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この部屋から東京タワーは永遠に見えない 麻布競馬場

書評誌で紹介されていた一冊。奇妙なペンネームと帯に書かれていた「Twitter小説」という言葉に惹かれて読んでみた。20くらいの掌編が収められているが、ほぼ全てが地方出身で東京に出てきたが思うようにいかない人生に戸惑っている30歳くらいの語り手という設定の独白小説。彼らの戸惑いの原因は、学歴コンプレックスだったり、新しい環境や周りに馴染めなかったり、他人と比較して自分を貶めるような考えに取り込まれてしまったりと様々で、読んでいて現代日本の同調圧力、皆んなと同じになりたいが少し個性的でもありたいという強迫観念の息苦しさがひしひしと伝わってくる。Twitter小説というジャンルは初めてだし、そもそもTwitterそのものを利用したことがないのでこんなことになっているのかという驚きもあったが、文中にさり気なく使われている言葉や流行の話に教えられることも多く、読んで良かったと思えた。(「この部屋から東京タワーは永遠に見えない」 麻布競馬場、集英社)
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