よし坊のあっちこっち

神出鬼没、中年オヤジ、いや、老年オヤジの何でも有りブログだ!

何か変だ、今のアメリカ

2016年04月13日 | アメリカ通信
2001年の9:11を契機に”一つのアメリカ”に一致団結したこの国は、初の黒人大統領の誕生を成し遂げたまでは良いのだが、オバマ政権の8年間で何が変わったかと言えば、”初の黒人大統領の誕生”にも関わらず、白人と黒人の溝が一層深まってしまった事だろう。最も顕著な現象は、白人警官による黒人への発砲射殺事件の頻発である。いずれの事件も、相手が白人だったら、そう簡単に発砲はしなかったであろう事例ばかりなのである。ひとたび事件が起きれば、昨日までお隣同士で仲良くしていた白人家庭と黒人家庭が口も利かなくなり、町全体が白人対黒人の対立図式に変わってしまう。

アメリカ社会が何か”好ましくない方向”に進んでいるようで、社会全体に不安感が漂っているのだが、ここへきて更に”変なアメリカ”の様相を呈してきたのが、アメリカ国家の重大な方向性を定める大統領選に見ることができる。

日本の野党はだらしない限りであるが、ましな二大政党を形成していた共和党の体たらくは見るも無残である。何故なら、共和党の大統領候補選で一介のビジネスマンのドナルド・トランプが旋風を巻き起こし、それに共和党は苦虫をかみつぶしながらも何もできないでいるからだ。

アメリカは自由の国だから、誰でも大統領になれる。理論的には可能だが、いくらビジネスで成功したからとて、政治の世界の未経験者に一国のかじ取りを委ねてよいものだろうか、と言う事である。

一介の俳優から大統領になり、近年の歴代大統領中最高点をつけているロナルド・レーガンでさえ、カリフォルニア州知事を務めて大統領選へ打って出た。

”自由な国”アメリカといえども、”何でも有りのアメリカ”を許してはなるまい。


Resume(レジュメ)文化の無い日本の盲点

2016年04月01日 | ビジネス横丁こぼれ話

日本の某テレビ局報道番組のレギュラーコメンテーターの学歴詐称が週刊誌にすっぱ抜かれ、降板した。本職は経営コンサルタントで、自身の会社はアメリカで設立され世界7か所でオペレーションを展開しているとホームページには書かれている。その最後の方に学歴が載っており、テンプル大学経営学士、ハーバードMBAと記載されている。

バラエティ番組と違い、ニュースや報道番組は硬派の番組だから、かなりの”知識と教養”がなければ務まらない。学歴は必須ではないだろうが、”素性の分からぬ人物”ではいかにもまずい。素性に嘘があったとなれば問題で、当然非難される。

大恥をかいたのは、こんな人物を起用した某テレビ局だろう。誰かの紹介か、それとも知名度の高い経営コンサルタント(実績があるかどうかは別にして)だからと、起用したのだろうか。身辺調査もせずに、ただホームページの記載を信じて起用したのだとしたら、相当に間の抜けた話だ。一局が起用すれば”安心”と、その後芋ずる式に複数局での起用となり、ブレークしたらしいが、どの局も身辺調査をしなかったのだから、あきれるばかりだ。その点、すっぱ抜いた週刊誌は立派なものだ。恐らく、ニュース報道番組に出るくらいの人物だから素性を把握しておこう、くらいの気持ちで調査に入り学歴詐称が見つかった。それにしても、なんでこんなことが起こるのか、と疑問が湧くが、よくよく考えてみれば、日本では容易に起り得る事だと言えよう。

アメリカでは、この種の事件は起こり難い。その理由はResume社会だからである。アメリカの雇用現場では、まず最初の関門がResumeのチェックで始まる。たとえコネで内定しても、必ずResumeや関連証明書の提出を求められる。Resumeの書き手は、自分を最大限に上手に表現しようと、嘘にはならないギリギリのところまで表現する。一方、採用者側は騙されまいとResumeを徹底的に読み込み、バックグランド・チェック等で嘘の有無を調べるので、嘘を書いても結局バレる。絶えずチェックすることがシステマティック動いているので、どこかで網にかかる。この点日本はResume社会ではないから、簡単にザルから漏れてしまう。

一回ぽっきりのゲスト出演ならいざ知らず、番組のレギュラー・コメンテーターと言うジョブ・ポジションへの採用だから当然人物のチェックがあってしかるべきだが、Resume社会ではないことが日本の盲点になっている。件のコメンテーターの講演会や著書による”著名人”ブランドと、”アメリカの大学卒業、MBA取得”という振れ込みを鵜吞みにした、ブランドに騙されやすい日本の社会が見える。