玄冬時代

日常の中で思いつくことを気の向くままに書いてみました。

「四方の海」の為に―『滞日十年』―

2022-02-28 18:59:04 | 

1941(昭和16)年9月6日に近衛首相はグルー駐日大使と晩餐をしている。

 「今晩近衛公爵は私を彼の友人の私邸の晩餐に招いた。」との書き出しで始まる。そして、近衛は、(従って日本政府は)ハル四原則に決定的に且つ全面的に同意する者であるとし、「自分は陸海軍首脳部の力強い協力を受けている」と話した。完全な解決に行きつくには他国による経済的圧迫に対する憤慨が高まって行く現在、半年後、一年後に解決を成就できるかどうか保証できない、「大統領との会談はできるだけ早く行いたい」という切なる希望をした。

近衛は「四方の海」で動いたのではあるまい。晩餐は前から予約していたのだろうし、3日前の「帝国国策遂行要領」が決まる大本営政府連絡会議では、彼は軍部の要領案を鵜呑みしたことになっている。こうした近衛の行動は、実に不思議だ。

近衛は陸海軍首脳に悪く言えば操られている。ハル四原則を実行できないことは明らかなのに、大統領との会談はしたいと言う。果たして、この人物はあの厳しい日米との外交関係の中で対応できる能力があったのだろうか、という疑念が生まれる。9月6日、当日の御前会議では「帝国国策遂行要領」が決議され、―帝国は自存自衛を全うするため…戦争辞せざる決意のもとに概ね10月下旬を目途とし、戦争準備を完整す。②帝国は右と並行して、外交手段をつくし、…③外交交渉10月上旬に至るもなお我が要求を貫徹しうる目途なき場合においては、直ちに対米・英・蘭開戦を決意する。―とされながら、近衛は、此の乖離をどう埋める気だったのだろうか。

無能で嘘つきな指導者というのは今もいる。

30回近く会って「北方2島を返還したら、そこに米国のミサイルを置くんだろう」と言われて、尻尾巻いて退散した。その言葉を引き出すまでいくら金を使ったんだろうか。下関の河豚で換算したら、全く天文学的な計算になるだろう。

今、同じ理屈のことがウクライナで起きている。周辺国から自国領土を守る大義の為の侵略は、90年前の満州事変も、日露戦争も、日清戦争も同じ動機だ。時代は変わったようで変わって居ない。だからこそ歴史は修正したり改竄してはならない。

 

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『暗黒日記』

2022-02-25 17:35:06 | 

またロシアの毛皮を被ったソ連が戦争を起こしている。なぜ戦争が起きるのか、先の大戦の敗戦国である此の國の戦争の原因を振り返ってみたいと思った。

そこで清沢洌の『暗黒日記』を書棚から取り出した。

1944年1月4日

大東亜戦争―満州事変以来の政情は軍部と官僚の握手である。戦争を目的とする者と、一部しか見えない事務家、しかも支配意識を有している者とが混合妥協した結果生まれたものである。

 

ふとこれを今流に書き替えてみよう。

九条改憲後の戦争―安倍第二次政権以降の政情は自民党と官僚の握手である。戦争を目的とする者と、一部しか見えない者、しかも支配意識を有している者とが混合妥協した結果生まれるものである。

 

また、この本を座右の書にする日が近そうだ。

 

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ならず者

2022-02-24 19:02:02 | 時事

嘗てブッシュ大統領は「ならず者国家」と北朝鮮を名指ししたが、バイデン大統領はロシアを何と呼ぶのだろうか。「ならず者大国」とでも言うのか。なんかピンと来ない。

既に、中国の習近平も香港で武力で市民の自由を踏みにじり、共産党独裁政治に馴染むように武力矯正をした。

ミャンマーでも軍事政権が銃を使って素手の国民を軍事政権下に組み入れて行く。

独裁者の共通項は平気で嘘をつくことだ。

今もプーチンはウクライナの親ロシア市民が保護を求めていると、勝手に造った州だか国だかが救援を求めていると嘘をついて軍隊を投入する。軍隊さえ持てば何でもできると云うことだ。

