今回は関東の地震について、人々の古い”世間知”を解除したい。
以前よく、「関東大震災からだいぶたっているので、そろそろ次がやってくる」、といわれていた。
名古屋にいても、古い世間知のままの人から、いまだに「次は東京でしょ」、と半ば期待を込めて言われたりするが、
専門家の間では「関東大震災の危機」は言われなくなっている。
なぜか。
実は、関東大震災を引き起した地震(関東地震)に対する誤解があったのだ。
関東地震の周期は、大正関東地震(1923年)とその前の安政地震(1855年)から、”60~70年周期”がささやかれていた。
なので1980年代に「もう来てもおかしくない」と(今の東海地震のように)騒がれたのだ。
ところがその前は元禄地震(1703年)であり、だいぶ間隔があいている。
大正関東地震は、ご存知のとおり、相模トラフを震源域とするプレート境界型(海溝型)地震であるが、
それに対し、”その前”の安政地震は東京湾内のプレート内型(活断層型)地震で、
両者は震源も種類も別個の地震だったのだ。
そして元禄地震は、安政地震ではなく、大正関東地震と同じタイプだとわかった。
プレート境界型は、南海トラフの地震と同じく周期性が強いので、元禄と大正の間の220年ほどが周期といえる。
ということは次の関東地震は西暦2100年以降ということになり、騒がれなくなったのだ。
(ここで首都圏の人は少し安心してよい)
ただしその期間中に、安政地震など、M7クラスの地震が起きているので、こちらの地震が問題となりつつある。
それが東京湾北部の荒川河口付近が震源に想定されている「首都直下型地震」(M7.3)。
これは関東地震(M8)ほどエネルギーは強くはないが、震源の真上は強い揺れとなる(震度6)。
耐震化ができていない建物の倒壊と、住宅密集地での火災が恐い。
しかも直下なので、緊急地震速報は使えない。
地震の規模は小さいため、都内直下の割りに被害想定も多くないが(それでも死者11000人)、
震源地に近い東京東部、とりわけ京葉線沿線が集中的に被害をこうむるだろう。
そこ一帯はことどとく新しい埋め立て地で、今回の遠くの地震でも液状化の被害が多かったほど。
なので、直下型がくれば液状化の程度と範囲は今回の比ではないだろう。
あと地盤沈下も起こりうる(もともと0メートルなので海中に没する)。
ただし鉄筋の建物は、地中深く杭を打ってあるので倒壊はしにくいらしい。
京葉線一帯は、倉庫やレジャー施設に使えても、本来は住宅地にふさわしくない。
住むのは総武線沿線が最前線。
あの地域の昔(=海)を知っている人間ならそう判断する。
近々起こりそうな地震について☞熊本の次は…(2016.4.17の記事)