よし坊のあっちこっち

神出鬼没、中年オヤジ、いや、老年オヤジの何でも有りブログだ!

奇跡は起こらなかった 女子W杯アメリカ優勝

2019年07月07日 | サッカー
熱戦が終わり、予想通りと言うか、アメリカが優勝した。

準決勝頃からか、馴染みの強豪の中にオランダが勝ち残っていた。ここまで来たら、決定戦はアメリカーオランダになればと期待していたら、そうなってくれた。そうなれば、あの奇跡が期待出来る。そう、2011年のナデシコが起こした奇跡である。

今回、下馬評通りアメリカが、その強さに物を言わせ、順当に勝ち上がったのだが、タイ戦で大量13点を挙げて小躍りしているアメリカチームを見て、いささか”増長している”のではないかとさえ思えた。その一端がモーてガンのTea Sipping Celebrationである。だから、どこかが、アメリカに土をつけて欲しかったのだが、決勝まで進んでしまった。しからば、オランダが初めての快挙で決勝まで勝ち上ったのであれば、その勢いで、奇跡を、と期待したのだが。

奇跡というのは、そう何回も起こらぬものだが、そう考えると、2011年のナデシコの勝利は、今後恐らく日本チームには起こらない奇跡だと思わざるを得ない。

コパ・アメリカ(南米選手権)白熱のチリーペルー戦

2019年07月04日 | サッカー
コパ・アメリカの準決勝は、ブラジルが決勝進出を既に決め、昨日は前二回大会の覇者チリにペルーの挑戦となったが、結果は予想を裏切る3-0でチリは敗退した。

南米と言えば、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、チリ、コロンビアあたりが強豪として浮かび、どちらかと言うとペルーはその外の印象が強いが、何の何の、なかなか見ごたえのあるサッカーをするチームだ。兎に角フィジカルに強いというか、果敢な肉弾戦とでも言おうか、そのバイタリティは大したものだ。前線でのプレスもよく効いていて、相手ボールをかすめ取るから、チリも後ろへ引いてしまう。兎に角しつっこいのだ。ボールを持つ選手への執拗な絡みは、嫌になるほどのしつっこさである。選手がよく動き、素早い。チリもチャンスが無かったわけではないが、とうとう最後までネットを揺らせなかった。

今回大会は日本も招待されての参加であったが、あっけなく予選ラウンド敗退で、レベルの違いは歴然としている。世界を二分するヨーロッパと南米に対し、アジア、アフリカ、北中米のサッカーが日の目を見るのは簡単ではなさそうだ。

女子サッカー ワールドカップ

2019年06月24日 | サッカー
いよいよステージに突入した。アフリカ勢は姿を消し、昨日南米の強豪ブラジルもフランスの前に屈した。圧倒的強さを誇るヨーロッパと北米に対し、残るは日本と中国だが、今の実力では到底ベスト8には残れまい。

ホスト国フランスは二大会前あたりから地力をつけ、今やランキング上位の強豪となった。今大会スペインのレベルも相当上がっていることを感じさせる。北米やヨーロッパの強豪達が、従来のカウンター攻撃に加え、パスレシーブ力のレベルを上げているので、身体能力の劣るアジア勢には相当不利な状況だろうう。アフリカ勢は身体能力には優れるが、いささかコンビネーションが雑である。カウンター攻撃中心から脱していないように思える。

初期、アメリカ、ドイツ、スエーデン、ノルウェーの4強に南米のブラジルが絡んだ上位グループが、今や、フランス、イタリー、オランダ、スペインが台頭して来て、面白くなってきた反面、アジア・アフリカ勢の著しい台頭は期待薄かもしれない。やはり男子サッカーで築かれた伝統的サッカー土壌が、女子サッカーにも、き影響しているのだろう。そう考えると、南米も将来は、ブラジルに続く強豪が出てくる可能性は十分である。

横綱格のアメリカは、男子サッカーがかすむ程強力で、これにカナダがレベルを引き上げられている図式がある。かつてこれにメキシコが絡んでいたが、今はすっかり足踏み状態に陥っている。