この國には憲法9条があるので一応は軍隊はないことになっている。でも、この國でもキャリア官僚や警察官僚の人事権さえ持てば、倫理観のない政治家は何でもできる。

国有地を8億円も値引きして売れるし、勝手に特区を造って岩盤規制をぶち抜くと懇意な学校法人に多額の補助金と無償提供の土地をあげて獣医大学を造ることもできる。花見の会に自分の選挙民を集めて、序に芸能人も集めて、盛大な饗応もすることができる。

実は、この國にもスケールはかなり小さいが、プーチンのような「ならず者」のようなミニ独裁者がいたのです。

全体主義というのはこういう事???みんな同じ背丈、格好にしてしまうこと?

 

 

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90年前の謀略

2022-02-23 19:09:48 | 政治

ロシアのウクライナ侵略は90年前の我が国の「満州事変」という名の中国侵略と酷似している。今どきバカバカしいと思うが、人間の作る国家というモノのやることの頭の程度はほぼ100年経っても変わらないとは恐ろしく馬鹿げていて、情けないことだと思う。

ロシアは抑々プーチンという独裁者が居る帝国主義の国である。もっとも、アメリカもトランプ王の帝国になろうとした。この日本も安倍晋三という嘘つき大魔王の独裁制の萌芽があった。

政治というのは全く俗物的で小汚いモノである。

21世紀にもなっても一向に進歩や発展はなく、石原莞爾関東軍参謀将校のやった自作自演の紛争、且つ自国民?保護という名目での侵攻、馬鹿の一つ覚えのように何度も繰り返す。ロシア軍の作戦参謀部門も一九三一年九月十八日以降、知能が止まっているだろう。

こうなると、政治というのはやはり社会科学ではないと云うことが明白になり、政治は単にパワー・ゲームで、その延長線の先は「戦争」ということになる。

かつて日本は五大国の末席にあると錯覚して、満州事変を自作自演で侵攻したが、今回のロシアは何を目的としたのだろうか。

一つ言えることは、ロシアも大国であるという自己表現をしたのである。

福田恆存が「第二次世界大戦後、単独防衛の可能な国は米ソ二国に過ぎず、戦後世界においては戦前のような意味での独立国は存在し得ない。」と書いている。

しかし、最近は米中二国の感がある。だから、ロシアも大国だと主張したかった、ということになろう。

裏を返せば、単独侵略ができるのは米中ロの三国しかないということでもある。

今、それが実際に可能かどうか、ロシアのプーチンは挑んでいる。どう見ても一世紀遅れた政治家であるが、…どうなるのであろうか。

成功すれば、習近平もやらざるを得なくなる。

満州事変の報道(1931・9・19付 朝日新聞)

 

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マスコミ壊滅論

2022-02-22 19:25:02 | あれこれ

今のマスコミは、政府下請けの電通が仕切る大本営報道下にあって、必然的に購読者が減って、且つ広告料も減って、自然に潰れて行くか、単に広報誌としてかろうじて存在するのだろうか。

特に官公庁等の記者クラブに籍を置き、記事をタダで貰ってその範囲で報道しているメディアの凋落は速いだろう。

しかし、ネットの媒体もYouTubeに頼っているだけで、存続性や独立性がやがて問題化してくるだろう。乱立による競争や足の引っ張り合いも激しくなるだろう。

近頃のCLPの立民党の大口寄付による自律性、信用性の暴落もその予兆であろう。

先日、ポリタスTVでテレビから締め出された青木理が岩波の「世界」に書いたから読んでくれ言っていたので、本屋に行ってみたら「世界」は店頭になかった。

月刊誌の置き場は、ちょっと気持ちが悪い。

これから出版業界もどうなるのだろうか?岩波の本は書店の買い取り方式で返本を認めないことも時代錯誤、「一月万冊」の本の高額売りや稀少本化は非現実的だ。

所詮、本とは財産ではなく、自らの頭に叩き込む道具という消費財であるべきだ。

マスコミに見切りをつけたジャーナリストが個人ブログを造っているが、所詮一人では範囲が限られているので、長期の存続は難しいでしょう。

数人で作られるタウン誌のようなネット媒体が現れると良いと思っています。

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