3年生は、3学期の始業式にセンター試験、入試に向けての決起集会を行うのが恒例だ。
自分の学年では、進路指導部長、学年副主任からの激励の言葉につづき、自分の音頭で「時の声」をあげてしめくくる。
この役を担うようになって必ず、アントニオ猪木氏の「この道をゆけば」を語り、「1・2・3・ダー!」をみんなで絶叫する。
前々回からは赤いタオルもかけているのだが、アントニオ猪木といっても通じない生徒さんが増えてきたことも事実だ。
これからはどうしようか、何かかわるものはないかとも考えていたが、慶應志木さんの音楽劇を見て、再来年の1月も「1・2・3ダー!」でしめようと決断できた。
慶應志木さんの演奏会は第一部が、お芝居系ステージ。
アントニオ猪木の後継者であるアントニオ元気。次世代を担う子孫アントニオムジャキ、ゴロツキ、ヒデキカンゲキたちの成長を願い、旅に出すことを決意する。
とくにもどかしい思いで見ていたのはムジャキだ。その優しい性格は認めているものの、一族の使命を思うならば、一皮むける必要がある。かわいい子には旅をさせろ。元気に願いどおり、旅の途中ででくわした試練を乗り越え、ムジャキは成長する。
ムジャキを支えたのは仲間であり、音楽の力だった。自らの力に開眼したムジャキは、ついにユウキを名乗ることを許される……。
冒険と成長。王道のストーリーと、吹奏楽定番のききやすい楽曲。ギャグも基本的だが、お客さんのタイプを計算している。
そして多少強引にやりきってしまう、メンタルの強さ。うちの部員たちにもいい刺激となったことだろう。
注文がないではなかった。どうせ森に迷い込み、動物を登場させるならば、タイガージェットシンの息子とか設定してほしかった。旅を邪魔する長州力の子孫とか、実は最後に助けてくれたのはスタンハンセン一族だった……、なんてのは、さすがに今の若者には通用しないか。
二部はうってかわってまじめな演奏かと思いきや、「星に願いを」で全員がぶりっこダンスしたり、「風になりたい」を歌わされたり、もはや吹奏楽界の古典芸能ともいえる「テキーラ」があったりの、盛りだくさんな内容。完成されたパッケージがある。
同じ男子校として、負けられない、やらねばとパワーをもらえた2時間強だった。
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