世界でかすむアメリカの男子サッカーでは、将来展望の中で、やはり武者修行の不足を指摘されている。要するにヨーロッパでレギュラーとして連戦するメンバーが少ないことだ。次大会のチケットを逃したことは象徴的だ。

それと同じように、日本女子は今より強くなりたいのなら、若い選手がもっと海外武者修行に目を向けるべきだろう。日本のリーグで2~3年やったら、海外へ飛び出すくらいのことがないと、せっかく澤穂希が示した指標が無駄になる。現在も岩淵など海外組が結構いるが、十分ではない。いみじくも、コパ・アメリカに参戦している男子日本の国内組メンバーが、世界の壁の高さに目を丸くしていた。

「海外へ出れば良いというものではない」と言う声もあるが、それは違う。毎日異人種と競り合い、切磋琢磨しながら、”何か違うもの”を吸収することは大きい。国内の、慣れ親しんだ空気の中では、”何か違うもの”に遭遇するのは難しい。国内組が世界の舞台でいきなり戸惑うのは、”何か違うもの”
が出現した時、対処の仕方が分からなくなるからだろう。

もう一つ教訓的なことがある。男子サッカーのキリンチャレンジカップというやつだ。国際試合だが、いつも格下を積極招請しているように見える。これでは勝っても喜べない。切磋琢磨にもならぬ。常に上位チームを呼ぶような心意気がなければだめだ。相手チームが来てくれないなら、押しかけて行くくらいでなけらばレベルなど上がらない。

幸い、女子サッカーはまだ男子サッカーより見どころがある。今のうちに長谷川唯とか他の選手もそうだが、海外武者修行に目を向けてもらいたいものだ。

ワールドカップを終えて

2018年07月15日 | サッカー
ビッグイベント、ワールドカップが終わった。

準決勝のフランス対ベルギーが事実上の決勝戦だったと言えよう。ベルギーも優勝候補のひとつでよく頑張ったが、決勝進出を決めたクロアチアの戦いぶりは壮絶であり、手に汗を握る戦いぶりであった。東欧共産主義の崩壊でユーゴスラビアから独立したクロアチアがその名を轟かしたのが3位となった1998年のフランス大会であった。以後注目の国となった。

ワールドカップでベスト8以上に入るには、チームに起爆剤とも言えるヒーロープレーヤーが居ないと決して実現しないが、さりとて居たとしても必ず実現するとは限らない。メッシ擁するアルゼンチンが、ネイマールのブラジルが、ロナウド擁するポルトガルがハリー・ケインのイングランドが敗退していった。その中で、クロアチアのモドゥリッチ、ベルギーのハザール、そしてフランスのムバッペの動きは際立っていたと言えよう。

さて日本だが。ピンチヒッターの西野監督の下、予選ラウンドを突破して決勝ラウンドに進出出来たことは、監督交代のゴタゴタの直後だから素直に評価したい。しかしながら、いまだに何故ハルルホジッチが急遽解任されたのかさっぱり分からないのだ。

少なくともワールドカップ出場権を取った監督をだ。確かにその後のワールドカップまでの国際試合の内容が良くなくきな臭さが漂い始め、突然、主として監督と選手のコミュニケーション不足を理由に解任となったのだが、そんな理由で解任とはいささか解せないのである。裏に何があったのか、ほとぼりが冷めたら誰かが明らかにすべきだろう。

世界のサッカーはカウンター攻撃の縦パスからの速攻が主流で、これについていけないと上位進出の突破口は開けないであろう。パスワークで相手ゴール前を目指し、PKエリアへパスワークで翻弄しスペースを作るという戦法は中南米や日本が取る典型的な戦法だが、これらのチームはいずれも敗退していることは注目に値する。

今回、西野監督が本田をベンチスタートとしたのは正解であろう。だから予選ラウンド突破出来たとも言える。前監督のハルルホジッチがワールドカップ出場決定後の国際試合で本田を含めた主力選手を外したが、既に本田の身体的退潮を察知していたのではないか。西野監督もそれを承知していたと言うべきか。

誰かが One bad appleと言っていたが、I agreeである。

夢を持つことに異存はないが、今の日本はアジアの覇者が精いっぱいの器量なり。



ホープ・ソロ - 漸く”問題児解雇”に繋げたUSサッカー協会

2016年08月25日 | サッカー
アメリカ女子サッカーのオリンピック早期敗退時に暴言を吐いたNo.1ゴーリーのホープ・ソロに審判が下った。向こう6ヶ月の代表出場停止処分である。だが、重要なのはこれではない。同時に来年2月に切れる代表契約を打ち切った事実である。3か月分の手切れ金を渡されたというから、You are fired! 事実上の解雇、即ちクビである。

直前の話し合いでは、協会側は代表としての節度ある、その座に相応しい行動と言動を求めたが、どうも反省の色が無かったようで、過去の数々の不祥事をも勘案して解雇やむなし、に至ったようだ。

サッカー外での不祥事や問題に加え、代表チーム内でも問題児として軋轢を起こしている。その最たる例が、2007年の女子ワールドカップで、準々決勝か準決勝で先発を外された腹いせに、監督と選手一人(恐らく起用された控えの選手)に対して裏切り行為を働いた、と報じられている。その文言がthrew them under the busとある。意味は「自分の利益の為に、悪意をもって友人や仲間を落とし入れる」だから、相当癖が悪い。

協会としても、最後のチャンスを与えたにもかかわらず、ソロはそれを蹴ったということだろう。自分の為になるのなら、それが正しいことか間違っているかはどうでもよい、というフィロソフィは、父親が犯罪者であることで世の中を突っ張って生きてきたことで培ってきたものかもしれないが、”ひとかどの人物”にはあるまじき考え方であろう。

今回の解雇は来年2月の再契約のチャンスの道を閉ざすものではない、と協会は発表しているが、実質的には協会の縁切り宣言であろう。

女子サッカーアメリカの五輪敗退と問題児ホープ・ソロの暴言

2016年08月13日 | サッカー
世界の女子サッカーに君臨するアメリカ。そのアメリカが1996年のアトランタ五輪から始まって以来欲しいままにして来たメダル(一回の銀を除いて全て金)を前に初めて無冠で終わった。皮肉なことに、負けた相手が、かつてアメリカに輝かしい優勝を導いて来た前監督のピア・スンダゲ率いるスェーデンだったことと、PKで負けたということだろう。そして、試合後に問題児ソロの暴言が出たのである。
曰く。
「今日戦った相手のチームは臆病者集団のチームだった。アメリカは攻めて攻めて攻めまくったのに、相手は防御戦術とカウンターアタックを多用した。相手の監督はアメリカの監督時代もカウンターアタック戦法を多用していた」

防御戦術を臆病者の戦術と侮辱し、スェーデンのカウンターアタックによる先取点に頭に来たのか、前監督をも侮辱するような暴言である。ピア・スンダゲは、ソロの発言に対し、それを名指しすることなく、「防御戦術を批判する意見が一部にあり、それも一つの意見だ。しかし、その戦術で勝てるとしたら、躊躇なくその戦術を採用する」と、さらりと明快に片づけ、一蹴したが、これは単にスェーデンチームと、その監督に対する暴言に止まらず、その戦術を使用するすべてのサッカーチームへの暴言でもなる。さすがに、アメリカ第一期黄金時代の代表だったコメンテーターは、このいただけない暴言をClasslessという俗語で一刀両断にした。

今回のPKは、あの2011年の女子ワールドカップの日本戦を思い出させる。アメリカが3発連続ミスして負けた。試合後のソロのインタビューでは、口にこそしなかったが、チーム仲間のPKミスに不満な感情が表れていた。今回は、それが相手チームとその監督に露骨に向けられたのだが、裏から見れば、自分のチームとPKを外したチームメートへの愚痴であろう。そのソロも予選ラウンドでは、勝てた試合を、よもやの痛恨のミスで一点献上している。自分の事は棚に上げての低レベルの話で、今や世界のトップゴールキーパーの座にある者としては誠にお粗末である。

