小学校の栴檀の木がさびしくなりました。
葉っぱがだいぶ落ちたんですね。
あっという間に、葉はなくなり実だけになりました。
娘たちが通い、わたしも勤務したこの小学校の栴檀は、巨木で枝振りも見事です。 ここに限らず、栴檀がシンボルツリーになっている学校は多いです。 「栴檀は双葉より芳し」とのことわざに由来するのでしょうか。 ただ、ことわざの「栴檀」とは、「白檀」のことらしく、学校の栴檀はさほどよい匂いはしません。
夏には葉が生い茂り、運動場に涼しい陰を作ってくれます。 でも、秋の落葉は掃除当番の子どもたち泣かせで、教師もいっしょになって必死でかき集めてもまた落ちてくる・・・・ ブルドーザーがほしいくらいでした。
栴檀の実はよく見ると、とてもきれい。 青空に花火のように広がっています。 こんなにかわいいのに、わたしは年をとるまで栴檀の実をしみじみと見たことはありませんでした。 若い頃は、校庭の木々をゆっくり眺める余裕がなかったのだと思います。
退職の記念に、革で栴檀を染めました。 校庭の隅にどっしりとそびえ、子どもたちを見守ってきた栴檀。
風に乗って聞こえてくる枝ずれの音、子どもたちが奏でる笛の音、歌う声、笑い声、泣き声・・・・ それに耳を傾けているような小鳥。 「風の声」と題をつけました。
この作品を見て下の娘がぽつりと言いました。 「栴檀の木はけっこう好きだった。 すごく大きくて、葉っぱがいい匂いがするんよ。」