。

なので、できればその一発に合わせるか、

その直後にもう一発反すか、

とにかくこちらの攻撃で終わって欲しいところです。
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これに勝てば、また選手としての評価が大きく高まるであろう大一番。

なんだかこっちがウキウキしてしまいますね。


お二人ともがんばってください!

空手少女

2011年06月08日 | 治療の話
空手少女のAさんは高校生。

週末に大阪で行われる全日本大会を控えているそうです。

可愛らしい外見とは裏腹に

世界大会上位入賞(中学生の部)の実力者…

世の中、人は見かけによりませんね。


Aさんのご相談は、

稽古中に強い「ふくらはぎ」と「肩」の疲労に襲われるとのこと。

また、蹴りが出しにくいともおっしゃいます。


調べてみると、胸郭(アバラのカゴ)が丸まったまま動きを失っています。

また、腹筋もだいぶ固くなっているようです。


Aさんの空手はフルコンタクトルール。

お腹をバンバン叩き合いますから、

試合中ずっとお腹を引き締め続けているのでしょうね。


お腹の筋肉は肋骨に伸びていますから、

お腹の筋肉がカチコチに固まれば、肋骨を介して胸郭がおじぎし、猫背になります。




ここでちょっと脱線します。

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筋肉は縮めたまま使い続けると、

その長さが短くリセットされてしまいます。


これは「短い状態が普段使いになってしまう」ということなので

縮んだ筋肉がつなぐ関節の動きも窮屈になってしまい

関節や筋肉のトラブルの元となります。

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さて、Aさんの話。

私は、Aさんの諸々の悩みの大元はここにあると考えました。

と、申しますのも、

猫背になると肩の位置(肩甲骨の位置)は外に滑り、

肩を突き出された状態になります。



↑正常な肩甲骨の位置



↑「猫背」の時の肩甲骨の位置:肩甲骨の間隔が上の写真より広がっています。


この状態では胴体と腕の繋がりあいが悪くなりますから

力は伝わりにくいし、なにより肩関節を傷めやすいのです。


※肩甲骨が前に突き出た位置にあると、肩甲骨の向きに対して上腕骨がくの字に向き合うことになります。
この位置関係では上腕をしっかりと肩甲骨-体幹に固定できません。

パンチの際に肩関節がクッションになってしまい、力が伝わりきれないばかりか
それでも尚、強いパンチをうとうとすれば、肩関節の故障につながってしまいます。




※肩甲骨の向きと上腕骨の向きが直列にならんが状態です。
この「肩甲骨の向き」を肩甲平面:スキャプラプレインといいます。

この位置では肩関節を取り巻く筋肉が働きやすいので、故障しにくく、非常に強い力を発揮してくれます。



また、蹴りの際には多くの場合で、支点を胸に置くことになりますから

胸郭の動きが失われると、スムースに蹴りを打つこともできなくなります。

(下段蹴りは別。多くの選手はパンチと同じく骨盤に支点をおきます。)


↑胸を開きながら支点となり、胸より下が逆方向へと回転しています。



↑共に緑の線は股関節の角度をイメージして書き込んでみました。
 青い線はフトモモの回旋する向きです。
 下段蹴りもパンチも、股関節を曲げ(屈曲し)両方のフトモモを内側へ絞り込んで(内旋させて)います。
 どちらの運動も回転中心が骨盤内にあるように見えるでしょう!?

また、背を丸めた姿勢では、踵に重心が移りやすく、

脛の筋肉への負担も増してゆきます。


以上のことから、Aさんの悩みの大きな原因を

腹筋の短縮に起因する胸郭の動きの悪さにあると考えたのです。


さて、果たしてこの推理は正しいのでしょうか?


検証に移ります。


先ずは徒手医学の技術を用いて、関節に出来上がった可動制限を取り除きます。


私「ちょっと蹴ってみて。」

Aさん「あ、蹴れる!」

結果は良好の様子。

推理も外れてはいなかったようです。


その後はコンディショニングとして

蹴り際の体幹と下肢の連動性を高めるエクササイズを行い

蹴り→パンチ

パンチ→蹴り

の連動性を高める神経系のトレーニングを行うと…


『うん、いい感じ』←手前味噌…


Aさん本来の動きが垣間見えるまでになりました。




あとは試合当日のアップに使って欲しいエクササイズと

その順序について説明し

この日の介入は終了です。


【Aさんへ】

おもっきり暴れてきてくださいね~!

揺れましたね…

2011年06月04日 | よもやま話
昨日AM1:00頃だったでしょうか。

久しぶりに地震がありましたね。

被災地の方々は大丈夫だったでしょうか。

原子炉の作業に支障はなかったのでしょうか。

心配事の多い日々ですね。

思うに、ストレスが一番の毒ですよ。

どうにかならんもんでしょうか。

いやはや。

ランニング障害 : アキレス腱炎

2011年06月03日 | 治療の話
「アキレス腱が痛い」とご来院されたAさん。

Aさんは、仕事の昼休みに走りに行ってしまうほど、

走るのが三度の飯より大好きです。

それが、「足が痛くて走れない」

というのは由々しき事態。


私「どうすると痛みますか?」

Aさん「こんな風に、強く踏み切ると…」

目の前で痛めた脚で踏み切り、診察台にとびのるAさん。

Aさん「かかとの上が痛みます。」

とおっしゃる。


触ってみると、踵の骨にアキレス腱が付くあたりに痛みがあるようです。

でも、腫れたり熱を持ったりはしていない様子。

しかも、若干痛いながらも飛び跳ねることは難なくできているようす。


内心『これはレアなキズはないかもしれないな』とホッと胸をなでおろした私。


レアなキズでなければなんなのか?

調べるためにちょっとした検査を加えます。

痛む側の反対の肘を曲げリラックスさせた状態で、

先ほどの「痛む動作」に再度トライ。


Aさん「あ、さっきより痛くないかも…」


どうやら足首の緊張は腕の緊張からも影響を受けているようです。

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「脚の痛みなのに手に原因が」

というと、突飛な話に聞こえますが

それには理由があるんです。

骨盤を支えるチームとして働く筋肉の集まりとして

「アウターユニット」と呼ばれる筋肉たちがあります。


↑これが骨盤です


↑後面のアウターユニットです
 図版引用:Karageanes Principles of Manual Sports Medicine LWW



文献ではその筋肉たちは、仙腸関節を包むように

腕の付け根やアバラのカゴ(胸郭)から、膝までを繋いでいるとあります。

これらが歩いたり走ったりする際に働いて、

仙腸関節が壊れないように守っているんです。

で、ここから先は私見ですが、

これらアウターユニットと呼ばれる筋肉群は、

手脚の指先まで続いていると考えています。

ゆえに、手の緊張が足先の緊張とリンクしてしまうことも

あると考えるわけです。

先のAさんに見られた反応も、実際に治療の現場では良く見る現象です。

また、患部から離れた箇所の原因を見落とすと

なかなかスッキリ治ってくれないことがおおいのです。

スッキリ治らなければ来院回数が増えるので、

経営上は良いのですが、仕事的には面白くない。

なので、極力見落としのないよう

全体に注意を払って治療するように努めています。

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更に調べてゆくと、やはり仙骨の動きもおかしいようです。

仙骨は骨盤を構成する骨です。

骨盤は歩いたり走ったりするときに、捩れるように動きます。

その中心にあるのが仙骨です。

骨盤の捩れ運動が左右均等でないと足の運びも崩れ、

それが繰り返されると、時に故障につながったりもするのです。


また、仙骨は硬膜(こうまく)という脳や脊髄(せきずい)を包む膜で

頭蓋骨とつながっています。

腕の筋肉(筋膜といったほうが正確でしょうが…)は首や頭にも

伸びてゆきますから、それらの緊張は頭蓋骨の継ぎ目※にも影響が及びます。

※頭蓋骨は一個の骨ではなく、立体的なパズルのように多くの骨のピースが

組み合わさった構造をしています。



上肢の緊張が頭蓋骨へ伝わり、そこから硬膜伝いに

仙骨の動きの悪さにつながっている可能性も考えられます。



これについてはどう確認をしたものか…

答えは簡単、頭蓋骨の関節の強張りを可能な範囲で取り去って

仙骨の動きの変化を診ればいいんですね。


脚が痛いと相談したのに頭を鷲づかみにされ

いぶかしげなAさんでしたが、

私「では、また跳んでみましょうか。」

と確認すると

Aさん「あ、これが一番痛くない!」


こういった反応を見るとき、

「人体って本当に面白い」

って、嬉しくなっちゃいます。


これだからこの仕事は止められない。




これらの反応をまとめると、

Aさんの脚は、仙腸関節を挟んで腕から脚までを繋ぐ

筋膜の緊張のバランスが崩れたこと(高い緊張状態でバランスしているともいえます)と、

腕の緊張が頭蓋骨の関節を歪め、硬膜伝いに仙骨の動きを縛り

骨盤全体の捩れ運動に偏りを生み出し、

アキレス腱への負担が増したことで故障した。

と、そんな風に考えることができそうです。


治療後、胸郭から骨盤、脚の関節を

正しくリンクさせるための体操を練習し

この日の治療は一先ず終了とさせていただきました。


全ての疾患にとって言えることですが、

スポーツ障害においては特に「痛みが治まればOK」とは言えません。

競技に復帰しても容易に再発することが無くなって、

初めて「治癒」したといえると考えています。

なのでAさんには油断せずに、

もうしばらく治療にお付き合いいただきたいと思います。



ともあれ、この日の治療は

Aさんの今後の変化が楽しみになる治療となりました。









う~ん、これ以上は長いな…

でも、もう少し書いちゃいます。

すんません。




Aさんの踵の痛みは、いわゆるオーバーユースシンドローム:使いすぎ症候群です。

ランナーで、走ることで発症していますので「ランニング障害」ともいえますね。

※「ランニング障害」とは、走ることで生じる下半身の

 あらゆる関節の故障全般を指した病名です。



今までいただいた「ランニング障害」のご相談から、

傷めた場所の違いはあれど、その多くは

フォームの崩れに端を発しているように思います。

この場合(に限らず)治療では、痛みの原因に対する治療のほかに

フォームの修正も避けて通れないことが多くあります。

これには、ただしいフォームを意識して練習するのも良いのですが、

フォームの崩れが身体の不具合から来ている場合は

「意識」でどうにもならないことも多いようです。


そんなときにはコンディショニングがオススメです。

故障からの回復が目的の場合、

「正しい体の使い方」を身体に刷り込むことに注力します。


それらは、

関節や靭帯を傷つけない、

関節に優しく力を伝えやすい、

正しい動きを無意識にできるように

プログラムされたエクササイズを通じて行います。


「正しい身体の使い方」

これができれば再発の危険性をグッと減らすことができるでしょう。


ランニング障害の「リハビリ」にと取り組んでこられて、

競技成績が故障前より向上した方も多くいらっしゃいます。


ランニング障害にお困りの方があれば、

どうぞお気軽にご相談ください。

初メール

2011年06月02日 | よもやま話

先日、息子が八歳の誕生日を迎えました。

最近はいろいろと物騒だとかで

プレゼントは子供用携帯電話になりました。

一見おもちゃなんですが

もしもの時には居場所まで教えてくれるらしいです。


興味津々でいじくり回す八歳児。

先程なんとメールが届きました。

メールには一足遅れた誕生ケーキを

「いっしょに食べよーよ!」

とあり…

只今猛烈に帰宅中です(笑)

ちなみに返事は

「待っててね」にバニーちゃんの絵文字です。

あ、駅に着きました。

ここからはダッシュです。

では、これにて御免!


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