よし坊のあっちこっち

神出鬼没、中年オヤジ、いや、老年オヤジの何でも有りブログだ!

イッツ JAZZ-Marian McPartland と 4連弾

2006年11月24日 | Jazz
たまたま、車のラジオをつけたら、「ピアノ・ジャズ」という番組をやっていた。懐かしい名前、ピアニストのマリアン・マクパートランドが、ゲストミュージシャンと繰り広げるトークと演奏の番組だ。

イギリス生まれのこのピアニスト、アメリカに来て、1950年代から活躍し始めた。今でも自分のトリオで全米を回っているようだが、このラジオ番組は25年やっているという。NPR(全米公共ラジオ)が流している番組で何処からでも聴ける。

マリアン・マクパートランドで思い出すのは、もう30年も前になるのか、大阪のフェスティバルホールで、ビル・エバンス、ジョン・ルイス、ハンク・ジョーンズと彼女が一同に会して、4つのピアノを前にソロあり、掛け合いあり連弾ありの誠に贅沢な面白いジャズピアノの競演であった。

ビル・エバンスと言えば、圧倒的黒人パワーのジャズ界にあって、巨匠マイルスに見出されたAリストの白人ピアニストであり、ジョン・ルイスはあの有名なMJQのリーダーだったし、ハンク・ジョーンズは言わずと知れたジョーンズ3兄弟の長兄だ。

エバンス、ルイスは既に他界しているが、マリアンとジョーンズはいまだに弾きまくっているのはうれしい限りである。

イッツ JAZZーニーナ・シモン

2006年11月03日 | Jazz
2003年、アラバマを車で走っている時にラジオのニュースでニーナ・シモンがフランスで亡くなった知らせが飛び込んできた。「Singer, Nina Simo~n died in France」「えっ?」「Legendary diva of jazz and blues ・・・」「あのニーナ・シモンが死んだか」そういう感じだった。

初めてその声を聞いたのは、70年代の後半、多分日本からNY経由Elmiraという小さな町に仕事で行ったときだったと思う。ラジオから、えらい太い、太すぎるくらいの女性の声で時にハスキーに歌う特徴のあるボーカルが聞こえてきた。

早速帰ってからレコード屋へ。名前はニーナ・シモンと分かったが聞いた曲名が分からない。取敢えず「Nina Simon, Little Girl Blues」を買った。その曲「Love Me or Leave Me」は3番目に入っていた。この他にもMood Indigo, He Needs Me, Little Girl Blues,どれも良い。もちろん I Love You Porgyもだ。彼女の歌はピアノの弾き語りで聴くのが格別良い。このアルバムは彼女のデビューアルバムの復刻版であることが分かった。オリジナルは1957年らしい。

大御所にエラおばさん(Ella Fitzgerald)が居るが、明らかにエラおばさんの流れではない。何か もっとソウルフルなのである。そのあたりの特徴が出ているのが、Mississippi GodamnやSinnermanだろうと思う。奥から絞り出されるというか、そんな感じだ。アメリカ南部の綿花畑を歩きながら聴くのが似合う。そう、Deep Southとか、デルタ地帯に身を置いて聞くとしっくり来る様な歌なのである。あの「House of The Rising Sun」も彼女でトドメである。

南部ノースカロライナに生まれ、黒人故に自らのアイデンティティを求め、複雑なアメリカを去って、最後はフランスに安住の地を得た、ということか。


イッツ JAZZ-オイゲン・キケロとクラッシック

2006年10月11日 | Jazz
クラッシック音楽となると、白鳥の湖だとか、運命だとかの有名な曲以外に馴染みがないのだが、ルーマニア出身のオイゲン・キケロが、クラッシクのジャズ化で世に送り出した「ロココ・ジャズ」のレコードに出会った時は一種の衝撃というか、新鮮な世界が出現したという感じだった。以来30年手離せなくなってしまった。名盤の一つと思っている。

彼のお陰で、知らなかったクラッシックの旋律のいくつかを知るようになり、Jazzyな雰囲気の中で大いにクラッシックの味を楽しませてもらっている(クラッシックファンにとっては、邪道だと言うだろうが)。バッハのソルフェジオ、スカルラッティのソナタ、バッハの神よあわれみたまえ等、どれをとっても飽きない。中でもバッハのソフトリー・サンライズは、いきなりトッカータとフーガのニ短調で始まり、ジャズのスタンダード「Softly As In a Morning Sunrise」のアレンジへと突入する。なんとも癖になる曲である。

トッカータとフーガのニ短調といえば、フランスのジャック・ルーシェによる有名な「プレイ・バッハ」にも入っている。これは、VOL.5まであるが、一枚目と3枚目に演奏を入れていたように記憶する。

キケロの「Spring Song」というアルバムでは、メンデルスゾーンの「春の歌」を教えてくれる。この中のスメタナの「モルダウ」は唯一クラッシック音楽そのものとして聴いても好きな曲であるが、ジャズィーなこれも大変気に入っている。

