よし坊のあっちこっち

神出鬼没、中年オヤジ、いや、老年オヤジの何でも有りブログだ!

国家の罠

2008年11月25日 | いろいろ
かつて、悪の総合商社、ムネオハウス、等の言葉が飛び交う中で、国民の注目を浴びた政治事件があり、私を含めた一般国民は、「なんてスズキムネオはひどいやつだ」等と憤り、さらに彼のサポーターでもあるマツヤマチハルが「俺はムネオさんを信じている」等と言うと、ワイフ等は、チハルもとんでもない奴だ、等と言い出す始末であった。マスコミも勧善懲悪とばかり、スズキムネオ氏とその一派を天下の極悪人として猛烈なキャンペーンを張るに至った。

さて、遅ればせながら、この事件でのもう一人の主役である、佐藤優氏の著書「国家の罠」を最近読んだ。この本で、初めて「国策捜査」なる言葉にお目にかかったのだが、彼が大変詳しく且つシロウトに分かりやすく書いているその全貌を知るにつけ、巷に聞こえていた、「悪」の表層のイメージとは別のカタチが見えてくる。

普通なら取るに足らぬ出来事を大々的な国民関心事に仕立て上げ、お灸をすえる。しかし、行き着くところまでやると、とんでもない大物までちょっぴかなければならず、そこまではシナリオとしてやらない、そういう方針の下に行うらしい。この事件も行き着くところまで行っていたら、今でも最大派閥の大ボスとして君臨している元M首相を捕獲することになったであろう内容と聞く。

当時の何代かの首相の肝いりで彼らが動き、しかも上司の許可の下に動いているわけだから、佐藤氏が疑われるなら、上司も同罪となるはずだが、国策捜査というのは検察のシナリオに沿わないといけないらしく、兎に角最初に設定されたターゲットのみが捕獲対象となり、裁判闘争となる。

政治事件というのは、一般の事件とは一味違うが、こんな国策捜査やら、一般の事件でも、冤罪の話を聞くと、警察とか検察権力というのは、何か不気味な匂いがする。

最近、ロシアの大統領が北方領土問題を次の世代に持ち越さない、という強いメッセージを発した。佐藤氏は外務省にあって、ロシアの内情に通じ、コネクションはピカイチだったと聞くから、誠に惜しい人材をつぶしてしまったと思う。それとも彼の現場への復活劇はあるのだろうか。

FDA 動く

2008年11月20日 | アメリカ通信
アメリカの食の安全を監視するFDA(米国食品医薬品局)が初めて海外に事務所を開いたというニュースが載った。場所は中国。

恐らく今まで水面下で食の安全確保の為に交渉を続けてきたのだろうが、要するに、いろいろやっても、中国に任せておいては食の安全は到底確保できないから、自ら防衛するしかない、という宣言である。中国にとってはこの数年の汚染不祥事を自らの手で決着出来なかったゆえの屈辱的な結末のように見える。

面白いのは、中国に3~4箇所の事務所を設置した後、FDAの向かう先はインドである。即ち、世界は、将来的にも最多人口の中国と第二の人口大国インドに依存せざるを得ない事をグランドデザインで描いている証左である。アメリカは中国同様、インドも危ないと見ている。

こういう時に思うのだが、多民族国家アメリカならではのコネと情報網が存分に働くのかもしれない。アメリカには中国系アメリカ人、インド系アメリカ人も相当多いから、表の情報のみならず、裏の情報もシッカリとって、それをお得意のシステム化能力でルール固めをして、相手の胸元に突きつける。こういう能力はアメリカ人の右に出るものはいない。日本はアジアの大国にして地理的にも中国インドに近いが、残念ながら、このシステム化能力が劣る。

何年経てば中国は管理体制のしっかりした国になるのかだが、アメリカから見れば、当分無理(100年先も同じか)、埒が明かないと見ての行動だろう。さすがに、銃を所持して自分の身は自分で守る国、国民である。