ソロは公私ともに問題児である。アメリカの第一次黄金期のトップゴールキーパーは黒人のブライアナ・スカリーで、ソロは控えだった。スカリーが体調不調でミスを連発した時期があった。早速ソロは、早く辞めろ、と言わんばかりのコメントで引きずり下ろしにかかったことがある。2年前には、不起訴になったが、ファミリーパーティで暴力沙汰を起こしている。

いかにソロに実力があっても、ここまで品位を欠いてはいけない。今や、ソロはアメリカ代表チームの恥ではないだろうか。

何故FIFAは暴かれたのか (5完) 激震

2016年03月19日 | サッカー
2013年11月25日。マンハッタンにあるブルックリン裁判所でブレイザーに対する非公開の裁判が行われていた。罪状認否で、彼は1998年のW杯開催国決定過程で他のFIFA役員と謀って賄賂を受け取っていた事、更に2010年の南アW杯開催国決定に絡み、多額の賄賂を受け取っていた事を認めた。

裁判長は、ゆすりたかり、資金洗浄、税金回避等合計10の罪状で最大100年の判決を言い渡した。FBIとIRSによる合同調査が結実したのであるが、アメリカ司法当局はこれを一区切りとして、最後の本丸への仕上げにとりかかって行く。

2014年9月、オバマ政権の司法長官エリック・ホルダーの辞任に伴い、オバマはNY東部地検検事のロレッタ・リンチを指名した。議会で承認されれば、黒人女性初の司法長官の誕生である。2015年4月、議会は承認し、司法長官ロレッタ・リンチが誕生した。

2015年5月27日、FBIとIRSを従えた異例の記者会見に会場がリンチのアナウンスを待っていた。こうして、ブレイザーとCONCACAFと言う、アメリカの地からFIFA腐敗を糾弾する狼煙が上がったのである。FIFAのお膝元であるヨーロッパの誰も、まさかアメリカから狼煙が上がろうとは思ってもみなかったであろう。時同じくしてスイス当局はFIFA本部を急襲していた。

長らくヨーロッパでは手が付けられなかった伏魔殿FIFAに漸くメスが入ったのである。(完)

何故FIFAは暴かれたのか (4) IRSの参戦 (ESPN報告書による)

2016年03月14日 | サッカー
カリフォルニアのIRS(米国国税局)オレンジカウンティ支所海外犯罪チームにスティーブ・ベリーマンがいた。幼少期の一時期英国に住んだことのる彼は、サッカー狂で、いまだにサッカーをフットボール(アメリカではフットボールはアメフトを指す)と呼んでいた。2011年8月、彼が購読している英国の新聞 The IndependentにFBIがブレイザーをマークしているとの記事がすっぱ抜かれていた。これを追いたい、即座に彼はそう思い、FBIマンハッタンのランドールへ電話を入れた。見も知らぬIRSの一職員からの突然の唐突な電話にランドールは面食らったが、上司のガエタと相談し、彼の話を聞くだけでも聞いてみようと、マンハッタンの事務所に来てもらうことにした。ベリーマンは捜査には金の流れの証拠を掴むことが不可欠で、IRSなら国境を越えての不正金の流れを国際金融システムで追跡出来ることをアピール、この瞬間FBIとIRSによる合同チームが誕生した。

ベリーマンは早速調査に着手した。まず、高額所得者であるにも関わらず、2005年以来税務申告をしていない事実が判明した。更に、シティーバンク、バンクオブアメリカ、メリルリンチ、バークレイ等のブレイザーが持っていた銀行口座から金の流れを追いかけ、トンネル会社を通して、過去20年間におよそ2000万ドルを不正にポケットに入れていたことを突き止めた。FBIとIRSのチームは勢い付いた。

この頃、CONCACAF内でも大きな進展があった。FIFAによるブレイザーに対する内部調査の結果、”クロ”と認定され、この年2011年11月30日に全ての役職を解かれた。

