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ダイナソーブルース 尾上哲治

国立科学博物館のミュージアムショップで購入した一冊。恐竜絶滅の謎が解明されるまでに多くの科学者による研究の積み重ねがあったことが克明に解説されていてまさにミステリー小説のような内容。その謎が最終的に「6500万年くらい前の白亜紀に小惑星がメキシコユカタン半島あたりに衝突したことによる環境変化が主因」ということで決着したことは何となく知っていたが、その結論に至るまでの紆余曲折がすごい。6500万年前の地層に大きな断絶があり、その前後に多くの動植物が絶滅したということだが、単純にそうと言い切れない事実が色々あるからだ。特に重要なのが、有孔虫などの海中の微生物が同時期に絶滅した一方で影響を受けなかった微生物も多々あるという事実、しかも絶滅した生物の多くが断層よりもかなり前の段階で絶滅したという事実などで、こうした問題がどうやって克服されたかがスリル満点に語られていて面白かった。もう一つの本書の面白さは、恐竜絶滅の謎を巡って科学者たちが様々な仮説を唱えお互いに凄まじい論争を繰り広げたこと。著者がこの分野の第一線の研究者なので、著者自身が参加した学会や論文誌上の科学者同志の中傷合戦、足の引っ張り合い、嫌がらせなどが赤裸々に語られていてびっくりした。([ダイナソーブルース」 尾上哲治、閑人社)
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