玄冬時代

日常の中で思いつくことを気の向くままに書いてみました。

黒川事件の本筋 ―「法の番人」㈨ ―

2025-01-31 10:17:13 | 

文芸春秋の21・5・28号において、新型コロナ感染症自粛期間下において新聞記者と賭けマージヤンをしていたと報道され、黒川氏は辞職した。

この本の著者の鮎川は、検察庁が自らの不祥事で政権に付け込まれて、政権に便宜を図ることが常態化していたと言う。不祥事とは、過去に検察側は調査活動費の問題や大阪地検の証拠改竄等で政府側に弱み握られていた。黒川東京高検検事長はこれらの弱みの代償として政権側に恩を売り、結果として検察側を擁護してきたが、その組織から足をすくわれてしまったと述べた。

IMG_0880.HEIC

著者は幾分黒川氏に同情している節がある。当時の世評は、ネットで騒いで黒川氏の定年延長を非難していた。世間がアベ・スガの強引な官邸人事に不満を感じ始めてきたのかもしれない。

当時はネットの勝利のように人々は黒川氏の辞職に喝采をしたが、実は根はもっと深く、検察や司法は自らの最後の牙城である人事権を守るべく、アベ政権が手を突っ込んで来た官邸人事を押し退け、独自の司法界による人事権を守るために、むしろネットの政権批判を利用して実現したという見方もできるのではないか。(続く)

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

有罪率99.9% ―「法の番人」㈧―

2025-01-24 10:06:41 | 

むかしTVドラマで松本潤が主役で、日本の裁判の99.9%の有罪率に挑む弁護士のドラマがあった。

この本によると、有罪率が高いこと、起訴率が低いことは「謙抑主義の現れ」と言えるが、他方、立証が容易でない事件で、起訴するに値する事件にも拘らず、起訴していないという懸念がもたれている、と書かれている。

また、欧米諸国のように有罪の可能性が半々という場合にも起訴することが望ましいとは言えない、とも著者は言う。

IMG_0880.HEIC

結局、著者は明言していないが、検察官が有罪を確信できるものに限って起訴をして有罪率を99.9%に上げているのではないだろうか。

キハラ事件は政治権力への忖度で「事件性が無い」と検察庁長官が広言した。今回の兵庫選挙では、警察・検察の謙抑や躊躇がデマ、誹謗を止めず、また新たな犠牲者を生んだ、と。国家は司法からも崩れていく。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

裁判所は秘密の官庁 ー「法の番人」㈦ ー

2025-01-17 09:29:59 | 

この本の著者鮎川潤は「裁判所は国家の三権力のうち最も厚い秘密のベールに包まれている」と言う。

国民主権の時代になって約80年だが、官公庁の方針は何も変わっていない。今も論語の「由らしむべし、知らしむべからず」が生きている。

裁判所は自らの誤りのない存在として提示しようとし、間違いを指摘されることを極端に嫌いこれを避けようとする。そのために秘密主義となる、とも言う。

IMG_0880.HEIC

国民主権を守るべき憲法の番人が自らの地位を保持するために、所謂官僚主義で個人の人権を侵していく。これが此の圀の司法の実態ではないかと感じている。

袴田事件ばかりでなく、他にも冤罪事件があるのではないだろうか。和歌山カレー事件には物証がないらしい、…。

果たして、死刑という極刑を科す能力と資格が、此の圀の検察官や裁判官にあるのだろうか、…。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

裁判所のことを知らない ―「法の番人」㈥―

2025-01-10 09:34:32 | 

弁護士は何人か知っているが、裁判所に入ったことが無い。

この本によれば、―

  • 国会は裁判官の弾劾裁判ができる。裁判所は国会に違憲審査権を持つ。内閣は最高裁判所の長官を指名し、裁判官を任命する。裁判所は内閣に違憲審査権を持つ。→形式的な独立性が保障されているが、牽制し合う関係性に無い。
  • 抑々裁判所の裁判官は独立である。果たしてそうなっているだろうか?

→裁判所は法務省と密接な関係にある。法や予算ばかりでなく、人事交流が盛んだ。裁判所は法務省へ裁判官を派遣し、法務省から検察官を受け入れしている。「判検交流」と云われる。

  • 法務省に派遣された裁判官はエリートとして出世する。法務省民事局長を勤めた人は殆ど全国8ヵ所の高等裁判所の長官になる。

IMG_0880.HEIC

学校で習った「三権分立」は存在するのだろうか。果たして裁判官は公平・公正なのか、実際は、裁判官は国家官僚と同じに人事中毒、天下り人種だとしたら。

袴田事件の経過を見ると、身内の失敗の隠蔽の為に死刑さえ厭わない…。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

刑務所のコトは知らない ―「法の番人」㈤ ―

2025-01-03 19:13:33 | 

刑務所のことはあまり知りません。入ったことが無いので。

この本によると、この圀の刑務所は御多分に洩れず、高齢化が進んでいる。2020年で65歳以上の男性は12.9%、女性は19.0%であるそうだ。また長期の受刑者が増えて、刑務所医療には病気治療から今や終末医療も求められているとか。

IMG_0880.HEIC

この圀では、少額の窃盗でも実刑に処す傾向があるそうだ。

最近の例では、73歳の女性が1984円の日用品の万引きをし、2回目に95円のおにぎりを万引きし刑務所に入った。入所者一人当たり年間300万円かかるという。

経済面でも問題であるが、自民党の裏金議員が何十人もいるのに、殆ど罰せられない。この人権の不公平は如何とも言い難い。この國は近代憲法を持つ国家なのであろうか。(続く)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする