よし坊のあっちこっち

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スイスーもうひとつの銃社会と自衛国家

2023年02月08日 | アメリカ通信
アメリカの病根のひとつが、銃社会が生み出す乱射殺戮事件である。それは近年益々酷くなり、その度合いは増すばかりだ。最近ではおちおちモールショッピングも出来ない。3歳や4歳の子供が誤って親を撃つ国でもある。親が積極的に子供に銃を与え、子供がそれを使って簡単に人を殺す国でもある。それと対極にある日本及び日本人にとってはなかなか理解し難い。そんな中、銃の所持が許される国で、しかも乱射等の犯罪が極めて少ない国の紹介記事に遭遇した。スイスである。そこで読み取れる違いは、アメリカが銃で個人を守るのに凝り固まっているのに対し、スイスは銃を所有することの意味を国家防衛の枠組みに繋がるものと捉えている点にある。

スイスは強力な軍隊を持つことで国際社会における中立性を保持することを国是としている。そのために1600年代から続く青少年の全国射撃コンテストを通じて射撃の正確性、銃取り扱いの正しい訓練を奨励し、男性は18歳から34歳の間に兵役に服し、拳銃とライフルの取り扱い、射撃訓練を受ける。除隊後は免許を取得して銃を所有出来る。人口800万人のうち、25%の市民(軍隊を除く)が銃を所有しており、一朝事が起こった時には彼らも国の防衛にあたる。スイス人にとっての銃を持つ意味は、アメリカ人のそれと根本的に違うのである。余談だが、不幸にして今回のウクライナのように外国から戦争を仕掛けられた場合、国境を繋げる道路、鉄道、トンネル、橋など3000カ所以上を一斉に爆破し外部侵入を遮断するというから、その国防意識は半端ではない。

国民の4分の一が銃を保有しているにもかかわらず、銃による殺人が殆どないのは、既述した青少年教育や兵役教育を通しての銃器取り扱いに関するモラル向上あるが、他方で厳格な法的ルールを施行することも忘れてはいない。曰く、
① 銃を買う者は事前に当局又は代行者の審査を受ける。場合によっては精神分析医の診断も受けなければならない。
② 犯罪歴の或る者やアルコール・薬物中毒者に対する銃購入禁止。
③ 暴力的又は危険な言動、行動、態度を有する者に対する銃購入禁止。

国によって社会構造が違うので単純比較は出来ないが、世界に共通する唯一のことは「法規制を厳格化すれば銃犯罪は確実に減る」という事実であろう。悲しいことにアメリカにはそれが出来ない。