先日、NHKプレミアムの『英雄たちの選択』とかいう歴史的人物の選択つまり決断を各界の専門家が意見を述べ合うという番組を見ていた。まとめ役は歴史家の磯部道史、そして、最近はIQが高いと言われている脳科学者の中野信子がよく居る。
鈴木貫太郎の終戦の決断時期を論じていた。何だか、サビ抜きの寿司を喰っている感じだった。誰が何を言ったか、よく覚えていない。ただ、「ポツダム宣言を黙殺すると言ったことで、そのために広島・長崎の原爆をはじめ、沖縄決戦等と甚大な人的被害を招いた」と言った人(萱野稔人?)もいた。中野氏は「鈴木という人物は協調性があるか無いかと言ったこと」を問題としていたような。何の実りのない議論の果てに、最後の磯田道史のまとめが、「鈴木と昭和天皇の関係は特別だったから・・・」で締めくくった。
鈴木貫太郎は、昭和天皇との関係が特別だったから、終戦するために首相にしたのであって、そこにこそ、「昭和天皇の選択」があったのである。天皇の意向と指示と、鈴木の決断時期とを論じなければならないだろう。
その時、首相は軍人でなければ治まらなかったという絶対条件。まあ戦争中だから当然であるが、その中で、自分の侍従であった海軍出身の鈴木貫太郎を昭和天皇は首相にした。鈴木は天皇の終戦のための道具であり、或いは刃物であった。それが鋭利であったか、なまくらであったかということを論じるべきであっただろう。何故か一番大事なものをぼやかす、これこそがNHK的というのだろう。