2回目の学校説明会は、おかげさまで第一回につづき盛況で、全体会に続き個別相談をし続けた。
もう少しがんばれるといいねえと話した生徒さんから、国語が苦手で困っているという訴えを2人聞いた。
「北辰テストの復習をしてみよう。国語は答えが必ず本文中に書いてあるので、そういう目を読み直してみよう」とお答えする。
実際、大学入試レベルの問題にまで目を広げても、ほとんどの設問の答えは本文中に書いてある。
それを見つけられるかどうかが、高校入試ではすべてではないだろうか。
自分の頭で考えて読むのではなく、見つけ方の技を身につければいい。
ただし国語の場合、「見つけ方」が教科書に書いてないという問題がある。
例題で解法を学び、それに基づいて練習問題を解けば自然にできるようになるという、理系科目とは異なる。
学校や塾で、ほんのちょっとコツを教えてもらいさえすれば、北辰の偏差値ならすぐ上がると思うのだが。
先日、お世話になっている方から、お子さん(高校生)の国語も成績が今一つで … とご相談いただいた。
ためしに問題を三つほど渡して解いてもらうと、聡明そうな文字で答えが書かれた答案をいただく。
案の定、自分の頭でいろいろ考えてしまい、本文から目が離れている気がしたので、基本的な読み方についてお手紙をさしあげておいた。
1 文章は人に何かを伝えようとして書かれます。
他人はどうあれ、自分はこう思っているという内容が書かれています。
誰もが言いそうなこと、知ってそうなこと、一般的に正しいこと、そんなのは常識でしょ、という内容は書かれれ必要ないですよね。
「世間一般ではBと思われてるようだけど、私的にはAだと思う」という形で書かれています。
一般論(B) ←→ 筆者の主張(A)
BかAか、どちらか一方しか書いてないように見える文章も多いですが、無理矢理「B ←→ A」を見つけようとすると、見つかることも多いです。
2 今と昔、日本と西洋をくらべた場合、わたしたちは一般的にどちらを「いいもの・価値あるもの」「+」と思うでしょうか。
やっぱり、いろいろ問題あるけど、昔よりは今がいいに決まっている、日本の文化より西洋の文化の方がクールだ…と、思いがちですね。
昔、たとえば江戸時代。お殿様がいて、侍がいて、お百姓さんがいて、職人さんがいて、商売人がいました。
お侍の子供は侍になり、村に生まれた子供はそのまま農民としての人生を送りました。
それに比べると、今は自分の人生は自分で決めることができます。好きな仕事を選ぶこともできるし、好きな人と結婚できます。結婚しない自由もあります。
自由、平等、権利といった考え方は、近代化した世の中で、人々が手に入れたものです。
そういう考え方がなかった時代より、今の暮らしの方が幸せに決まっていると思いますよね。
しかし、評論は、その考えを疑います。
ほんとうにそれって幸せ? と問いかけます。
近代的な考え、新しく発明されたもの、今の世の中のあれこれを問い直してきます。
結果として、
今(B) ←→ 昔(A)
西欧(B) ←→ 日本(A)
近代的価値観(B) ←→ 前近代的価値観(A)
という方向性で書かれる文章が多いです。そんな風に見えなくても、そうかもしれないという目で見直してみると、言いたいことに気づける可能性が高くなります。
3 言いたいことを伝えるために、いろんな技が用いられます。ただたんに「Aだ」というよりも効果があります。
対比を用いる方法 B「ではなく」Aだ
一般的にはB、「しかし」Aだ
具体例をあげる方法 「たとえば」、a1、a2、a3、
「このように」Aは…
理由の述べる方法 Aだ、「なぜなら」 ~ 「だからだ」
~「のである」
言いたいことを伝えるための「技」にあたる語句を自分なりにチェックしてみましょう。「ではなく」とか「このように」にチェックしてみると、チェックした言葉の後ろに大事そうな内容が書いてあることに気づきやすくなります。
4 自分の言いたいことを伝えたい気持ちは、いろんな言葉に表れてしまうものです。
「日本は平和な国である。」という一文を読むと、まあそうだよね、と受け取るだけですが、少しよけいな言葉がついていると印象が変わります。
「私は」日本は平和な国である「と思う」。
日本は平和な国だと言える「のではないだろうか」。
日本は平和な国だと、「ぼくは」「思わざるを得ない」。
日本は平和な国ではないと言える「だろうか」。
「思う」「だろう」「~か」といった表現は、実はより伝えたい内容につけられるものです。
「ということ」と言いそうな事柄を、「という事態」と書いてあったら、どうでしょうか。「~した」ではなく「~してしまった」と書いてあったら、どうでしょうか。
「農村人口の減少」という事態がうまれた。
「都市人口が増え」てしまった。
と書いてあると、「 」の内容を、筆者がマイナス(-)ととらえていることがわかりますね。
マイナスにひびく言葉もチェックしてみると、いいですし、逆に明らかにプラスの言葉もチェックしてみるといいと思います。
ちょうど、メジャコードとマイナーコードがあるように、対比が見えてきます。
ここはAの内容、ここはB側の内容、ここはAの具体例a1、ここはマイナスの言葉が使われているからBの具体例Bなんだろうな、というような構造に気づくと、文章が立体的に見えてきます。
ここは第一主題、つぎは第二主題、展開部があって、再現部があるみたいに。
読む力を十分にもっていながら、ちょっとしたコツがみえてないために、ざっくりした読み取りになっているのかなあと、丸付けしながら感じました。
国語は他の教科とちがって、ほとんど答えがすでに本文のどこかに書いてあります。
それを見つけられれば、読めた! と感じられると思います。
市販の問題集、参考書のたぐいを、一冊だけやってみるのもいいと思います。
ほんとうにいろんなタイプのものがありますね。
古典は、どの本を使っても結果は同じですが、現代文は、書いている先生との相性でだいぶ変わってきます。
本屋さんにいって、この本は相性がよさそうかなと、第一印象で選んで、一回やってみるといいと思います。
一応お薦めを書いておきますね。
『入試現代文へのアクセス』河合出版
『船口のゼロから読み解く最強の現代文』学研
『現代文解法の新技術』桐原書店
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます