玄冬時代

日常の中で思いつくことを気の向くままに書いてみました。

近現代史の裏側(4) ―「昭和天皇独白録」から―

2023-10-31 13:43:52 | 近現代史

『昭和天皇独白録』の第一巻には、次のような箇所がある。

古い資料であれば、落丁はあるだろうが、ライン部分には、〔以下の部分、書き落としか、〕とある。

前後の文章がつながらないので、御用掛の寺崎英成が書き損じたと、半藤一利は編集者として注釈を入れたのだろう。今まで何度もこの本を読んでいたが、その判断をさほどの注意を払って考えたことはなかった。

だが、「抑々に」立ち戻った時に、陸軍参謀本部総長の職に皇族が就くのは、過去にも例がある。初代こそ山縣有朋であるが、大山巌を挟んで、有栖川宮ほか宮様が都合10年ぐらい勤めている。

海軍の伏見宮軍令部総長こそが皇族就任の第一号なのである。彼は海軍の現場に従事し、戦傷も負った生粋の軍人である。

仮に皇族に関することを寺崎英成が書き落としたなら、昭和21年6月に稲田内記部長が書き上げた天皇聴取記録(=後に『昭和天皇独白録』と半藤らがタイトル付けした。)を、寺崎が写した時点で書き落としたということになる。

この時点では、昭和天皇は東京裁判から遁れられるか、まだ不明の時期だった。とすれば、天皇に都合の悪いことが書かれていた?との推測も可能であるが、…。それなら最初から削るだろう。

或いは、1991年の出版時において、文芸春秋社が何処かへの忖度として、その箇所を抜いた可能性も無いわけではない。何しろ、この圀は病的な忖度国家であるから、まったくないとは言い切れない。

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近現代史の裏側(3) ―天皇と皇族の関係-

2023-10-30 12:57:04 | 近現代史

天皇と皇族の関係は微妙であり、日米戦争の前年の1940年9月は閑院宮参謀本部総長、伏見宮軍令部総長を軍人将官に交代させている。

その理由は、『木戸日記』には9月19日の件に「予て愈々重大なる決意を為す時となりて、此の際両総長宮の交迭を願い臣下より両総長を命ずるの思召しあり、…」とある。

しかし、天皇は『昭和天皇独白録』では、閑院宮は御前会議の欠席が多く、伏見宮は病気なので交代させたと言っている。どちらが正しいのか、・・・。

実際は、天皇は日独伊三国同盟に反対だったので、陸軍の閑院宮戴仁(ことひと)総長、海軍の伏見宮博恭(ひろやす)王の軍令部総長を更迭する聖慮を示した、と云う説もある。【半藤一利・保坂正康外『「昭和天皇実録」の謎を解く』文春新書】

私は昭和天皇は、皇族の年長者でうるさ型の、伏見宮、閑院宮を藩屏として真に信用していなかったのではないかと考えている。

それよりも、今回、『昭和天皇独白録』を読み直していて、変な箇所を見つけてしまった。(続く)

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近現代史の裏側(2) ―「木戸日記」をあまり信用していない―

2023-10-29 19:08:28 | 近現代史

いつの頃からか、『木戸日記』に全幅の信頼をおかなくなった。特に太平洋戦争が始まった昭和16年分には疑わしいものが多いと思っている。

その『木戸日記』に次のような記載がある。

昭和16年10月16日の件に「…万一皇族内閣にて日米戦に突入するが如き場合には之は重大にて、・・・万一予期の結果を得られざるときは皇室は国民の怨府となるの虞あり」と、木戸は近衛の次の内閣に東久邇宮にしない理由を当時の鈴木貞一中将に言っている。

この文章は二つの疑問がある。

一つは、この時点で「万一予期せぬ結果」と木戸は軍人の鈴木に言えるのか?

二つは、皇族内閣が怨府となるならば、天皇は怨帝となるのではないか?

木戸はこの時点で戦争は負ける可能性があるから皇族にするのは不味いと言っているに等しいのである。また、だからと言って、一番好戦的な東條英機に首相を任せるという理屈が理解できないのである。

昭和天皇は『昭和天皇独白録』に「若し皇族総理の際は万一戦争が起こると皇室が開戦の責任を取ることとなるので良くないと思った…」と書いてある。この表現だと、天皇は自ら開戦責任を取るという潔さを表明している。

しかし、近衛や軍部が推した東久邇宮は「東条は開戦論者である。…このことは陛下も木戸内大臣も知っているのに、…その理由が私にはわからない」と日記に書かれているとか。(続く)

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「昭和」という食

2023-10-27 14:34:55 | 食べ物

グルメではなく、「昭和」という食をもとめているのである。

ミックフライ定食660円、美味いではなく、懐かしいのである。

店の造り、入り口。

そして、昭和の空気。それらを腹一杯食しているのである。

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どっちが恐いか

2023-10-26 17:05:53 | ぼやき

安倍氏は党内、党外のいわゆる右傾岩盤層を自分の側に引き寄せるために「憲法改正」を掲げていたような気がしている。だから、1センチずつ改正に近づくだけで、本当に実施されることはないような気がしていた。

一方、岸田氏は、人相は善人だが、平気で力のない息子を重職に付けたり、犯罪行為に関係の疑いのある家族を持ち、不法行為も平気でやる側近議員を厚遇したりする。

外見、学歴、血統は申し分がないが、自分にとって利益になれば何でもやりかねない怖さがある。

案外、右傾層のご機嫌取りだけで、「憲法改正」をやるかも知れない。

しかし、あの貧相な政治センスでは、いくら電通やDappiの類を使っても、国民投票で不成立になるかもしれない。

ひょっとして、岸田氏は、アメリカから軍備を爆買いした安倍さんよりも、恐い人なのかもしれない。

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