広島大学交響楽団第62回定期演奏会
2013年12月30日(月)
最近、宮沢賢治の「セロひきのゴーシュ」を読んで、笑いこけたところがあります。ちょっと長いですが、引用します。
にわかにぱたっと楽長が両手を鳴らしました。
みんなぴたりと曲をやめてしんとしました。楽長がどなりました。
「セロがおくれた。トォテテ、テテテイ、ここからやりなおし。はいっ。」
みんなは今のところの少し前のところからやりなおしました。ゴーシュは顔をまっかにしてひたいに汗を出しながらやっといまいわれたところを通りました。ほっと安心しながら、つづけてひいていますと楽長がまた手をぱっとうちました。
「セロっ。糸があわない。困るなあ。ぼくはきみにドレミファを教えてまでいるひまはないんだなあ。」
みんなは気の毒そうにしてわざとじぶんの譜をのぞきこんだりじぶんの楽器をはじいてみたりしています。
この、「みんなは気の毒そうにしてわざとじぶんの譜をのぞきこんだりじぶんの楽器をはじいてみたりしています」というところ、この気持ち本当によく分かります。可笑しかった!
・日時 2013年12月21日
・場所 サタケメモリアルホール
・曲目
○ヴェルディ 運命の序曲
○芥川也寸志 交響三章
○ドヴォルザーク 交響曲第8番ト長調作品88
○アンコール ハチャトリアン 仮面舞踏会からワルツ、クリスマスメロディ
・指揮 田中一嘉
・演奏 広島大学交響楽団
率直に言って、技術レヴェルは低いです。ただ、時にハッとさせられるような音を出すことがありました。人の声でいえば、瞬間的に自然に「あっー」という声を出すような場面でしょうか。これを基本にして、練習をすれば、良い音を出すことができるようになるのではないかと思いました。
私達は音響が一番良いと思われる席に座りました。ヴェルディが始まって1分後でしょうか、後ろからパシャという一眼レフのシャッターを切った音が聞こえてくるではないですか。振り返ってみると、どうやらスタッフのようでした。5分程度の音楽で10数回シャッター音を聞かされ、音楽が全く頭に入りませんでした。このような運営は全くいただけません。
芥川から席を写りました。1階席の前から2列目です。大音量にはなったのですが、残響が聞こえなくなりました。ただ、芥川の交響三章は、分かり易いメロディで楽しめました。
ドヴォルザークの8番では、ミスが気になりましたが、次第に曲に引き込まれ、最後は満足しました。
演奏終了後、指揮者が演奏者を立たせ拍手を送りますが、フルートを最初に立たせたのには、びっくりしました。ドヴォルザークの8番ではフルートが活躍する場面があるのですが、このフルートどうしても弦の合奏に遅れるのです。私は、どうしてもう少しテンポを上げて演奏できないものかと、とてももどかしく聴いていたのです。
冒頭のセロひきのゴーシュもあれから必死に練習をして、演奏会当日の演奏終了後、楽団員全員を代表してアンコールを演奏したのです。
「ゴーシュ君、よかったぞお。あんな曲だけれどもここではみんなかなり本気になって聞いていたぞ。一週間か十日の間にずいぶんしあげたなあ。十日前とくらべたらまるで赤ん坊と兵隊だ。やろうと思えばいつでもやれたんじゃないか。きみ。」
私は、このフルーティストも必死に練習して、格段に上手になり、それを指揮者がまず最初に賞賛したのではないかと思ったのです。女性フルーティストの嬉しそうにして立っている姿が印象的でした。(ブラヴォー)
開演30分前に着いたのですが、多くの行列ができていました。
手造りの看板です。入場券500円也。
800人程度のホールでしょうか。
座席の背もたれです。どうやら寄付をしたのでしょう。ネイミングライツという・・。
私達が最初に座った席です。プレ演奏会がありました。
休憩時間に、広島交響楽団でテインパニを演奏していた人と出会いました。私と同じ歳で、定年で広響を退職したということでした。広大交響楽団の指導に来たのだとか。
アンコールでは、全員が頭にトナカイなどの帽子を付け、クリスマスモードを演出していました。
アンコール曲が一番ミスがなかったような気がします。
最後は楽しくしめくくり、これが音「楽」です。
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