今日は日曜だが、勤務先は「オープンキャンパス」なので、早々に出勤。
それを終えて帰宅すれば、室内は40℃を越えていた。
もうイヤ。
でも名古屋は多治見よりましか。
岐阜県は東濃の多治見は、ここ毎日、全国で最高気温を記録している(今日も38.1℃で全国最高)。
暑さを売りにしているのは埼玉県の熊谷だが、実績からいって多治見が本家というべきだな。
なぜ多治見がそんなに暑いのか。
なぜ周囲の美濃加茂や恵那より暑いのか。
太陽から地表面に降り注ぐエネルギーは等緯度の周囲と同じはず。
実は、多治見が固有に熱せられるのではなく、風が多治見に暑さを運んでくるのだ。
しかも風上よりも多治見が暑くなってしまう現象を伴って。
多治見は周囲を山に囲まれた盆地である。
恵那や中津川よりもほぼ完全な盆地地形になっている。
一日の最高気温を出す午後の多治見の風向は南西~西である。
多治見盆地の西面には、道樹山などの400m級の山が連なり、
濃尾平野からの西風がこの山を越えて多治見に吹き下りる。
そこで、”乾いたフェーン現象”がおきる。
すなわち濃尾平野から山に上昇する空気は、 0.6℃/100mの気温減率で山頂に達する。
単純に濃尾平野が0m、山頂が400mとすると、気温減少は2.4℃となる。
そこから多治見の標高100mまで下ると、1℃/100mの乾燥断熱変化で3℃上昇する。
多治見は濃尾平野、すなわち名古屋や岐阜より、だまっていても0.6℃高くなるのだ。
(もちろん他の風向の時は、こうならない)
もう一つは、関東平野の熊谷と同じ要因で、
風下側に大都市があると、そこのヒートアイランドで熱せられた空気が風で運ばれてくるため。
熱源そのものの大都市・名古屋は、伊勢湾からの海風で温度上昇が抑制される
(東京における東京湾の海風)。
そしてその熱は海風が吹走しやすい川面に沿って上流に押し流される。
幸か不幸か、伊勢湾に注ぎ、名古屋市内をめぐる庄内川は、
岐阜県境で「土岐川」と名を変えつつ、多治見の南西面に、唯一盆地地形を崩す谷として、
下流からの熱風の入口を形成している。
もちろんこの風は、土岐川に沿って多治見を通り抜けて土岐や恵那にまで達している。
岐阜大学の気象情報のサイトを見ると、
夏の午後は、土岐川(≒JR中央線)に沿って高温帯が恵那にまで線状に伸びるのがわかる。
でも土岐や恵那には風上にフェーンを起こす山地がない。
一方熊谷は、東京のヒートアイランド熱を呼ぶ風向(南)と、
秩父山地からのフェーン熱を呼ぶ風向(西)とは一致しない。
なので暑くなるのは常にどちらか一方の要因となる。
ちなみに静岡県の佐久間が時々すごく暑くなるのは、西風でフェーンとなる時に限られる。
ところが多治見は、ヒートアイランドとフェーンの風向が一致するので、
ダブルの要因で暑くなる。
かように多治見こそ、最も暑くなるようにできているのだ。
…でも抜群のトップになれないのは、風上の山の標高が低すぎるため。
熊谷や佐久間並に標高1000mもあれば、文句なしなんだが。
☞「多治見のアメダス確認」へ
突然ですが、
こちらの多治見が暑い説明がとても解り易く、参考となりました。
恐れ入りますが、この投稿記事へのリンク、もしくは、文章の引用を御許し頂けないでしょうか?
申し訳御座いませんが、何卒、御願いいたします。
ただ、0.1℃の差なのでいつでも追いつけます。
お気を落さずに。
拙稿の引用は引用元を明記していただければ構いません。
ただし、今年になって多治見が暑い理由に新しい情報が出たので、それを追加した記事(2013年7月10日)もぜひ参照してください。