好きにしてくれ
2015年7月6日(月)
「好きにしてくれ」。中学校の先生が話してくれた言葉を印象深く良く覚えています。先生は、これぐらい相手に対して強い態度はないのだと言いたかったのです。全く資産のない人間が借金取りに対して、「好きにしてくれ」と言ったとします。その借金取りは、好きにできるでしょうか・・? 借金を取り返すことが目的ですが、好きにしろと言われても借金を取り立てることはできません。せいぜいできることと言ったら、なんとかなだめすかして、収入を得る努力をさせ、その一部を借金返済に充ててもらうよう腐心すことぐらいでしょう。
ギリシャの国民投票が行われ、緊縮反対派が60%を超える結果でした。EUの更なる緊縮策にNoを示した訳です。冒頭の「好きにしてくれ」のようにも思えます。
チプラス政権はこの投票結果を背景にEUに対して債権圧縮を強く求めるでしょう。一方、EU側はユーロ離脱をちらつかせて、譲らない姿勢を示すでしょう。この交渉は長引くことが予想されます。というのも、双方共、ギリシャ経済が上向いて借金を返す体力になることについては異論がないからです。いわば、軟着陸を模索する交渉ということです。
どのような、結果になるか私ごときに分かる訳はないのですが、解決方法についてヒントがあるとしたら、ギリシャにおける55~65歳の就業率は40%弱で、OECD平均の60%弱を大きく下回っていることです。
ギリシャ国民には、(私は利害関係人ではないので、口出しをする資格はないのですが)大いに働いてもらう必要があります。支援を受ける側が支援する側より働きが少ないというのは通じるものではありません。働く場の提供をEU全体で深刻に考えることではないでしょうか。
TVの一部の報道ですので、緊縮反対派の総意ではないと思いますが、借金を全部棒引きしろなどという主張は、真面目にギリシャの今後を考えるなら言える言葉ではありません。
7月6日の朝日新聞です。