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サロメの断頭台 夕木春央

著者の本は4冊目。本書はそのうちの画家と泥棒がコンビで活躍する短編集と同じ設定の長編作品。画家である主人公の未発表作品の盗作がアメリカで発見される。「誰が」「何のために」盗作を作ったのかという謎を追ううちに、組織的な贋作組織の存在、ある天才画家の謎の自死といった事実が明らかになったり、更に次から次へと殺人事件が勃発して、事態は混迷を極めていく。あまりに謎が多すぎて、読んでいてどんな謎があったのかすら記憶が覚束なくなってしまう。また、登場人物も初っ端に突然容疑者らしき名前が10人まとめて登場して面食らってしまった。盗作事件、贋作事件、殺人事件がひとつに繋がる最後の結末、見事さ、殺人事件の犯人の動機のおぞましさは半端ない衝撃だった。(「サロメの断頭台」 夕木春央、講談社)
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