今季のテレビドラマを録画して、ほんの15分も見ると、先の筋が読めてしまい、消去してしまう。どうも年寄り向けに造られていないようだ。そんな訳で、ケーブルテレビの映画をよく見る。F・フォーサイスの『戦争の犬たち』を見た。不思議なことに映画の中の古めかしさが、これから始まる回帰現象を思い起こさせた。
全世界が注目する新大統領報道官の第一声が、「就任式に集まった人数が少ない」と報じたメディアへの抗議だった。報道官の顔が、かつて東西冷戦の時代の青白い顔のソ連官僚と同じような顔をしていた。権力者に追従し、必死に忠誠の顔を演じていた。
北朝鮮ではない、中国ではない、一応自由と民主の国のアメリカで、権力を全面に出した政府報道が行われるとは思わなかった。民主政治は衆愚政治に流れることがあると学校教育で習ったように、民主制は運用を誤ると怖い事になる。合法的にナチの独裁が成立したように、アメリカは、選挙によって、何かが変わろうとしている。
戦争を知らない世代として幸福を噛みしめてきたが、人生の晩年において、地球環境の変化、2回の大地震、津波による原発事故、等と徐々に厭なできごとに遭遇してきた。また、ここで、繊維交渉、自動車産業への抑圧、そして、蜜柑を捨ててオレンジを喰えというあの虚しい日米交渉という名の経済紛争が始まるのだろうか。 はたして、歴史は繰り返されるのだろうか。