動画で紹介~ドケルバン病(親指の腱鞘炎)のセルフケア~

2018年12月09日 | 治療の話

数か月前から左の親指が痛くて動かせなくなったとご来院のAさん。

病院に行くと、左の親指をそらせる働きを持った筋肉の腱鞘炎といわれたそうです。

Aさんの故障は「ドケルバン病」という短母指伸筋と長母指外転筋の腱鞘炎です。

この故障では二つの筋を支えている伸筋支帯という靭帯が炎症の影響で縮み、

縮んだ靭帯が腱鞘ごと腱を圧迫してしまうことで指を動かせなくなり、動かそうとすると痛みも伴うようになります。

痛みは上の図の赤く描かれたあたり。

Aさんの手首もご多分に漏れず、腱鞘と伸筋支帯の交差部に圧痛と癒着が見つかりました。

 

そうした状態では、こんな動作をすると強く痛みを訴えます。

この動作、フィンケルシュタインテストといいまして、ドケルバン病の鑑別検査として有名な手法です。

Aさんのケースでは親指がほとんど曲げられず、親指をにぎろうとしただけで痛みを訴えていました。

ドケルバン病の徒手医学による一般的な治療では、締め付けられている長母指外転筋や短母指伸筋の緊張を和らげ、

腱鞘を締め付けている支帯を引き伸ばすために支帯部へ筋膜リリースやDTMを選択することが多いように思います。

当然それも大切なんですが、経験上そうした介入だけに終始すると治療の成果はひじょうに渋くなります。

Aさんの治療では上記の筋・筋膜への対処を済ませた段階で50%ほどの痛みの改善(自覚的な疼痛強度)がみられました。

ですが、親指は先ほどより辛うじて曲がりが深くなったかな?といった程度。

Aさんの手首(の筋や腱)は慢性的に過度に使われることで傷ついたものと推測されます。

そこには過度に使わざるを得ない理由となる、なにがしかの背景となる要因がるわけです。

正常な回復の道筋をたどるには、その「なにがしかの背景要因」も解消しなくてはなりません。

その「背景要因」とはなんでしょうか?

それは手根関節の拘縮です。

とりわけ親指側の手根関節の拘縮がこの障害の核となります。

↑赤丸のあたりです。

 

手根関節(主に大・小菱形骨-舟状骨間)に動きを付けたところAさんの親指は大きく曲がるようになりました。

一度患うと治りにくいといわれる「ドケルバン病」ですが、

こうした変化を目の当たりにすると原因が解消されればその限りではないのだなとしみじみ思うのです。

とはいえ、まだまだ道なまば。

まだ可動性は正常範囲の50%といったところですので引き続き計画的な介入が必要です。

つまり、今後も計画的に治療をお受けになられることが望ましいということ。

でも、関節の拘縮に対する治療はコンスタントに行う必要があるのが頭の痛むところなのです。

なんで頭が痛むって、Aさんのようなケースでは週に2~3回ほど手を入れる必要が出てきます。

かりにAさんに週2~3かいご来院いただくとすると、一か月で48000円~72000円をご負担いただくことになります。

そんな治療は現実的ではありません。

これが自由診療の難しいところ…

こうした問題を私自身はセルフケアをお伝えすることで解消しています。

幸運なことにこの手根関節の拘縮へのセルフケアはとてもよく効く効果の高い技法が見つかっています。

Aさんのケースでもその手法を紹介し、自宅での治療の継続をお願いして初回の治療を終えました。

 

その手法、じつは動画で公開しているんです。

ですので「ドケルバン病だけど練馬に通えない」そんな方もご安心くださいね。

ウエイトリフティング関連の手首の痛みのセルフケアとしてまとめた動画ですが、

ドケルバン病を含め手首の故障全般に非常に効果が高いので、手首の相談ではまっ先にお伝えする手法ですのでどうぞお役立てください。

その動画がこちらです(1分あたりからご覧になってみてください)。

【手首の痛みのセルフケア/手根関節リリース編】

※ドケルバン病とCM関節症へのケアにはこちらの動画もございます。ちょっと難しいのですが、こちらの手法もご参照ください。

【ドケルバン病・CM関節症セルフケア動画 // とよたま手技治療院】

 

さらに丁寧なセルフケアを目指すのであれば、周囲の筋への対処を展開されることをお勧めします。

さきに大きな問題として指摘した手根関節の拘縮。

その背景として、長母指外転筋と短母指伸筋と拮抗した作用を持つ母指内転筋の短縮があります。

動画の手法は手根関節の拘縮への対処法ですが、

この母指内転筋(母指球筋全般にも)の緊張を解く効果も高いので、この点においてもドケルバン病との相性がいい。

問題はその先です。

関節の拘縮は関節を動かさずに固定し続けることで生じます。

つまり、手根関節の拘縮があるということは手根関節の動きを阻害する筋緊張が長く続いてきたということなんです。

では、その筋とはどの筋なんでしょう?

それは、母指球筋と協働関係を持つ尺側手根屈筋と橈側手根屈筋です。

これらはモノをつまむピンチ動作や把握動作で共に働き、手根関節を構成する骨の位置を「つまんだ・にぎった」位置に固定してしまいます。

こうした背景要因に対してはキネシオテープでの対処がおススメです。

そちらの動画はこちら↓

【手首の痛みに効くキネシオテーピングの貼り方】

さらに、

手根骨の動きをただすことで腱への負担を解消する手法がこちら↓となります。

こちらもリフティング関連の手首の痛みに対してまとめていますので、

前半は飛ばしていただいて、1分半あたりからご覧になってみてください。

【手首の痛みのテーピング】


手首の腱鞘炎全般にも使う手法ですので、

授乳期のお母さんの腱鞘炎にもぜひお役立ていただきたい手法です。

む、Aさんの話から大きく脱線してしまいましたね(^_^;)

ともあれ、手首の故障にお困りの方のお役に立てれば幸いです。

=おわり=


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