今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

登山をはじめる前に必要なこと

2018年05月13日 | 山歩き

GWの東京の御岳山の行方不明騒ぎ(解決)についてブログの記事を書いたあと、新潟県の五頭連峰での親子遭難の方は、どうなることやらとかたずを呑んで見守っているうちに早一週間が過ぎた(コースも装備も確認できない状況のでコメントできないが、一般論としてまだ絶望的ではない)。

その間、同じ新潟で女の子が殺された事件もあったりして、この遭難の報道そのものがフェードアウト気味である。

ネット(5ch:昔の2ch)では、この事件のスレッド(掲示板)が続いているが、そこで交されるレス(応答)を読むと、もちろん5chは無責任な軽口の場であることは重々承知しているが、山に関する無知、脳内妄想による思い込み、硬直した経験主義(偶然の一般化)の書き込みが繰り返されていて、これでは素人のハイキング気分での遭難が絶えないことが納得できる。

真夏に夜行日帰りで日本の最高峰・富士山に登れば、富士より低い日本中の山は、もっと楽に登れると思い込むようなもの。

私が中学1年の夏に山を好きになって、半年我慢して山に行こうとし始めた時、それまで山とは無縁だった父が、地元の登山教室に毎週通い、そこでのプロの登山家による講習内容を帰宅後毎回私に伝授してくれた。
つまり私は中学生の段階で、成人用の登山教室の講習内容を父を通して頭に入れることができたのだ。
たとえば、山・海のサバイバルで必須の「もやい結び」を身体で覚える方法(一回覚えれば絶対忘れない)や、方位磁石なしでアナログ時計で方位を知る方法(また夜に北=北極星を見つける方法)、世界共通の救難信号の方法なども学んだ。
そして実際に登山に行く時(もちろん日帰り)は、コースや装備を細かく書いた登山計画書を作成して家においていくことが求められた。
これらを身につけてはじめて山に行くことが許されたのだ。 

ついでに、当時山をやるには天気図を読めるだけでなく、自分で描けなくてはならなかった。
そこでNHKラジオの気象通報を聞きながら天気図を描くようになったのがきっかけで、気象に興味をもち、後の「気象予報士」への道が開けた(現在ではスマホの天気アプリで情報を利用すれば自分で描く必要なし)。 

高校になってワンゲル部に入り、今度はテント山行を前提としたグループでの登山を学んだ。
大学では山岳部に入り、冬山と岩登りを経験した(個人的には沢登りが好きだった)。  

今、大学教員として大学のワンゲル部の顧問をして感じることは、誰かの後について行くのではない自発的な登山をやるには、きちんとした登山計画(エスケープルートを含んだルート選定と装備の選択)を立てる訓練がまずは(山に行く前に)必要だということ。
高校や大学のクラブでそれを学ぶことができる。 
社会人なら、私の父がやったように地元の社会人グループに加入すればよい。
もちろん本で独習することも不可能ではない(私も登山技術の本は読んできた)。
いずれにせよ、基本を学ばない自己流では、命取りになるのが、山をはじめとする自然だ。 


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