goo

ダチョウはアホだが役にたつ 塚本康浩

ダチョウ研究者によるダチョウに関する様々なことを教えてくれる啓蒙書。全文が関西弁の語り口調なので最初は戸惑うが、慣れるとそれも愛嬌という感じで気にならなくなった。内容は、ダチョウという鳥の特性、ダチョウ研究の苦労話とその成果、ダチョウと深く関わる著者の研究歴の3つだが、どれもとても面白かった。ダチョウの特性としては、時速60kmで走る、目が大きく容積は脳以上ある(要するに脳が小さい)、恐竜が進化して鳥になる過程で最初に枝分かれした、飛ばないので老化が遅く長生き、免疫力が強いなど。びっくりするのは研究成果の章で、免疫力の強いダチョウの卵から抽出した抗体は、デング熱、エボラ出血熱、MERS、インフルエンザ、新型コロナ、アトピー、などを不活性化させる効果がすでに実証済みで、将来的には癌、歯周病、花粉症などにも効果を発する可能性があるとのこと。更に、ダチョウから作られる抗体は牛の胃に生息するメタン産生菌の不活性化に有効で地球温暖化対策の救世主になる可能性もあるらしい。気軽に読めるのに驚くことばかりの一冊だった。(「ダチョウはアホだが役にたつ」 塚本康浩、幻冬舎文庫)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )