春の夜の 夢ばかりなる 手枕に かひなく立たむ 名こそ惜しけれ
歌意: 短い春の夜の夢ほどの、はかないたわむれの手枕のために、
何のかいもない浮名が立ったとしたら、なんとも口惜しいことです。
作者: 周防内侍(すおうのないし) 11世紀後半の人。
周防守 平棟仲の娘か。
後冷泉以下四代の宮廷に仕え、当時の多数の歌合に参加。
『千載集』の詞書には、
陰暦2月頃の月の明るい夜、二条院(後冷泉院中宮の章子内親王の御所)で、
人々が夜通し物語などをしていた時に、周防内侍が物に寄り伏して、
「枕が欲しいものです」とそっとつぶやいた。
それを聞いた大納言藤原忠家が、「これを枕に」と言って、
自分の腕を御簾の下から差し入れてきたので、この歌を詠んだ。
忠家がたわむれに差し入れてきた「かひな(腕)」を、
とっさに「かひなく」に詠みこんで、軽妙に相手の意図をそらしたことになる。
その即妙の機知もみごとだが、
「春」「夜」「夢」「手枕」などの言葉を連ねて、
優艶な濃いの情調をも漂わせている。
当時の宮廷生活が偲ばれる一種である。
※参考 文英堂 「原色小倉百人一首」
本日2つ目のブログアップです。
恒例となりつつある、月末の記事「小倉百人一首」です。
残りはあと三分の一。百首アップできるよう、頑張って稽古します
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