錦織のためのWOWOW加入で、最近映画を見る機会が増えた。先週には日本映画を2本ばかり見た。「清州会議」「永遠のゼロ」だが、前から日本映画を見ていて感じていたのだが、なんというのか画面の色が何となく橙のような暖色系の色に見えるのだ。アメリカ映画は金色や黄色に見えるし、中欧の映画は濃いブルーに、韓国映画は薄い空色に見えてくる。アジア映画は見たことがないが、たまに見るインドのスポット映像の色は赤っぽい。私の悪い癖で、多少こじ付け的であるが、映画にはその国の色があるように思える。それは、その国の風土のような、空気の色のような気がする。怪しい理屈だが、私にはそう思えるのだ。まあ、実際には、監督や製作者によって、一定の色遣いの差があるような気がする。そこに、彼らが生まれ育った地域や原風景の気候を映しているようにも見える。
日本映画の色の典型は、かつての日活ロマンポルノのエロチックな隠微さに全く欠けた暖色系の画面を思い起こさせる。そこには、温暖で陽当たりの良いがウサギ小屋のような郊外の分譲住宅や一面が硬質なコンクリートだが、南向きの住宅団地の世界みたいものが投影されている。それに反抗しているのか、北野映画はブルーを基調にしているようだ。昔若いころに見た白黒映画の溝口健二や黒澤明の抜けるように透き通った空間はどこに行ったのだろうか。