都議会劇場では、市場幹部たちは異口同音に「知りませんでした」と繰り返す。見ようによっては、いじましくもあり、もの哀しくもある。親を失った子供たちが健気に親の責任を隠そうとしている、そんな光景だ。
子供たちは皆更迭され、懲戒処分を受けるのだろう。彼らには「二君にまみえず」と言った堅い信念もなかったのではないか。ただ宮仕えの習性として、上司に絶対的に忠義を尽くすことが、出世の必須条件であったし、それを率先実行したから幹部になれたのだろう。
退職した者も含めて、金銭的な損害を被る懲戒処分を受けたとき、彼らは自らの職業人生の反省をしたり、総括をするのだろう。法的には、首長には懲戒処分は及ばないが、最も罪深い者に、政治的責任を取らせるには、選挙と言う手段があるというのかもしれないが、高齢であれば選挙に出ることもないので、お咎め無しということになってしまう。何か割に合わない、筋が通らない結末である。
今回の都の事態は、刑事事件に発展しなくても、二元代表制である首長・議員に対して、実質的なペナルティーを科すことの法的な実験をしてもらいたいものだ。民主制度は強すぎる支配者の権力を制約、牽制する制度であるが、人民主権の立場から、政治家という人民の公僕である権力者に対しても、実質的責任やダメージを負わせるべきだと考えるが、どうだろうか。