中央線の廃線跡を歩く

2023-11-30 06:36:12 | その他旅行き
ひょんなことから旧国鉄中央(西)線の廃線跡を歩く事ができるのだと知った。
場所は愛知県と岐阜県の県境で、「愛岐トンネル群」と名がつけられている1.7kmの区間。
行ってみたい旅先として私のメモに残された。
しかしいつでも歩ける訳でなく、春とか秋に期間限定で開放するらしい。
期間限定となれば、どこかへ行く旅のついでに寄ってみる、なんてことはできない。
しからば廃線跡を歩くのを目的に旅を企画するまで。
そして待ちに待ったその特別公開日がやってきた。
現在公開期間中で、初日に見学へと向かった。

<定光寺駅のトンネル>


廃線跡は中央線の定光寺駅から歩いてすぐ。
定光寺駅はいつもは無人駅のようだが、この日は廃線跡の見学にたくさんの人が来るからか、駅員さんが複数名勤務していた。
駅で降りる人はいっぱいで、狭いホームに溢れて電車が発車できないほど。
意外と良く知られた場所であるようだ。

<通称3号トンネル 玉野第三隧道>


廃線跡の入口で一人100円の入場料を支払い、普段は閉鎖されているのだろう通路を登って跡地に入る。
するといきなりドーンとレンガ製のトンネルが目の前に聳えていた。
おー、これは立派。
明治の時代に作られ、昭和41年に廃線となったそう。

<レール流用落石防護柵>


廃線跡を再生維持管理する保存会があるようで、揃いのベストを着た係の人がいたるところにいた。
保存会の人の手によるものだろう、トンネル入口には蒸気機関車の描かれたカーテンがかかっていた。
トンネル内にも電飾が飾られていたり、コース中には廃線跡で見つかった当時の鉄道部品が展示されていたり、レンガの積み方の説明なんかもしてくれている。
途中にある竹林には竹で作った楽器やブランコがあって、子供も楽しめるよう工夫されていた。

<陶器製絶縁器具(香蘭社製)>


愛岐トンネル群とあるように、複数のトンネルがあり、全部で4つのトンネルをくぐれる。
入口から二つ目の4号トンネルにはスピーカーが仕掛けてあって、数分おきに蒸気機関車が走りくる音が流される。
これがなかなかリアル。
トンネルの外で聞いた時は、走行音がだんだんと大きくなるので、トンネルから本当に出てくるような気がしたくらいよくできていた。

<通称4号トンネル 玉野第四隧道>


一番長いのは6号トンネルで333m。
長いから中は真っ暗。
これらトンネル群の中で一番難工事を強いられたようで、補強のためインバートというトンネル底面へもレンガをアーチ状に組み込む構造を取ったそう。
坑門の迫石という丸い縁取り部分が7重巻という重装備(他のトンネルは5重巻)。

<通称6号トンネル 隠山第二隧道の迫石>


トンネルはまんま残っているのだが、線路は残っていない。
廃線時に撤去されたそうだ。
当時レールは駅ホームの柱や屋根の鋼材として利用されていたので、すぐにそうしたものにリサイクルされたのだろう。
道は当時の線路の幅の遊歩道となっていて、トンネル以外に残っているのは足元のバラストくらいである。

<通称6号トンネル 隠山第二隧道内>


廃線跡のコースの終点は愛知県と岐阜県の県境。
ここまで歩いてきたのは愛知県春日井市。
県境の向こうは岐阜県多治見市。
終点で保存会の方が他の観光客の方に話すのを聞くと、廃線跡はこの向こうの岐阜県側にもあるらしく、保存会としては岐阜県側も整備して一般公開したいらしい。
しかし岐阜県知事だか多治見市市長だかが許可してくれないらしい。

<トンネル内のディスプレイ>


ふーん、そうなのか。
自治体によって考え方が違うんだなあと認識。
岐阜県側の廃線跡も歩けるようになると定光寺駅の隣駅である古虎渓駅までつながるので、行って帰って往復歩く必要がなくなるらしい。
終点の向こう側には6号トンネルより長い607mのトンネルがあるとある。
岐阜県側が整備されたら、今度は春の特別公開期間に通しで歩いてみたいものだ。

<この向こうは岐阜県>




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