この日から数日後、ブレイザーは不意の客を迎えることになる。FBIのランドールとIRSのベリーマンである。彼らは逃れられない証拠を次々と突き付け、ブレイザーは観念した。そして、間髪入れずに、NY東部地検は司法取引に持ち込み、彼を情報提供者に仕立て上げる。FIFAの本丸に迫るには、ブレイザーはどうしても欠かせない駒だったのである。

ランドール達の捜査は既に1年半にも及んでおり、FBI内部では時間が掛り過ぎるとの批判が出始めていたが、2010年から二度目の東部地検検事長を務めていたロレッタ・リンチ(後の黒人女性初の司法長官)は、雑音に惑わされず、徹底的にFIFAを追い込むよう特殊班をバックアップしていた。もしロレッタ・リンチがこの時この場所に居なかったら、ブレイザー止まりの捜査で終わっていたかも知れない程、彼女の存在は重要な意味と持つ。

こうした力強い援護のもと、FBIはブレイザーの身体にマイクを装着させ、主だったイベントやターゲット人物との会話録音を集めていく。期近な大舞台は2012年のロンドン五輪である。主要関係者がロンドンで一堂に会するという、願ってもない機会であった。こうしてFBIは小さい情報を一つ一つ繋げて証拠固めをしていった。2011年12月の司法取引から2013年11月までの2年間で彼がFBIで極秘聴取を受けたのは19回にも及んでいた。

なでしこは負けるべくして負けた。

2016年03月08日 | サッカー
2011年にW杯を手にし、その余勢をかって翌年のロンドン五輪では二位の成績を残した日本女子サッカーなでしこが、今年のリオ五輪の切符を”もろくも”逃してしまった。”もろくも”である。決して”惜しくも”ではない。そのことに協会や監督は気付いているのだろうか。

以前、W杯を手にした後、よし坊はこう書いたことがある。「このW杯優勝がなでしこのピークでなければよいのだが」。そうならない事を祈りながら、心の隅では”このまま下降線をたどるだろう”と思っていた。

ロンドン五輪では間違いなくW杯の余勢で二位を確保し、その後も成績上は”無難”であったが、唯々”無難”の一語で、出ているメンバーはいつも同じ、躍動感に欠け、いつかその日が来る事を確信していた。そして、案の定、その日が来ただけに過ぎない。日本と言う国もそうだし、日本の組織もそうであるように、途轍もないショックでも無い限り、日本では思い切ったチェンジは出来ない構造がある。その意味で、もっと早くショックが来るべきだった。断っておくが、”いつも同じメンバー”ということで選手を非難しているのではない。選手はあくまで選ばれる立場だから、出ろと言われれば出る。問題なのはその状況を作る協会と監督だ。


世界はアグレッシブなくらい、どんどん変わっているのに、なでしこはW杯以降”昔の名前で出ています”的状態で来てしまった。メンバーが固定的なら当然パターンも研究され読まれてしまう。チーム全体が過去の成功体験に支配された時、思い切ったことをするのが監督であり、選手選抜に有言無言の力を持つ協会だが肝心の彼らが過去の成功体験に固まっているから何も出来ない。なでしこ衰退の最大の問題は、将来を見据えた世代交代に手を抜いたことだろう。チェンジを嫌い手を拱いていた協会と監督の責任は大きい。有力新人が居なかったと言うかもしれないが、本当だろうか。保守的になり、使う勇気が無かったと言われても致し方あるまい。

ここに世代交代の有無を示すひとつのデータがある。世界のトップであるアメリカとドイツ、そしてアジアの強豪オーストラリアの今年の2011年の登録メンバーの新旧選手の変化である。数字は正直だ。

アメリカは2011年当時のメンバーは6人しか入っておらず残りは新顔である。ドイツも6人と同じである。オーストラリアは当時のメンバー8人が現在も入っている。さて、日本は、と言うと、実に13人が”昔の名前で出ています”なのである。これでは、単発的に一人二人の新人を使うとはいえ、GK除いた10人を”昔の名前”で使ってしまう。
スポーツの世界はチャレンジの世界だが、それを司り(協会)実戦指揮をする(監督)上層部が全くチャレンジをしなければ、何にもならない。可哀想なのは選手である。

