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人生オークション 原田ひ香

好きな作家の中編2作が収められた一冊。表題作は、ゆとり世代と呼ばれる就職活動中の姪が、かつてバブル期を謳歌した叔母の身辺整理をお手伝いするというお話。叔母の不要になったブランド品などをネットオークションで処分していきながら、姪と叔母がそれぞれ、時代の流れに影響を受けながら歩んできた人生の過去・現代・未来に思いを寄せていく。あまり上手くいっていない現状をみつめつつ、それでも少しずつ明るさを取り戻していく様がほのぼのとしてくる作品だ。もう一つの中編は、眼鏡屋さんの店員として働く女性の物語。何気ない日常の描写かと思って読んでいたら終盤で非常に重たいテーマが待っていた。著者の作品の幅広さを実感した作品だった。(「人生オークション」 原田ひ香、講談社文庫)
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