50代からの股関節痛~変形性股関節症のはじまりと運動療法~

2020年08月14日 | 治療の話

ここ最近、50代中盤以降の女性陣からの股関節痛の相談が続きます。

初めての股関節痛という方もいれば、思い返せば半年ごとに繰り返してきたという方もいらしゃる。

どの方も股関節の内転筋と小殿筋(外転筋)の線維化に加えて

軽い関節拘縮をともなうところから股関節の炎症を起こした後であることがうかがえます。

こうした突発的な股関節痛を繰り返してしまうようになったら要注意。

じつはこれ、変形股関節症のはじまりを示唆するエピソードだったりするんです。

変形性股関節症ではこうした発作的な関節炎を一年ごと、

半年毎、3か月ごと、1か月、半月…と頻回に繰り返すようになり、

気が付いたら立派な変形性股関節症になっていた、

と、そんな経過をたどります。

それから、

「急にスポーツをして」とか「旅行で長歩きをして」といったはっきりとした切っ掛けがあるケースもありますが、

「普通に生活してきて、なぜか急に」というケースもしばしば見受けられます。

そして、女性に多い。

理由は骨格の性差とホルモン分泌の加齢性変化にあります。

というと

「もう年だから仕方ないですよね」

なんてセリフも聞かそうですがそう決めつけるのはまだ早い。

確かに女性は50代あたりからホルモンバランスの変化から骨が脆くなりだします。

そして、出産という機能を持つ女性の骨盤は男性よりも横幅が広いため、

形態的に股関節の安定性が男性よりも低く、運動不足による不安定症が起こりやすい。

※つまり、筋力が落ちると関節がガタつきやすいということ。

こうしたガタつきが関節を傷つけ、変形性関節症へとつながってゆきます。

 

でも、ちゃんと打つ手はあるんです。

ただ、変形が強くなるとセルフケアでの適応から外れ手術の適応となることもありますので、

手を打つのであれば早い方かいい。

ということで、

ここから股関節痛の際にお試しいただきたいエクササイズをご紹介してまいります。

その前に、ちょっとまとめ。

変形性股関節症のセルフケアの要点は以下の2点です。

<要点>

1、拘縮の解除

炎症の影響を受けて、関節や周囲筋は縮みます。

これを拘縮と呼びますが、硬くなったものは伸ばせばいいんです。

関節の腫れが引いたら股関節のストレッチを始めましょう。

2、股関節を中心とした「腰部・骨盤・股関節」の筋バランスの修正

股関節が急に腫れる原因に関節の不安定性という問題があります。

なので、回復を促し、再発を予防するために治療としての運動=運動療法に取り組みましょう。

股関節の働きを安定させるためには骨盤部の安定性を合わせて取り戻す必要があります。

この場合のターゲットとなる筋は下腹の筋群(私見ですが主に内腹斜筋)と大臀部です。

この部分のコントロールを取り戻すことが股関節の働きを正すのにおおいに役立ちます。

逆にこれらの筋群のコントロールが失われるとちょっとしたきっかけで股関節を痛めやすくなるのです。

さて、ここからが本題。

これらのオーダーに応えるエクササイズは以下の3つです。

<エクササイズ>

1、股関節前面のストレッチ

ウエイトリフター用にまとめた動画ですが、股関節痛にそのまま使えます。

 

2、下腹のコントロールを高めるエクササイズ:ペルビックティルト

 

3、殿筋のコントロールを高めるエクササイズ:ヒップスラスト

 

股関節の炎症が落ち着いた慢性期に入っていれば、の但し付きですが

上記のエクササイズ前後でしゃがめる範囲が深くなったり、

動作時の痛みの緩和や消失といった良性の変化を手に入れることができるはずです。

なかなか芳しくないようでしたら、ぜひご相談ください。

【鍼灸手技療法・とよたま手技治療院】

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