契りおきし させもが露を 命にて あはれ今年の 秋もいぬめり
歌意: お約束してくださいました「私を頼みにせよ」という
恵みの露のようなお言葉を命とも頼んできましたが、
ああ、今年の秋もむなしく過ぎていくようです。
作者: 藤原基俊(ふじわらのもととし)
1060~1142 右大臣藤原俊家の子。
詩歌集『新選朗詠集』の選者。俊頼(74番)の新風に対して、こちらは保守的。
『千載集』の詞書によれば、
作者は、興福寺にいた子息の光覚(こうかく)が、名誉ある維摩会の講師になることを、
その任命者である藤原忠通に懇願していた。
それに対して忠通は、清水観音の歌とされる
「なほ頼めしめぢが原のさせも草 わが世の中にあらむ限りは」
(私を頼みにし続けよ。たとえあなたがしめじが原のさせも草のように
胸をこがして思い悩む事があっても。)の一句を引いて、
「しめぢが原の」と答えた。
基俊は、その言葉をあてにして待っていたが、
今年の秋もまた光覚は選にもれてしまった。
それを恨んで詠んだのがこの歌である。
子を思う親の心情と嘆息が描かれている。
※参考 文英堂 「原色小倉百人一首」
早3月もおしまいです。
桜、まだ近所では咲いていません・・・
来週辺りは満開の桜が楽しめることを期待して待ちましょう
にほんブログ村ランキング←ポチッと、お願いします