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月魚 三浦しをん
本書は「無窮堂」という老舗の古本屋にまつわる2人の若者の話だが、この本の良さを言葉で表すのは難しいかもしれない。2人の若者の心のわだかまりの原因になった事件とか、買い付け競争での展開とか、ストーリーを追うだけでも十分に面白いのだが、本書を読んでいて強く感じるのは、文章自体の不思議な雰囲気だ。これまでに読んだ作者の「風が強く吹いている」「まほろ駅前多田便利軒」ではそう感じた印象がない。作者の作風が変わったのか、それともストーリーがおとなしい分だけそうした印象が強くなったのか。その辺の本当の事情は、2001年に刊行された本書と「風が‥」「まほろ駅‥」が書かれた2006年までの間に出た本を読めば判るかもしれない。(「月魚」三浦しをん、角川文庫)
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