よし坊のあっちこっち

神出鬼没、中年オヤジ、いや、老年オヤジの何でも有りブログだ!

鳥の丸焼き

2018年11月25日 | アメリカ通信
アメリカの最大のイベント、感謝祭サンクスギビングが終わった。日本で言えば正月の祝いである。そしてこの感謝祭、どこのスーパーにも一斉にターキー七面鳥の丸焼きが並び、売れていく。

感謝祭とターキーの伝統は、アメリカ建国前後の歴史的産物だから致し方ないとして、ニワトリの親戚のような七面鳥の肉が美味しくない。上手に料理する方法もあるのだろうが、大体不味い。

アメリカに来た頃、感謝祭前後の休暇を利用して、我が家4人で旅行に出かけたことがある。その時の事に懲りて、以来感謝祭バケーションに旅行することは無くなったのだが。何処のレストランもメニューが七面鳥一辺倒なのである。それが美味しければ文句もないのだが、これが不味いとくるから、何やら損をしたような気分になったものだ。だからこの時期に旅行にはいかない、となる。

さて、フィーバーも一段落した昨日、かねてより計画していたターキーならぬ、チキンの丸焼きを一度たべてみることにした。20数年アメリカに居て、初めての試みである。やはり日本人には馴染みのチキンがあう。

写真の丸焼きは既に焼いてあって、日本円にして500円である。薄味がついているから、そのままで食べてもいいし、なんかタレをつけてもよい。ということでワイフと二人、黙々と食べたのだが、一向に減らないのだ。3分の一くらいで満腹となり、丸焼きチャレンジは終了となった。

飲み物は? そう、いつもの我が家定番の300円の赤ワインである。

さて、残ったチキンだが、ワイフ曰く、本日の晩飯はチキン照り焼丼、最後の残りで明日の晩は鍋と落ち着いた。

エリザベス・スマート - 拉致そして生還

2018年11月09日 | アメリカ通信
2002年6月5日、かつて冬のオリンピックが行われたユタ州ソルトレークに住む14歳の少女、エリザベス・スマートが、夜中のうちに自宅から忽然と姿を消した。必死の捜査も空しく9か月が過ぎた2003年3月12日、彼女は静かに、そしてドラマチックに生還したのである。アメリカでは毎日のようにどこかの州でMissing(行方不明)が発生している。中には自らの意思で姿を隠す者も少なくないが、性的な目的で拉致するケースが圧倒的に多い。更に拉致した後は、個人的な性的満足を得る目的と人身売買で海外へ売り飛ばすケース(human trafficking)とがある。ドラマや映画の題材になる身代金目的のケースは近年では殆どない。

エリザベスはその後高校大学へと進学した。事件は2010年に結審し、犯人達に判決が下りた。2011年、エリザベスは将来の伴侶と出会い、12年に結婚。恐らく夫の勧めと支えがあったのだろう、事件で実際何が起こり、どのように思い、過ごし、何を支えにしたのかを「My Story」として本にまとめあげた。以下概略である。

夜中に家に忍び込み、エリザベスを拉致したのは、複数の妻を持つことを神のお告げと狂信する中年男で、二番目の妻として物色中、エリザベスに白羽の矢を立てたのである。彼はエリザベスを連れ去る時、「騒ぎ立てたり逃げたりしたら家族全員を殺す」と脅した。この脅しは事ある毎に彼女に吹き込まれ、これが呪縛となった。住むところは山中でのテント生活である。食べ物は男が町へ出て、レストランの残り物やスーパーでの万引きで調達したり、協会の催しがあればそこで貰ってくるというい生活である。夜になると古女房の傍で夜な夜なエリザベスをレイプに及ぶ。こんな生活が延々と9か月も続いたのである。

彼女には逃げるチャンスはあった。たまに男と妻、エリザベスの3人で街中に出ていくことがある。しかし、「逃げて万一失敗したとき、何が起きるか。男は家族を皆殺しにする」。これが呪縛となって何回ものチャンスに踏み切れなかった。人は、周りに助けを求めれば出来るはずだ、と言うかもしれない。果たして100%助けられると言い切れるだろうか。

では、14歳の少女には過酷とも言える環境に彼女はどう耐えたのだろうか。彼女にとっての支えはキリストであった。よし坊は特定の宗教を信ずる者ではないから、宗教の良し悪しを論ずるつもりはないが、宗教を信ずる多くの人にとって、折れそうな心を支える掛け替えのないもののようだ。いかなる宗教でも、信ずる者にとっては大きな意味があることは理解出来る。こうして彼女は地獄の9か月を耐えたのである。

最後の救出の瞬間は正にドラマチックである。2003年3月2日、久しぶりに3人が街中へ出た。ショッピングモールの広い駐車場。遠くに一台のポリスカーが止まり、警官が降りてきた。3人の出で立ちは、いつものように見すぼらしいから、街中ではすぐ目に付く。警官が近づいてきたということは、日本で言えば職質であろう。その警官は最初から3人グループに違和感があったのだろう、直接エリザベスの話かけた。男が何か言うのを制して、彼女の直接の言葉を聞こうとしたのである。「名前は?」。二度三度聞かれたが、エリザベスは言葉を発することが出来ないでいた。呪縛がかかり、怖かったのである。その警官は今度は優しい口調でこう聞いた。「我々警察は拉致されたエリザベス・スマートと言う少女を長い間探している。あなたはエリザベス・スマートではないか?」。警察が長い間エリザベス・スマートという自分を探し続けていた事実を耳にした時、初めて呪縛が解けたのであろう。「私はエリザベス・スマートです」。

今、彼女は性的被害に苦しむ弱者救済の団体を立ち上げ、支援活動を続けているが、性的被害の支援という意味では、アメリカの支援の広さに比べ、日本は圧倒的に貧弱だ。日本で最近、女性ジャーナリストが勇気を持って被害を訴えたが、支援は広がらず、つぶされてしまった。やはり、日本では宗教が軸足となり得ないのかもしれない。