悔しいが、世界の標準はアメリカが作る、そんな事を考えさせられるニュースである。

忍の一字

2008年11月18日 | ビジネス横丁こぼれ話
アメリカ人に仕事を教えるには大変な忍耐が必要である。文化と習慣の違いを乗り越えて教えるのは重労働とさえ言ってよい。これに言葉の壁が付いて回るから、大げさに言えば苦痛の極み。

日本だと、転勤や、転職で人が変わるとなると、結構長い期間の引継ぎが出来る。日ごろから「立つ鳥あとを濁さず」なんていう事を叩き込まれている(最近ではこんな言葉は知らないかも知れぬ)から、後でとやかく言われないように時間を掛けてキッチリと引継ぎをやる。転職で辞める人にも出来るだけ長く引継ぎをやってもらうよう頼んだりもする。だから、人が変わってもジタバタしない。

ところが、アメリカは辞める通告をしてキッチリ2週間でハイ、サヨナラとくるから、悠長に引き継ぎなどやっておれない。そこで威力を発揮するのは、やはりと言うか、マニュアルである。アメリカの優れているところは、実にこのマニュアルにある。アメリカはマニュアル文化の色濃い国なのである。

確かに、色々な人種がいて、しかも、外国から来て市民になった人も多いから、単一ルール、単一のモラルスタンダードで括るわけにはいかない。だから、誰もが使える共通の手引書みたいなものが必要になるのは当然だ。日本みたいに、一寸したヒントを与えて、やり方は自分で考えろ、なんて言ったってだめなのである。逆にやり方を教えろ、と言ってくるのが、オチである。

さて、いよいよ教える段になる。ただマニュアルを渡せばよいかというとそうでもない。何の為にやるのかの、目的をキチンと伝えないとうまくいかない。ここにマニュアルがあるから、ヤレっ!ではやはり駄目なのである。

アベレージ以上の人は、内容の習得と共に、自分なりに臨機応変に考えてどんどんこなしていくが、問題はアベレージ以下の人で、これが実に多い。途中でチェックを入れながら、マニュアル片手に手取り足取り教えることになる。ここに「忍耐」が必要になってくる。

我慢を続けて数ヶ月。漸くサマになってきたな、と思った矢先、辞めます、とくる。出てくるのはため息ばかり。
それでも、同じ事を続けないといけない、そういう国である。

何故マケインは負けたのか(メディアの分析から)

2008年11月09日 | アメリカ通信
歴史的な選挙が終わった。当初から、オバマ若干有利とはいうものの、ほぼ互角のデッドヒートが予想された今回の結果は、オバマの大勝となった。そして今、メディアが「何故マケインは負けたのか」の分析と検証を試みている。

9月の中旬までは、まさしくデッドヒートだったようである。それが、リーマンの経営破綻による金融危機誘発を境に、マケイン離れが起きてしまったらしいのだ。運命の分かれ道とでも言おうか、岐路に立って取った行動が、一人は大統領職に別れを告げる道を選び、もうひとりは、それを手に入れた。一体何が起こったのか。

リーマンが破綻した時、マケインは果敢にも、「アメリカの金融システムが磐石である」とアナウンスした。実態とはかけ離れていても、強いアメリカを国民に植え付け、鼓舞する時によく使う手だ。しかし、数年前からサブプライムローンが破綻したら、取り返しのつかないことになるとは、アメリカのみならず世界中が認識していたことであり、あっという間に破綻の連鎖が起きた。ここで、マケインの経済オンチが見事に露呈した。

次に、ワシントンでの緊急公的資金注入の早期実現で、マケインは選挙戦を一時中断してでも、ワシントンに出向き、あたかも自分がイニシアチブをとったかのような印象を与えることによって、劣勢挽回をはかろうとした。これも良く使う手だ。国の危急存亡の際は全てを投げ打って奉仕するので、というやつである。オバマはこれにも乗らなかった。最終的にはブッシュが二人を呼んだ形となったのだが、マケインは何もする事が出来ず、選挙区へ戻った。

金融危機が進む中、遊説先でひとつのローカルエピソードが出てきた。「配管工ジョー」の話だ。税金に絡む話で、オバマが答えた内容をマケイン陣営は大々的に取り上げ、オバマは社会主義者だと猛烈に宣伝し始めたのだ。アメリカではこういった些細な事でも命取りになるから、油断は禁物だ。この話は全国区のニュースとなった。