遅ればせながら来たショック糧に是非ドラスティックなチャレンジをして欲しいものだが、さて出来るだろうか。かつてアメリカと双璧をなしていた中国の”その後”がチラついてならない。


何故FIFAは暴かれたのか (3) FBIの本格捜査 (ESPN報告書による)

2016年03月06日 | サッカー
サッカービジネスに魅了され、巧妙な賄賂と着服の伏魔殿をFIFAに作り上げたのがチャック・ブレイザーなら、今回のFIFAスキャンダル捜査に活躍した一人がサッカー小僧のFBI捜査官であった。

ジャレッド・ランドールは子供のころからサッカーを始め、高校、カレッジとサッカーを続け、卒業後FBIへ入局した。2010年初め、アメリカで暗躍する旧ソ連の犯罪組織の摘発を専門とするマンハッタンの特殊班へ配属される。捜査の過程で、2018年のW杯開催国がロシアがらみで札束が飛び交っているという噂があちらこちらで聞こえてくるようになり、上司のマイケル・ガエタと共に、小さい噂を一つづつ繋ぎ合わせる作業に着手した。そして、証拠は無いが、ロシアがW杯ホスト国獲得の為に賄賂攻勢をかけているのではないだろうか、との結論に達した。こうしてFIFAの内偵を始めると、FIFAの最高意思決定機関であるEXCO(24人委員会)メンバー達の並外れた高額給与、大判振る舞いの出張経費が目を引いた。更に、W杯開催国決定がEXCOメンバー達のさじ加減ひとつで決まっているらしいことや、一部のメンバーの懐には表に出せない金がひそかに入っていることを掴むにおよび、FIFAの中枢で大きな不正が行われているのは間違いないと確信する。

ひとつの大きな問題があった。全世界にまたがるFIFAを追及すると言うことは膨大な経費が必要であり、マンハッタンの特殊班だけでは到底賄えない規模であった。しかし、特殊班からの内偵報告書を手にしたNY東部地検は燃えていた。「Justice should be done」。そして、2010年12月27日、セップ・ブラッターの「2018年、開催国はロシア」のアナウンスを聞いて、東部地検は正式にFIFAに対する犯罪捜査を決定した。ターゲットは、EXCO唯一のアメリカ人メンバー、チャック・ブレイザーである。

翌2011年、FIFA内部とその周辺で起こった出来事がFBIの捜査を更に前進させるきっかけとなる。

FIFA会長選挙に関連して、立候補を表明したカタール人副会長のモハメッド・ビン・ハマムが会長選挙票の15%を牛耳るCONCACAFのジャック・ワーナーの招待を受け、ハマムが現ナマの賄賂攻勢を掛ける。身内同士の、しかも、調べれば外部にも簡単に漏れるあからさまな現ナマ取引を知ったブレイザーは激怒し、FIFA事務局長に密告した。ダーティなFIFAだが、このようなあからさまな票取引はさすがにFIFA内でも禁じ手となっていた。結局ジャック・ワーナーは役職からの辞任を余儀なくされてしまう。怒ったワーナーは仕返しに、長年ブレイザーとの間で秘密にしていたCONCACAFに絡むブレイザーの不正着服をFIFA内でぶちまけたのである。ワーナーとブレイザーの蜜月時代の終わりを告げる出来事であった。

ジャック・ワーナーがブレイザーの着服問題をぶち上げたのをきっかけに、FIFAの倫理委員会がブレイザーに対する調査を開始した。時同じくして、ブレイザーが深く関わってきたGold Cupで八百長試合が行われているとの疑惑がFIFA内に広がっていく。特にGold Cupの一件はブレイザーが直接関与していた訳ではなく、むしろ彼自身も”何故そんなことになったんだろう”と不可解に思っていたくらいであったが、この一件で、FBIは更にブレイザーの身辺に迫っていく。