goo

新版 動的平衡3 福岡伸一

著者のライフワークのキーワード「動的平衡」シリーズの3冊目。前作を読んだのが2012年なので10年ぶりに読む新作。その間に著者の本は色々読んでいるが、本作を読んで、改めて著者が分子生物学の研究者であることを強く感じた。題名に「新版」とついているのは、新書刊行にあたって「コロナウイルス」に関連した章を追加したからとのこと。ウイルスが他の生物の遺伝子変化に大きな役割を果たしていること、コッホの3原則など、先日読んだウイルス研究者の本と呼応して、その辺りの事情がよく理解できたような気がする。また、我々が習った理科では否定されていた「獲得形質の遺伝」「記憶の遺伝」などが最新の研究では100%否定はされていないことなどの「動的平衡」と関連付けた分かりやすい解説がとても面白かった。本書でウイルスについて書かれているのは終盤の2章だけなので、著者には是非コロナウイルスについて掘り下げた本を上梓して欲しいと思った。(「新版 動的平衡3」 福岡伸一、小学館新書)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )