よし坊のあっちこっち

神出鬼没、中年オヤジ、いや、老年オヤジの何でも有りブログだ!

マクドナルド コーヒー訴訟の真実

2015年05月23日 | ビジネス横丁こぼれ話
事件が起こるとメディアは一斉に報道を始める。だが、当初の報道内容は事実の断片に過ぎず、全容が判明するのは裁判を経た後になる。その間飛び交う色々な憶測が、事実の断片の間を埋めていき、真実とかけ離れた物語が創られ、誤解と共に世間に定着してしまう。

駐在でアメリカに派遣される時、本社で注意を喚起される項目の一つが「訴訟」。そして、アメリカに来て、早い時期に耳にする伝説的訴訟事件が、マクドナルド・コーヒー訴訟である。「おばあちゃんがコーヒーを膝に溢して火傷を負い、たった一杯で大金を勝ち取った」と聞いて ”さすが訴訟の国”と納得して終わるのだが、本当はどんな事件だったのだろうか。

1992年2月、79歳のステラ・リーベックが孫とニューメキシコ州アルバカーキのマクドナルドのドライブスルーで朝食を買った。駐車場で紙コップの蓋を開けようとして膝に溢し、膝、腰回りにかけ、全体の16%に火傷を負った。治療費2万ドルの負担は大きく、マクドナルドに治療費負担と、コーヒーの温度を下げる依頼を手紙にした。当初、ステラは訴訟など全く考えておらず、誠意ある回答を期待しただけだが、回答は800ドルであった。

困っているステラに地元弁護士が協力し、何とか話し合いたいと、2回に渡ってマクドナルドと交渉したが埒が明かなかった。一方マクドナルドでは当時年間700件以上のコーヒーによる火傷被害が報告されているにも関わらず、何一つ対策が打たれていない事が分かった。弁護士のアドバイスで、ステラは自分及び過去の被害者の為に訴訟に踏み切った。

陪審員はマクドナルドに対し、損害賠償16万ドル、対企業懲罰賠償270万ドルを答申。これが「290万ドル」として全世界に配信されたが、その内容は正確さと冷静さを欠き、ステラが溢した状況を、車を運転中の出来事だったと報道する局まで出る始末となった。この過熱報道は、「コーヒー一杯で大金をせしめたおばあさん」というネガティブなレッテルをステラに貼り付け、彼女は生涯この有難くない視線を受け続けることになる。

「290万ドル」のその後はどうなったのか。裁判官は懲罰賠償を48万ドルに減額、損害賠償と合わせた64万ドルをベースに話し合いを促し、双方はある「合意額」で和解した。

この事件は、被害報告に対する企業の無視や怠慢が何をもたらすかを浮き彫りにし、更に、マスメディアの初期の報道姿勢のあり方を問うと共に、事件全容を含めたその後のフォローアップ報道が如何に重要かを示している。

カルト集団

2015年05月12日 | アメリカ通信
人が何を信じ、どのような宗教団体に属そうと個人の自由だから、よし坊の知らぬところである。しかし、よし坊は特定の集団に属するのを好まない。

人間は弱いから、何かに縋りたくなるのは分かるが、そういう時を狙って誘う手口には、感心しない。もちろん、殆どの団体は、それなりに真面目に活動をしているのだろうが、何やら胡散臭いものが常に付き纏う。

過去のカルト集団事件の中での特筆ものは、やはりオウムに於いて他はないだろう。戦争で最も使用が嫌われる化学兵器のひとつ、サリンを一般市民向けに使用しただけでも、その特異性が際立つ。

”胡散臭さ”を払拭するために社会的認知度を高めようとするのはどこも同じで、店や教育機関の設立を通じて日常社会に密かに浸透させ、政治家への献金を通して基盤の確立を図ろうとする。そして、もっともポピュラーなのが、芸能人を司令塔に使った宣伝である。

”世界の危険なカルト集団”をインターネットで検索すると、上位に必ず顔をだすのが、サイエントロジーと統一教会である。

サイエントロジーが有名なのは、何といっても司令塔にハリウッドのトム・クルーズとジョン・トラボルタを使っているからだろう。トラボルタは夫婦そろって信者だし、とっくに人気は落ちているのに何やかやと話題になるのは信者ゆえではないか。トム・クルーズの女運の無さも、サイエントロジーゆえであろう。ニコール・キッドマンがトムとの間に子供を作らず、再婚したら直ぐ出来たのは、そういうことであろう。カトリックのケイティー・ホームズと結婚した時な大丈夫か?と思っていたが、離婚したのは子供をサイエントロジーから守るためと考えれば納得がいく。

韓国発の統一教会もアメリカでは、食品関係のビジネス、新聞、大学などを通じて勢力を広げてきた。日本でも昔、有名人を巻き込んでの集団結婚式で大いに話題になったものだ。

数年前、ニュージャージーに住む娘が或る日系企業に面接に行った後、その企業を知っているかメールで聞いて来た。調べてみると母体が統一教会であったので、行かないよう忠告した。面白いことに、その時面接した幹部が、遠い昔、新体操の女王、山崎浩子が集団結婚式で相手に指名された(T)だったようだ。亡霊のような名前がアメリカで出てこようとは思わなかった。

宗教的集団に一度入ると脱退するのは相当困難だと聞く。クワバラ クワバラ。