それでは、この間オバマは何をやったのか。大局を見据えた動きをしたというべきなのだろう。金融危機をどう取り扱い、どう対処していくか、金融界の重鎮や、ウォールストリートの専門家の最新の意見、データを集め、自ら理論武装をしていたのだ。この姿勢が、ウォールストリートに対し、経済危機を乗り切れるのは、マケインではなくオバマであるとの強烈なメッセージになった。

確かに不利を伝えられていたマケインがこのチャンスを物にしようと思ったのは当然で、オバマより出来がよかったら、逆転の可能性もあったのだろうが、冷静沈着のオバマ、役者が上であった。


オバマ、オバマそしてオバマ

2008年11月05日 | アメリカ通信
アメリカ時間夜11時、バラック・オバマ優勢のうち、とうとう当確が出た。これで民主党は上下院も多数を確保の予定で、ぶっちぎりの政権が誕生するわけだ。

オバマの若さ、変化を目指す姿勢と変化を求める国民の前にマケインは敗れ去ったのだろう。マケインの敗因は何か。専門的なことは言えないが、外野からみるとこうだ。

歳。レーガンの例はあるが、いかにも爺さん、というより古い体制側の人間というイメージが付きまとう。副大統領候補にサプライズの若すぎる女性知事。サプライズには良いが、その後のメディアからの質問に対する答え及び答え方があまりにも頼りない。何せマケインに万一の事があったら大統領になるわけだから。鍛えられたヒラリーのレベルには程遠い。そして何より駄目ブッシュの影が最後まで付き纏った。一生懸命払拭しようとしていたが、無理というもの。

アメリカは一生懸命変えようとしている。オバマの言う、CHANGE。

日本はどうなの? 期待する方が無理というものか。

最後の戦い

2008年11月03日 | アメリカ通信
今日、月曜日。泣いても笑ってもあと一日というわけだ。この週末からテレビは選挙模様一色で、相手攻撃のテレビコマーシャルのオンパレードである。オバマが勝つか、はたまたマケインか。

アメリカの大統領選挙戦が国全体を沸かすのは、何だろうか、を考える。
アメリカの選挙制度はチョッと複雑で、解説すると相当長くなるので端折るが、一言でいうと、選挙システムの途中に国民の声が反映される仕組みがあることだろう。
日本の首相なんていうのは、建前は国民が選んだ代議員センセーが決めているように教科書に書いてあるが、ご存知のように密室で決まったり、要するにセンセー達の好みや勢力図の基にあっけなく決まってしまい、政策論争など実質皆無である。

アメリカは、夫々の党での指名を受けなければならないが、その指名投票の一部に、国民の投票数が組み込まれる。従って、政策やら方向性に人気の無い者は選ばれないのである。立候補しても彼らの支持が得られなくなると、レースから下りざるを得ない。ある意味で人気投票の面はあるが、この国ではこの人気を勝ち取ることが重要であり、一部のしょうもない議員センセー達があれやこれやの田舎芝居の中で決める日本と違う。ここが歯がゆい日本と違う。そして4年間を思う存分にやらす。良ければ更に4年やってもらう。駄目なら反対の党に政権を渡せば良いと、ある意味では割り切れる国である。

国民が投票できると言っても、18歳以上の全員が投票できるわけでは無い。投票権利はあるが、実際の投票には事前に登録が必要となる。投票権利者の約6~7割が登録するというから、それが投票率であり、日本より相当高い。小さい頃から選挙と民主主義の教育がしっかりしている所以だろうと思う。

候補者も一年以上かけてのあらゆるテストを生き延びての厳しい戦いだから、勝ち残った者は相当タフだ。大きなスキャンダルでもあって辞める(ニクソンのWatergate)ことはあっても、「僕ちゃん、皆がいじめるから辞める」なんていう精神的ヤワな候補者は出て来れないのだ。

日本が外交で相手にする国はこういう国である。最初から気後れしちゃうよな。日本人は精神的にヤワなのか、武士道は何処に行った? 武士道も今頃「死語」だろうな。