団塊世代の人生時計

 団塊世代として生きてきた「過去」、「現在」、そして「未来」を、自分自身の人生時計と共に綴り、「自分史」にしてみたい。

自慰論

2015-07-06 08:03:30 | 政治

自慰論

2015年7月5日(日)

 ヤベー首相の持論は、という前に・・。ヤベー氏の祖父岸信介は、1960年安保改定の時の総理大臣で、安保改定は成立させましたが、批判の高まりにより退陣に追い込まれました。私は当時中学校1年生でしたが、岸信介の退陣の風刺漫画を覚えています。誰かにおんぶされて、カーテンを閉める姿でした。この姿は、ヤベー首相に重なるのではないかという予感がします。(注 岸は暴漢に襲われて怪我をしましたが、ヤベー氏が暴漢に襲われると予想しているのではありません。)

 ・・で、ヤベー氏の持論ですが、「(1960年の)安保条約改定の時、反対運動する人は日本が戦争に巻き込まれるから反対と言っていたが、日本は戦争に巻き込まれなかったではないですか。」というものです。(注 私の記憶ですが、それより主要な論点は、日本の主権の問題だったように思います。)

 とんでもない間違った認識です。安保闘争の時に「巻き込まれる」と反対したのは事実と思いますが、正確には、「巻き込まれる仕組みができる」ということです。そりゃそうです。結果的に世界で戦争が起こらず平和であれば、それは巻き込まれることはありません。しかし、それはあくまで結果論です。

 私は明白に戦争に巻き込まれたという認識をしています。例えば、ベトナム戦争ですが、沖縄からベトナムへ空爆する戦闘機が発進していました。基地を提供した日本が攻撃されてもベトナムに文句(国際法違反)を言うことはできないでしょう。たまたま、ベトナムが沖縄の基地を攻撃しなかった(orその能力がなかった)というだけの話です。沖縄県民は恐怖心を抱いた状況だったと思います。

 今の「戦争法案」にしたってそうです。今後の世界情勢によれば結果的に「存立危機事態」なるのものが発生しないことは有り得ることです。問題なのは、「存立危機事態」となった場合に集団的自衛権の行使を行うことができる仕組みを作るということになるのです。

 

 ヤベー首相のように、結果論で「戦争に巻き込まれなかったではないですか」というような理屈(注 それにも値しないと思いますが。)は、持論なんてものではなく、自慰論というべきものです。(注 自らを慰めているだけのもので、到底まともな論議ではないという意味です。)

 

 (2015年7月24日、追記)

 ベトナム戦争当時、椎名外務大臣は、国会答弁で、「ベトナム戦争がもう少し近いところで行われていたら、・・(日本が報復)攻撃を受けることはありうる。」と語ったことがあります。

 

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