水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

トレジャーDNA(2)

2019年09月24日 | 学年だよりなど
2学年だより「トレジャーDNA(2)」


 DNAのうち遺伝子の占める割合はわずか2%。
 残りの98%は、何をしているかわからない、たぶん進化の過程でぐちゃぐちゃになってしまったゴミみたいなものだ、大事なのは遺伝子で、残りは「ジャンクDNA」だ、と扱われてきた。
 遺伝子には、「目を作る」「耳をつくる」「心臓を作る」など、体を作るための基本的な設計図が暗号で記されていることは、習ったとおりだ。
 それ以外にも、ひとりひとりの才能や性格、体質や病気のなりやすさなどを決める情報が書き込まれている。
 記憶力、持久力、音楽の才能、運動の才能、病気になる、ならない……。
 まさに人の運命を左右する情報が、どの程度読みとられ、どの程度発現していくか。
 その読み取り具合をコントロールするのが、DNAの遺伝子以外の部分だ。
 だから、ジャンク(ごみ)などではあるはずもなく、宝の山が眠る「トレジャー(宝物)DNA」なのだ。
 わたしたちの身体や能力がどうなるのかは、DNAがどのように働くかによって決まる。
 人間は誰もが「病気を防ぐ遺伝子」をもっている。
 しかし、なんらかの事情でその遺伝子の働きが失われてしまうと、がんや糖尿病になってしまう。
 ちょうどスイッチの働きがオフになっているような状態だ。
 そのスイッチをオンにもどすことができるなら、治療が可能になる。


 ~ たとえば、「音楽能力アップ」にかかる遺伝子。実は、こうした遺伝子自体は私たち全員が持っています。でも運命を左右するのは、そのスイッチがオンかオフかということなのです。(実際には、音楽の能力には多数の遺伝子がかかわっていますし、しかもスイッチにはオンとオフ、1と0のデジタルな状態だけではなく、「少しオン」などの中間の状態も存在します。しかし、それを言い出すと複雑すぎますので、ここではまず基本的な仕組みを理解していただくために、単純化したモデルで説明しています)。
 この“DNAのスイッチ”という言葉は、専門用語として存在しているわけではありません。専門的には「エビジェネティクス(後成遺伝学)」と呼ばれる分野で、遺伝子の働きを後天的に変える仕組みのことです。 (NHKスペシャル「人体」取材班『シリーズ人体 遺伝子』講談社) ~


 圧倒的にすぐれた歌や演奏を聴いたとき、とんでもないダンスパフォーマンスをみたとき、そういう遺伝子を持っている人なんだろうなと感じるのが、わたしたちの感覚だ。
 しかし実際には「持っているかどうか」ではなく「働いているかどうか」で決まる。
 人が成長していく過程で、生まれ持った遺伝子はもちろん変わらない。
 DNAのスイッチが働くことによって、遺伝子がオンになったりオフになったりする。
 専門的に言うと「DNAにメチル基などの化学的修飾が付加して、構造的な変化が起きることによって、遺伝子の発現(働き)が」変化する、それが「遺伝子オン」の状態だという。
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