安政の大獄は何の目的で行われたのか、ちゃんと納得できる歴史書が見当たらない。
俗説は、開国の必要を感じた井伊直弼が、違勅調印を責めた諸侯や攘夷論者を一掃した、という説明がある。時には、一橋慶喜の将軍擁立の勅許を朝廷から得ようと工作したことが理由であるという場合もある。(←坂野潤治『西郷隆盛と明治維新』)
でも、ただ単に、時代の流れが読めない頑固者が、徳川家に文句を言い始めた公家や諸侯を威嚇するためにその部下たちに重罰を科したというのが納得しやすい。
同じように真珠湾攻撃は何の目的でやったのだろうか。これも歴史は明確に語っていない。
ハル・ノートで実質的にアメリカが日本の生きる道を奪ったから、やらざるを得なかった、という説明もある。(←吉田裕『アジア・太平洋戦争』)
現実は、ハワイに停泊している空母や潜水艦を潰しておいて、有利に戦争を進めようという企てでしょ。だから、普通電信で長い電文を送り、大使館員が手間取って、結果騙し討ちになっても構わないと思っていたのでしょ。
ペリー来航の時に開港せずに戦争をしていれば、その時にアメリカに負けていただろう。明治維新後約70年かけて、富国強兵の下に戦備を整え、軍事国家になってアメリカに対して攘夷をやっただけだ。
要するに、欧米の近代国家を基準とすれば、明治以降の日本の国の造り方は見かけだけの近代化であって、その肝心なところは封建的な思考から少しも脱出をしていなかった。
明治維新は結局のところ薩長土肥を始めとする士族【全国3000万国民の7%】(←司馬遼太郎『明治という国家(下)』)によって行われた、あくまでも士族内の徳川宗家との権力闘争だね。
今や21世紀となって、理由はどうであれ、安倍首相が真珠湾でオバマと共に慰霊をすることは明らかに良い事だと思う。また、トランプが来日した時には、宗教色のない千鳥ヶ淵で慰霊を行ってもらいたいものだ。