団塊世代の人生時計

 団塊世代として生きてきた「過去」、「現在」、そして「未来」を、自分自身の人生時計と共に綴り、「自分史」にしてみたい。

牛田智大ピアノ・リサイタル

2014-10-21 07:20:28 | 音楽

牛田智大ピアノ・リサイタル

2014年10月20日(月)

 演奏を聴いてヒステリー症状になったのだと思います。

 プロコフィエフの出だしの音を聞いて、随分マイルドだと感じました。これって、プロコフィエフの音ではないのではないか、もっと激しく歯切れの良い音でないと、このプロコフィエフの戦争ソナタは表現できないのではないかと思ったのです。・・で、期待外れかなと考えていたところ、終楽章に入るや、冒頭のヒステリー症状にかかり出したのです。演奏を聴いていて感動することは多々ありますが、それでも一応メロディは追っていくことができます。しかし、今回はリズム感はなんとか付いていったものの、メロディは頭に浮かびません。それどころが、牛田を見ているはずの目が、というより牛田の像が上下に小刻みに、丁度昔の活動写真でフィルムと回転ギアが上手く噛みあわず上下に揺れるように見えるのです。私は専門家ではありませんが、女子高校生が集団ヒステリーで失神するということとがありますが、そのヒステリー状態になったのだと診断したのです。

 牛田の演奏が上手かったのか、曲そのものの持つ力なのか、実演という雰囲気がもたらすものか、はたまたそれらが総合的に合わさったものか、私には分かりませんが、演奏を聴いていて、このような症状になったのは、初めての経験でした。

 当然、しばらく茫然とした身体の心持ちがするのですが、牛田は2曲目にモーツアルトの「トルコ行進曲付き」を弾きだしました。プロコフィエフの興奮状態の後にこの曲では、私にはミスマッチ、というか15分程度はインターバルタイムがなければ、次の曲を聴く気持ちにはなりません。

 続くリストの「村の居酒屋での踊り」では、上記に加え集中力を阻害され、印象に残りませんでした。後ろの席に座っていた小学高学年と思われる女性が音を出すのです。休憩時間に注意しましたが、臨席の中年女性も厳しい口調で注意していましたので、私よりかよほど腹に据えかねていたのでしょう。良い子の皆さんは、演奏会では静かにして他人に迷惑をかけないようにしましょうね。

 後半のプログラム1曲目は、ショパンの「別れの曲」、2曲目はリストの「ラ・カンパネラ」、最後がラフマニノフのピアノ・ソナタ第2番でした。別れの曲もラ・カンパネラも特段印象はありませんでしたが、ラフマニノフについては、音楽の温泉に浸かっているようでした。こんなにたっぷりしたピアノの音楽の世界を意識したことは、これまでありませんでした。

 でも、今回の演奏の圧巻はプロコフィエフでした。演奏会で感動しても、後日FM放送で聴きなおして、「なんだ」というような演奏もありますので、この牛田のプロコフィエフについては、後日じっくり聴きなおしてみようと思います。

 

・プロコフィエフ ピアノ・ソナタ第7番「戦争ソナタ」変ロ長調

・モーツアルト ピアノ・ソナタ第11番イ長調「トルコ行進曲付き」

・リスト メフィスト・ワルツ第1番「村の居酒屋での踊り」

・ショパン 練習曲「別れの曲」

・リスト パガニーニ大練習曲より第3曲「ラ・カンパネラ」

・ラフマニノフ ピアノ・ソナタ第2番変ロ短調

・2014年10月11日 三原市芸術文化センター「ポポロホール」

 

 牛田については、TVで見たのが初めです。2年位前でしょうか。小さいのに随分とこましゃくれた感じだなという印象でした。1999年10月16日生まれですから、演奏会の時点では15歳になる直前です。とてつもない可能性を秘めたピアニストと言えるのではないでしょうか。

 

 ポポロホールは、緑に囲まれた、なかなか落ち着いた雰囲気のするホールです。

 マチネにしては開演時刻が遅い(16時)です。帰りが遅くなります。(車で1時間半程度)

 

 12歳でもうCDを売り出しています。早すぎる感がなくもないですけど・・。現在、ロシアに留学中ということです。

 私が座った席は、一階フロア後半部分の最前列で、右からも左からも18番目という中央です。多分音響的には一番良い所と思います。

 サイン会が行われるとあって、長蛇の列です。人気は凄いです。

 アンコールが何と5曲ありました。3曲目のパダジェフスカの乙女の祈りで終わりと思っていました。この曲は比較的平易な曲で、良い子の皆さんも多く来ていてアンコールとして相応しいと思ったからです。この曲がこんなにも美しい曲とは知りませんでした。

 最後はショパンのポロネーズ「英雄」です。この曲は勇ましいのですが、私は哀愁を感じる部分があり、ショパンの小品では一番好きな曲です。

 このアンコールを館長が貼り出したのですが、私がつい感想を言ってしましました。「冒頭プロコフィエフを演奏したのにはビックリした。」「髭の館長」も同じことを言っていました。この館長は、将来伸びそうな若手演奏家の演奏会を重点的に開いています。今後も期待大です。

 

 

 

 

 

 

 

コメント (2)
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