大画面で見るべき映画

2021-11-06 18:12:42 | 音楽&本&映画
ヴィルヌーブ監督の「DUNE/デューン 砂の惑星」がようやく公開となった。
ようやくというのは昨年の今頃、年末公開予定との情報を得たが、待てど暮らせど公開の報に出会わず。
日本での公開は何か理由があってできなくなったものと思っていた。
実はアメリカでも公開が延期されていたことをこの夏知った。
そうだよな、アメリカでだけ公開して日本はしないなんて、こんな話題作であり得ないよな。
一年もの月日を経ての公開。
鑑賞してきたので、感想を記しておく。
リブートした映画なので、ストーリーはもう知られているからネタバレはほぼ無いに等しいし、公開からもうひと月になろうとしてるけど、知りたく無い人は以下注意。

若い頃、デイヴィッド・リンチ監督の「DUNE/砂の惑星」(以下、前作)を見た。
失敗作との評価である事が有名だが、原作を知らない視聴者としては充分面白い作品だった。
今作はどう作られているのだろう。
見終えてまず思ったのはとても素直に物語を受け入れられたなあということ。
すっと染み込むように身体に入ってきた。
忘れている部分もあったが、ストーリーや設定をほぼ知っているというのが大きかったのか。
砂漠で生きるために着るスーツが前作とほとんど同じイメージだったり、惑星アラキスの砂漠のシーンの既視感が強かった。
スーツについてはたぶん原作にこんなこんなでと詳しく書かれていて、その通りに作るとああなるのかな、と思った。
砂漠だから当然背景は砂しかないし変えようのない部分。

そんな同じ部分もありながら、やはり違いを発見しつつ見る面白さの方が優った。
アラキスの砂漠の移動手段としてトンボのように羽ばたいて飛ぶ飛行機械が出てくるのだが、これがまた本当に飛びそうで、前作で羽ばたいてる飛行機って出てきたかな?と印象になく、一番の違いに思えた。
特撮技術は当時より飛躍的に向上し、もうなんでも表現できる今の時代、文句の付けようがない映像だった。
戦う時身体に纏い、急な打突を弾くバリアも自然な感じで表現されてるし。
ひとつだけ、むむ?と思ったのは砂虫が砂に潜る際の砂の飛び散り方。
砂虫に襲われかけ、岩山に逃れたポールのすぐ後ろを砂に潜るのだが、あの勢いなら砂の飛沫がもっと飛ぶのではないかと思った。
海を泳ぐ巨大なみみずみたいなイメージだから、砂が水に見えるんだよな。

今作は二部作の前編で、前作より時間をかけて表現できるので、深く人物や環境、背景を描けていたのではないかと思う。
主人公のポールは線の細い青年で、まだその秘めた力を発揮する前。
公爵家の跡取りとしての自覚はあるが、リーダーシップをとって積極的に前に出る感じでは無い。
父親が存命中だから当然そうなんだろうけど、成長途中のそんな状態をうまく演じてたと思う。
ポールの剣術の先生(だったと思う)にダンカンという人物がいる。
ポールが敬愛し兄のように慕う人物で武芸に長けていて、今回はポールと母のジェシカを守るため、獅子奮迅の活躍を見せる。
前作ではあっという間にやられちゃったので拍子抜けしたが、今作は遺憾なくその実力を発揮していてかっこいい。
ダンカンがアトレイデス家との関係を取り持った砂漠の民の生き方についても掘り下げられている。
後編では彼らがより重要な場面で登場してくるのだろう。

あと映像も美しい。
砂漠は人が生きるにはとても厳しい環境だが、同時に美しくもある。
そんな砂丘のなんとも美しい映像が挟まれ目を癒やしてくれる。
ポールたちの住む家は広いのだが、シンプルでいて洗練されたデザイン。
惑星に降下するたくさんの巨大な宇宙船。
広場を埋め尽くす出撃を待つ兵士たち。
とにかく壮大な規模の物語であることを感じさせる映像で溢れ、しかも緻密に描かれている。
最後はポールが砂の民に受け入れられたところで終わった。
後編では立場を変えて宇宙の救世主としての役柄を演じるのだろう。
物語のキーとなるアラキスで産するスパイスはあまり前面に出てこなかったが、後編ではどうだろう。
次作公開が楽しみである。

<これは胡椒>




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