女性でジャズを一度聴いてみたいという人に薦めるアルバムがいくつかあるのだが、この「ロココ・ジャズ」は必ずお勧めするひとつである。

イッツ JAZZ-マルと瞑想

2006年09月27日 | Jazz
レコードやCDを買っても、よく聴くのと、たまに聴くのと、殆ど聴かないのとある。たまに聴きたくなるのが、マル・ウォルドロンの瞑想(Meditation)というアルバムだ。ところが今聴けないのだ。新宿のジャズ喫茶「DUG」での単独ライブ録音盤なので、当時日本のレーベルでしかリリースされなかったはずであるからして、当然今に至るまでにCDになっているはずも無いのである。

ビリーホリディ最後のピアノ伴奏者として有名なマルだが、何故かアメリカではあまり評価されなかった。ところが、日本やヨーロッパでは人気が高く、日本では「孤高のピアニスト」として、固定ファンが結構いた。

このアルバム、有名なレフトアローンも入っているが、竜安寺の石庭、とか日本をフィーチャーしたテーマを中心に、マルが時に切なく弾くところが何とも憎いのである。特に夜更けた頃、独りタバコをやりながら(今は禁煙してから20年経ちました)安いウイスキーを片手に、これを聴くと別世界の気分なのである。

レコードは有るので、古びたステレオで何とかならぬかとトライしたが、肝心のステレオが相当モウロクしており、テープに録ろうにも録れない状況である。

もう、マルの「瞑想」にふけることは出来ないのかと思うと、非常に寂し~い。

イッツ JAZZ-Marcus Roberts Trio

2006年09月06日 | Jazz
最近のジャズシーンにはすっかり疎くなり、それでも、ニューヨークに遊びに行けば必ずヴィレッジバンガードに顔を出す。ここは、老舗でかつそんなに混み合わないので行き易い。例えば有名なブルーノート。何と日本に5件も有ると聞いてビックリなのだが(不思議な国、ニッポン)、オープンのかなり前から長蛇の列で、並ぶ気もしない。その点、バンガードはオープンの20分くらい前からちらほら並び始める程度で誠に具合が良い。そういえば、日本人のもう一つの定番スポットのスイート・ベージルも大分前に無くなったそうで、何となく浦島太郎状態。

この前、久しぶりに行ったら、マーカス・ロバーツ・トリオというのが出ていた。ドラムスのジェイソン・マルサリスは、さすがにマルサリス一家なので知っていたが、彼に手を引かれて出てきた、この盲目のピアニストは全く知らなかった。当夜は、このトリオのアコースティックなセッションに大いに満足して引き上げた。

ところが、つい最近、テレビのスイッチを入れたら、画面にあの、小澤征爾指揮する2002年のタングルウッド・コンサートが映し出された。暫く見ていたら、どこかで見た顔、あのマーカス3人組が競演しているではないか。小澤征爾はマーカス3人組を高く評価しているらしく、そうなると、ミーハー的性格には定評のあるよし坊のこと、益々マーカス3人組にのめり込む。


イッツ JAZZーSOMETHIN' ELSE

2006年08月21日 | Jazz
好きな音楽はと聞かれても、これというもの無く、なんとは無しの音楽であり、強いて言えば60年代はレイモン・ルフェーブルやポール・モーリアといったフレンチポップスで、がなるようなロックやジャズは嫌悪感の対象で聴くのも嫌。だった、会社に入るまでは。

出会いというのは不思議にしてオソロシく、会社の帰り、電車の中で独身寮の主(ヌシ)にバッタリ。(主)が突然「ちょっと付き合え」で途中下車、向かったところはレコードショップ。(主)、レコードを数枚購入したところで、やおら「ジャズ好き?これ聴かへんか」。恐れ多き(主)のお言葉、顔を見れば無言のプレッシャー、断われるはずもなく、「SOMTHIN' ELSE」が我が手の中へ。

帰りの道中、(主)はジャズの薀蓄独演会で、我が方は上の空。漸く寮にたどり着き、自室へ直行するはずが、「俺の部屋へ来い」の(主)の追い討ちで、コレも縁かと部屋に入って仰天。壁じゅう、床から天井まで、千数百枚に及ぶレコードの山。

(主)は、独身を長く謳歌する寮の長老であり、それ故に数少ない大部屋を与えられ、ジャズ三昧の生活。保険も生命保険か車の保険と思いきや、レコードに保険を掛けてると聞くに及び、話もそこそこに退散。

買ったからには聴かにゃ損と早速ステレオコンポでプレイスタート。最初の曲は「枯葉」、マイルスのトランペットで幕開き、それをキャノンボールのサックスが引き取り・・・・そしてこの一曲で我がジャズへの嫌悪は一挙にぶっ飛びとなった。

その時以来、(主)と話を交わした記憶なく、あっという間の幾星霜、今頃どこに居られるや。(主)にカムサハムニダである。

よし坊のジャズィーな話、乞うご期待。