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宇宙・0・無限大 谷口義明

天文学の研究者が最新の科学分野の知見を紹介しながら、この世にゼロ、無限大、永遠はあるのかということについて語った教養書。まずは宇宙の仕組みや歴史を紐解き、宇宙は時間も空間も有限であると結論づける。自分としても、これまでに読んだ宇宙や物理の本で得た知識に照らして考えればこれは「そうだろうなぁ」という感じだ。次に述べられるこの世界に「ゼロ」というものはあるのかという問いについてはもう少し複雑で、素人的には「ゼロがある」という言葉自体に違和感を感じるのだが、本書では、大きさゼロの物体はあるのか、物体同士が距離ゼロという状況はあるのか、時間ゼロ(=一瞬)とは何か、絶対零度は存在するかといった様々な問いを検討しつつ、やはりこの宇宙に「ゼロ」はないとの結論する。これは物理学で言うところのプランクスケールの考え方、即ち物理法則に適用できる限界が存在することによっても裏付けられる。要は、インドあたりで生まれたとされる「ゼロ」は、「発見」ではなく「発明」だったということになる。本書については、こうした思考実験の面白さに加えて、宇宙が誕生してから「重力」「電磁気力」「強い力」「弱い力」が分離していく過程の説明など、様々な最新研究の解説もわかりやすくてためになった。(「宇宙・0・無限大」 谷口義明、ブルーバックス)
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